デイリー・アップデート

2021年3月16日 (火)

[米国] 3月18日、下院エネルギー・商業委員会の環境・気候変動小委員会は、気候変動対策法案である ”CLEAN Futures Act”に関する公聴会を開催する予定。同法案は、バイデン政権が発足してから議会に提出された初の大型環境法案で、2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向けて、州政府に排出削減計画の策定を促し、さまざまな環境対策を通じて経済格差解消にもつなげていく内容。炭素税の導入は、委員会の所掌分野から外れるためか、同法案には含まれていない。

[米国] 3月16日、バイデン政権発足後の閣僚級の初外遊先として日本を訪問しているブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、茂木外相・岸防衛相との日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に臨んでいるが、来日にタイミングを合わせる形でワシントンポスト紙に連名で寄稿した。連名寄稿の中では中国について人権・民主主義・法の支配を尊重していないとして名指しで厳しく批判しており、中国に対峙する上で同盟関係強化の必要性を強調している。

[中国] 養老(高齢者用)社会保障のための財政支出拡大が中国でも問題となっている中、昨年10月の第19期5中全会と、今年3月に閉幕したばかりの全人代での政府活動報告では、「漸進的な定年延長の実施」が明記された。全人代前後に、政府関係者や研究者から「毎年数か月、または数か月ごとに(定年を)1か月延期し、一気に数年延期するようなことはない」という発言が相次いでいるが、民衆からは「公務員の優遇や貧富の格差の是正が先だ」と不満の声が出ている。

[ロシア] 世界3位の石炭埋蔵量を持つロシアが、世界最大の需要がある中国などアジア向け輸出の拡大を目指している。温室効果ガス排出削減のため石炭利用の抑制を図る欧米の流れとは逆行し、シベリアなどの産地から極東の港への輸送力を引き上げるために鉄道インフラの改善を行い、2025年までにアジア向けの石炭輸出を4割以上増やす予定である。

[EU/英国] 3月15日、欧州委員会が北アイルランド議定書の実施を巡って英国政府に対し正式な「侵害プロセス」(英国の「協定違反」に対する法的プロセス)を開始する書簡を送付。英国政府に1か月以内の意見書提出を求めているが、回答がなかった場合や満足できる回答がない場合は欧州司法裁判所に提訴し、罰金の賦課をもとめる可能性がある。

[中国] 中国中央テレビ局(CCTV)が、3月15日(世界消費者権利デー)に恒例の「CCTV3・15の集い」を放送した。番組は、消費者の権益を犯す社会の事例を公開し、同権益の擁護と消費者の意識を高めることを目的とし、1991年から毎年放送されている。今年は、顔認証データの勝手な取得・利用、履歴書の流出と闇市場での転売、医薬品・健康食品の虚偽広告、赤身肉を増やすラクトパミンの使用、使用済みの廃鉄筋の再利用、フォード車・日産(インフィニティ)車の故障問題などが取り上げられた。

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