デイリー・アップデート

2019年6月3日 (月)

[中国] 5月31日中国国家統計局と中国物流購買連合会は、5月の製造業購買担当者指数(PMI)が49.4だったと発表した。4月の50.1から下落し、3カ月ぶりに景況判断の節目である50を割り込んだ。項目別では特に雇用が47.0と10年ぶりの低さとなった。新規輸出受注も46.5と4月の49.2から悪化しており、輸出業者が5月に再燃した米国による追加関税措置および世界需要の減速による影響を懸念していることが反映されている。

[日本] 財務省が発表した『法人企業統計』によると、2019年1-3月期の設備投資は、前年同期比6.1%増加した。増加は10四半期連続であり、1-3月期としては過去3番目の高水準。製造業(+8.5%)、非製造業(+5.0%)とともに増加。GDP改定値の基礎となるソフトウェアを除く全産業の設備投資額は前期比+1.1%と、非製造業を中心に増加した。

[フランス] 6月2日、フランスの既存政党である共和党のローラン・ヴォキエ総裁が辞任した。主要な理由は欧州議会選挙での敗北。今回2019年の欧州議会選挙における共和党の得票率8.5%は1979年の初回欧州議会選挙以来の最低水準になった。これまで共和党は中道から右派まで幅広い支持を得てきたが、現在の課題はマクロン大統領の与党「共和国前進」に共和党内中道派の支持層や年金生活者の支持を奪われる一方、ル・ペン党首の「国民連合」に右派支持層からの支持を奪われていることである。結果として共和党の支持率が低下し、共和党のイデオロギーは右寄りと中道寄りに分かれている。

[中国] 5月28日、サウスチャイナ・モーニングポストはWebで、「専門家が警告、日本に失われた20年をもたらした住宅バブルに類似した兆候が中国に見られる」を掲載、吉野・アジア開発銀行研究所長による、①不動産価格の急騰と住宅価格対年収比率の上昇、②不動産業に対する中国金融業界の貸付レベルが日本のバブル経済期を遥かに上回る、③住宅ローンの対GDP比率が日本の3倍以上という事態が継続中という3点の指摘と、根本原因は政府による金融政策の過度の緩和だとする分析を報じた。

[インド] 5月31日、2期目に入ったモディ政権は新内閣のメンバーを発表した。財務相にはシタラマン前国防相(初の女性財務相)、内相にはアミット・シャーBJP総裁、外相にはジャイシャンカル前外務次官(元駐米国・中国大使)が就任。2018年度(18年4月~19年3月)の実質GDP成長率は前年度比+6.8%に減速しており、シタラマン財務相には経済回復、ジャイシャンカル外相には主に対米関係のマネージに向けた手腕が期待される。

[イラン] 安倍首相は6月12日から14日にかけてイランを訪問し、12日にはロウハニ大統領と、13日にはハメネイ最高指導者と会談する予定。日本の現職首相によるイラン訪問は、1978年の福田首相(当時)以来で、1979年のイスラム革命後では初めてのこと。日本の首相とイランの最高指導者との会談も初めてのことであり、日本が米・イラン関係においてどのような仲介をするのか注目される。日本は米国ともイランとも友好関係を保っており、今年は日本とイランの国交樹立90周年の年でもある。

[ブラジル] 2019年第1四半期の実質GDP成長率は前期比▲0.2%減。需要別に見ると、融資や賃金の増加に支えられ個人消費が増加した一方、政治的政策的不確実性が企業景況感を押し下げたため投資は減少、鉄鉱石や石油製品の減産で輸出も減少した。供給別に見ると、鉱山事故による鉱業生産の減少やアルゼンチン向け車両の生産や輸出の減少などから鉱工業は縮小した一方、通信や不動産は堅調だったが、金融、運輸、商業、行政活動などが伸び悩み、サービス業は微増にとどまった。

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