デイリー・アップデート

2019年11月18日 (月)

[南アフリカ] 9月の鉱業生産は前年比+0.2%と低迷。8月より改善した主な理由は大きく足を引っ張っていた白金族の生産縮小が緩和されただけで、唯一鉄鉱石のみしっかりした成長が見られた(前年比+8.5%)ものの、業界全体としては精彩を欠いたまま。製造業生産は8月の前年比▲1.5%から9月は▲2.4%まで悪化し、ここ数か月堅調だった小売売上高は6か月来の低水準に落ち込んだ(前年比+0.2%)。

[中国] ニューヨーク・タイムズが、新疆ウイグル自治区で行われているウイグル人らを強制的に再教育キャンプに収容する政策に関し、匿名の中国政界の人物から403頁にわたる中国の内部文書を入手し、概要を報じた。ラジオフリーアジアは、同報道の主要ポイントを①2014年、習国家主席が新疆視察後発表した講話が現在の政策のベース、②海外のテロ活動と米国のアフガン撤収が中国政府の鎮圧行動を惹起した、③陳全国氏の新疆書記就任が大規模収容政策のカギとなった、④陳書記の政策に反対する新疆の勢力は粛清された、⑤新疆の統制政策は、他の地方にも拡大する、とまとめている。環球時報は、ニューヨーク・タイムズの報道内容について反論はしていない。

[スリランカ] 11月16日に大統領選挙が行われ、野党候補のゴタバヤ・ラジャパクサ元国防次官(マヒンダ・ラジャパクサ前大統領の弟)が与党連合候補のサジット・プレマダサ住宅建設・文化相を破って勝利した。本日、大統領に就任予定。ラジャパクサ氏は治安対策を最優先事項とし、多数派のシンハラ人仏教徒への民族主義的なアピールを重視した。日本人を含む250人以上が死亡した4月の連続爆破テロを背景に支持を集めたとみられる。ラジャパクサ氏はウィクラマシンハ首相と対立しており、政局が不安定化する可能性がある。また、ラジャパクサ前大統領が進めた親中路線に回帰するとの見方がある。

[イラン] 11月15日、イラン政府はガソリン価格の50%値上げ(月60リットル超過分は価格が倍増)を発表したが、それに対するデモがイラン各地で発生。デモ参加者は銀行やガソリンスタンドを襲撃し道路を封鎖するなどして抗議の意思を表明しており、これまでに1000人以上が逮捕され2人が犠牲となっている。イランは、米国が核合意から離脱し対イラン制裁を復活させたことで、今年の成長率がマイナス9.5%(IMF予測)となるなど、経済的に困窮状態にある。

[米国] FRBによると、10月の米国の鉱工業生産指数は前月比▲0.8%となり、2か月連続の減産となった。今月の落ち込み幅は、2018年5月以降で最大。10月下旬まで40日間に及んだGMのストライキの影響を受けている。自動車のほか、コンピュータや電子部品などでも減産がみられた。また、稼働率は76.7%と、前月(77.5%)から低下している。鉱工業生産指数は2018年末をピークに横ばい圏の動きが続いており、今後持ち直すか否かが注目される。

[ベラルーシ] 11月17日に下院議会選挙が実施され、現職のルカシェンコ大統領を支持する与党勢力が勝利した模様である。今回の選挙結果を受けルカシェンコ大統領は来年行われる大統領選に再び出馬する意向を表明した。65歳のルカシェンコ氏は1994年から大統領を務め、現在5期目となっている。

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