2021年4月14日 (水)
[中国] 4月13日の税関総署の発表によると、1~3月期は輸出入ともに過去最高額を更新した。輸出は前年同期比+49%の7,099億ドル、輸入は同+28%の5,936億ドル、貿易収支は1,163億ドルの黒字だった。輸出はコロナ禍で世界的に需要が旺盛なマスクやパソコン、ワクチンなどがけん引。輸入は資源のほか化粧品などの最終製品が目立った。政府の経済刺激策により建設が加速しており同関連の輸入が増加しているものの、今後政府は加熱する不動産投資への金融引き締めを緩やかに実施し同関連の輸入は縮小に向かう可能性がある。
[米国] 労働省によると、3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.6%と、2月の+1.7%から加速した。内訳をみると、食品(+3.5%)やエネルギー(+13.2%)の上昇が目立ち、食品とエネルギーを除くコア指数は+1.6%と前月の+1.3%から若干の加速にとどまった。また、2020年3月以降、経済活動への制限措置の影響やエネルギー価格の弱含みなどで物価の基調が弱かったこともあり、当面前年からの反動増によって物価上昇圧力が強まるとみられている。
[イラン] 政府は国際原子力機関(IAEA)に対して、国内でのウラン濃縮を60%まで高めることを通達した。イランがウラン濃縮を60%まで高めるのは初めて。2015年にP5+1と合意した核合意(JCPOA)では、イランによるウラン濃縮上限は3.67%と定められているが、トランプ前米大統領がJCPOAから離脱し対イラン制裁を強化したため、イランはJCPOAの取り決めから逸脱して今年の初めから20%のウラン濃縮を行っている。今回の発表は、4月11日のナタンズ核施設へのイスラエルによるものとみられる攻撃への反発とみられる。
[米国] 米メディア各社報道によると、4月14日、バイデン大統領はアフガニスタンに駐留する米軍を9月11日までに撤退させると発表する予定。米国は、2001年9月11日の同時多発テロ事件を契機に、アフガニスタンに侵攻し、当時のタリバン政権を崩壊させた。今年は同事件の発生からちょうど20年目。現在、米軍3,500名、NATO軍6,500名がアフガニスタンに駐留しており、順次撤退を始める。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は13日からブリュッセルを訪れており、アフガン戦略についてNATOと協議するものとみられる。
[米国] 国際的に半導体の供給不足が続く中、米国内でも自動車メーカーが工場の一時稼働停止により減産に追い込まれているが、バイデン政権は米国の半導体サプライチェーンの強化を目的として、19社の経営トップとのバーチャルCEOサミットを4月12日に開催した。バイデン大統領は米国内での半導体製造に向けた投資の増大と半導体分野で米国が主導する必要性を指摘するとともに、500億ドルの米半導体業界支援策を盛り込んだインフラ整備計画の実施を主張している。
[米/ロ] 4月13日、バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ロシアがウクライナとの国境付近で兵力を増強していることに懸念を表明すると同時に、向こう数か月以内に第3国で米ロ首脳会談を開くことを提案した。
[EU] 4月13日、Johnson & Johnson社は、欧州における同社のコロナウイルスワクチン展開を「積極的に」遅らせると発表。欧州医薬品庁は血栓症とワクチンの間の因果関係は明らかでないとしたが、同社製ワクチンの使用に関する規制措置の協議を開始した。同社のワクチン納入の遅れが長引いた場合、欧州でのワクチン接種が失速する可能性がある。
[中国] 4月9日、中央インターネット情報化弁公室通報センターは、自らのウェブサイトで、共産党創立100周年(2021年)に良好な世論の雰囲気を醸成するため、「歴史虚無主義」(注:党の歴史・業績・指導と社会主義制度を否定すること)に関わる有害情報告発専用サイトを開設し、一般大衆に通報を要請した。センターが受理する告発内容は、党史、新中国史などの歪曲、党の指導・指導思想・方針・政策に対する攻撃、英雄烈士の中傷、中華の優れた伝統文化・革命文化などの否定となっている。
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