デイリー・アップデート

2025年8月25日 (月)

[FRB] 

8月22日、パウエルFRB議長は「長期目標と金融政策戦略」という金融政策の枠組みを微調整したことを明らかにした。前回は2020年8月に実施されており、当時5年後の実施を表明していた。今回、低金利環境に関する文言を削除し、柔軟な物価目標の枠組みに戻り、前回取り上げていた補てん戦略を除いた。

 

前回低金利政策が実施されており、実効下限制約(effective lower bound)が意識されていたため、政策金利が過去よりも頻繁に実効下限に制約される可能性が高いという文言があったものの、すでに利上げを実施し、政策金利が高いこともあって、この文言は削除された。

 

また、政策決定について、前回、「雇用水準が最大雇用からの不足分を評価した結果に基づいて行わなければならない」としていた部分について、今回は「最大雇用水準の評価」となり、不足分を埋めるという考え方ではなくなった。

 

物価については、物価上昇率が目標2%を継続して下回った後、一定期間にわたって2%をやや上回る物価上昇を目指すという平均2%目標についての文言も削除された。ただし、今回、長期的な期待インフレ率がしっかりと定着するように、必要に応じて対応する方針が引き続き示された。関税措置に伴う物価上昇圧力は一時的とみられる一方、供給網の変化などから持続的な物価上昇となり、長期の期待インフレ率が上昇することを警戒している。

 

雇用と物価目標が補完的でない場合、前回それぞれが目標に戻る期間が異なる可能性があるとしていたものの、今回はバランスをとったアプローチをとる姿勢に修正した上、雇用が完全雇用水準を上回っても、物価の安定にリスクをもたらすわけではないという認識に変化した。

[アフリカ/日本] 

8月20~22日に横浜で「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」が開催された。最終日に採択された共同文書「横浜宣言」では、TICADの3本柱である「経済」「社会」「平和と安定」に沿って、「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)」を通じた地域統合と連結の強化、重要鉱物資源の安定供給、人材育成、ガバナンス・民主主義の推進などを日本政府として支援していく方向性が示された。また、石破首相は次回の「TICAD10」をアフリカで開催すると表明した。

 

今回6年ぶりに日本で開催されたTICADにはアフリカ54カ国中49カ国の代表が参加。前回2022年にチュニジアで開催されたTICAD8は、新型コロナ禍下でハイブリッド形式での開催となったため直接の比較はできないが、2019年に横浜で開催されたTICAD7には53か国が参加したことから参加は4か国減少した。これは2020年以降、サヘル地域でクーデターが発生し、軍事政権となった国々が不参加となった要因が大きい。また、TICAD7では約30人の国家元首級が訪日したが、TICAD9では約半数の15人程度に留まった。首脳級の参加の減少には、参加国の減少のほかにも新型コロナ禍以降の財政難や内戦拡大の影響も考えられる。しかし、2024年9月に中国で開催された「第9回中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC 2024)」には53か国、30人以上の国家元首が参加していることから日本のアフリカに対する影響力の変化もみてとれる。中国は前述の軍事政権や独裁的な政治体制の国々のトップも招待している。

 

一方、今回のTICAD9では、日本政府・企業らによるアフリカ各国政府・企業との協力覚書(MoU)の署名件数が324件と、2019年の110件、2022年の92件を大きく上回り過去最多となった。企業別ではアフリカビジネス拡大の意欲を強める豊田通商が44件と最多で、コンサルティング企業のアクセルアフリカや、JTIホールディングス、ヤンマーアグリなども10件以上のMoUに署名した。政治面の関係はともかく、経済面ではAIや衛星技術なども含めた地域間での協力が拡大する傾向にあるとみられる。

 

トランプ2.0政権での対外援助の見直しにより米国際開発庁(USAID)が事実上廃止され、またアフリカ30か国以上に免税措置を与えてきた「アフリカ成長機会法(AGOA)」が9月末で失効するなど、これまで最大のアフリカ支援国だった米国の存在感の低下が顕著となっている。そのような中、TICADという定期的に開催される枠組みを通じて、官民ともに継続的にコミットメントを示す日本のアフリカでの存在感の変化に注目が集まる。

[ロシア] 

ロシア国内では最近、中東の湾岸諸国からのインバウンド観光客が急増している。航空路線の拡充や査証のオンライン申請の簡素化、アラビア語のTikTok・Instagramインフルエンサーを活用したプロモーション、そしてユニークな観光プランを含めた観光ツアーの提供などを通じて、2019年から2024年にかけて、サウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェートなどからロシアへの訪問者数は4倍以上に増加した(2019年比)。

 

観光体験としては冬の寒さも「新しい体験」として受け入れられており、そのほか、軍事体験ツアー(戦車乗車、軽い軍事訓練、武器使用体験など)が人気である。

 

一方、欧米制裁の影響により、VisaやMaster Cardなどのクレジットカードが使用できないため、現金持参が必須の状況となっている。また、GPS信号妨害の影響でGoogle MapsやUberなどのアプリが使えないことから、タクシーに依存せざるを得ない点がデメリットとなっている。湾岸諸国は、ウクライナ戦争に対して中立的な立場を維持し、ロシアとの外交・経済協力関係を継続している。

[イラン] 

イランの核問題に関し、英国、フランス、ドイツ(E3)は、8月末までにイランが欧米との交渉に応じ、国際原子力機関(IAEA)との協力関係に戻らなければ、国連制裁の再発動手続き(スナップバック)を始めると主張している。これに関し、イランは8月26日にE3との協議を行うことを発表した。E3が期限とした8月末まであと数日と迫る中、26日の協議で何が話されるのか、そしてその後にE3がどのような決断を下すのか、といった点が注目されている。

 

2015年のイラン核合意(JCPOA)に基づいて採択された国連安保理決議2231号では、当事国がスナップバックを発動できる期限は2025年10月18日と規定されており、E3はこの期限の延長も提案している。

 

8月24日、ハメネイ最高指導者はテヘランのモスクで話し、「アメリカの命令に対して、イラン国民は全力を尽くして対抗する」と述べた。また「イラン国民は団結している」とし、「アメリカとの交渉を行って問題を解決しろという人たちは、表面的なことしか見えておらず問題は解決できない」と指摘。「彼らはイランにアメリカの命令を聞けというが、イラン国民はそのような侮辱に対して激怒している」と発言した。

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