デイリー・アップデート

2021年4月22日 (木)

[カナダ] 4月21日、カナダ中央銀行は、政策金利を過去最低の0.25%に据え置いた一方で、国債購入目標額を従来の週40億カナダドルから30億カナダドルに縮小することを決めた。住宅価格上昇への警戒感を示しつつも、2021年の経済見通しを上方修正した。経済のスラック(需給の緩み)が、1月時点の見通しの「2023年中」から早まって「2022年後半にも」縮小するとしており、「2022年の利上げ」の可能性が示唆された。

[米国] バイデン政権は、発表したインフラ整備計画「米国雇用計画」の中に総額500億ドル規模の米半導体業界支援策を盛り込んでいるが、米議会ではシューマー民主党上院院内総務とヤング上院議員(共和党)が半導体等の最先端技術の開発を支援する目的で1,000億ドルの予算を支出する「終わりなきフロンティア法案」を前会期に続いて本日(米国時間4月21日)再提出。米議会でも、中国と対峙するために最先端技術の強化を図り、米国の国際競争力強化を求める動きが顕著。

[ベトナム] 4月20日、ハノイ国家大学内のベトナム経済・政策研究センター(VEPR)は四半期ごとのマクロ経済レポートを発表、米国の1兆9,000億ドル規模の景気対策が実施されれば、ベトナムのGDPは0.76ポイント押し上げられるとした。また、新型コロナウイルスの感染が国内外で収束すれば、ベトナムの2021年の実質GDP成長率が+6.0%~+6.3%になると見込んでいる。

[中国/オーストラリア] 豪州は、2020年12月から運用されている「外国との取り決めスキーム(Foreign Arrangement Scheme)」に基づき、1,000件以上の取り決めを監査した結果、4件をキャンセルすると発表した。うち2件は、ビクトリア州政府と中国国家発展改革委員会の間の「一帯一路」に関する協力覚書で、キャンセルの理由は豪州の外交政策と一致しないためとしている。

[サウジアラビア/イラン] FTおよびロイターの報道によれば、4月9日にバグダッドでサウジとイランの政府高官が秘密会談を行ったという。サウジは、2016年1月に在イランのサウジ政府公館襲撃事件後にイランとの国交を断絶しており、両国の政府高官による会談は5年以上ぶりとなる。両国政府とも公式には会談の実施を認めていない。会談は、3月31日にサウジを訪問しムハンマド皇太子(MbS)とも会談したイラクのカーゼミー首相が設定し、イエメン戦争やレバノン情勢などについて話し合われたとされている。

[米国] 4月22日から開催される「気候サミット」に先立って、バイデン政権は民主党上院議員に対し、2030年までに温室効果ガス50%削減(2005年比)の方針を公表する旨、説明した。従来、米国が掲げてきた目標は2025年までに26~28%削減(2005年比)だった。米国が国際的指導力を発揮するためにも、より野心的な目標を掲げる必要があると判断したもよう。19日にブリンケン国務長官が演説を行い、石炭利用や森林伐採などを進める国に対する外交圧力を高めていく方針にも言及している。

[中国] 鞍鋼集団有限公司(2019年粗鋼生産量世界第7位、中央国有企業)と本鋼集団有限公司(同19位、遼寧省国有企業)の合併話が進んでいるもようで、実現すれば、粗鋼生産量で、宝武集団、アルセロール・ミッタルに次ぐ、世界3位の製鉄メーカーが誕生する。2005年にも合併話があったが頓挫。今回は、本鋼の上場子会社がこの合併交渉に言及する公告を発表したことや遼寧省の第14次5か年計画でもこの合併に言及していることなどから現実味が増している。中央政府は従来から鉄鋼業界の寡占化を促進する方針。

[EU/アイルランド] 4月21日に開催されたアイルランド共和国財務省主催のセミナーで、ドナフー財務相は、今月初めにイエレン米財務長官が言及した世界的な法人税の最低税率設定に反対する見解を発表した。同財務相は、税率引き上げが対アイルランド投資の魅力を損なうことになるとの見解。ルクセンブルクやオランダも税率引き上げには慎重な姿勢を示しているが、ドイツやイタリアは最低税率設定を支持する意向。

[ロシア] 4月21日、プーチン大統領はモスクワで年次報告演説を行い、米・欧のロシアに対する批判には断固対応すると述べ、対決姿勢を鮮明にした。一方、刑務所で健康が悪化しているとされる反体制派指導者ナワリヌイ氏の釈放を求めるデモが極東ウラジオストクなど各地で行われ、治安当局が厳戒態勢で対応した。人権団体によると、1,500人以上が拘束された。

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