デイリー・アップデート

2021年10月18日 (月)

[中国] 10月18日、国家統計局は第3四半期(7~9月期)の実質GDP成長率が前年同期比+4.9%だったと発表した。第2四半期の同+7.9%から鈍化。電力不足や供給制約が生産の足かせとなったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が消費を圧迫した。プラス成長は6四半期連続だが、第1四半期に過去最大の同+18.3%を記録して以降、鈍化傾向となっている。1~9月の実質GDP成長率は前年同期比+9.8%。

[米国] 商務省によると、9月の小売売上高は前月比+0.7%となり、2か月連続で増加した。市場予想は▲0.2%の減少だったため、予想外の増加となった。内訳をみると、自動車・同部品+0.5%、家具等+0.2%、飲食品+0.7%、スポーツ用品・娯楽品等+3.7%が増加した。自動車・同部品については、販売台数が減少した一方で、価格が上昇した影響が大きかった。物価が高止まりする中、消費者マインドが停滞しており、個人消費の先行きが注目される。

[ロシア] 10月16日、政府は、新型コロナウイルスの感染による国内の死者が1日当たり1,002人となり、過去最多を記録したと発表した。千人超えは初めてで、累計の死者は22万人以上。1日当たりの新規感染者は3万3,208人、累計感染者は795万人超となった。

[フランス] 2022年4月の大統領選挙を前に、元政治記者でTVコメンテーターを務めたゼムール氏の支持率が急上昇している。ゼムール氏は反移民、反イスラム、治安強化、反リベラルなどの強硬アプローチで知名度が高い。一方、9月末に「ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(EELV)」が現欧州議会議員のジャド氏を公認候補者として決定したが、支持率は伸び悩んでいる。

[トルコ] 10月14日、エルドアン大統領は金融政策委員会(MPC)の委員3人を解任した(うち2人は中央銀行副総裁でもある)。これを受けて通貨リラは1ドル=9.29リラまで下落。トルコ中銀は、インフレが加速しているにもかかわらず、9月のMPCで政策金利の1%利下げを行っているが、次の10月21日のMPCでも再度利下げの可能性が高まっている。

[米国] バイデン政権が成立を目指す3.5兆ドル歳出法案について歳出規模を削減する動きだけではなく、電力事業者に対してクリーン・エネルギー源によるクリーン発電を年間最低4%増加させるために連邦政府の補助金を拠出するとともに、同基準を満たしていない電力事業者に罰則を科すことを規定した「クリーン発電パフォーマンス・プログラム」の削除を求める動きが浮上している。民主党穏健中道派で石炭産出州であるウエストバージニア州選出のマンチン上院議員が同プログラムに反対を表明。

[中国] 経済メディア「第一財経」は、10月17日、「中国物流集団」という新たな中央国有企業が早ければ10月末にも設立され、その傘下に再編・統合される企業が、中国鉄路物資股份有限公司(中央国有企業)と中国物資貯運集団有限公司・港中旅華貿国際物流股份有限公司・中国物流股份有限公司(3社とも中央国有企業の誠通控股集団有限公司の傘下企業)になる可能性があると報じた。本年8月、国有資産監督管理委員会は、本年下期に送配電設備、近代物流、戦略的資源、食糧備蓄・加工、洋上プラントの分野で中央国有企業の戦略的再編・統合を推進するとしていた。

[中国/米国] 10月16日付けフィナンシャル・タイムズ紙は、米当局者の話として、中国が8月に核兵器搭載可能な極超音速ミサイルの発射実験を実施、ミサイルは低軌道の宇宙空間を飛行した後、目標から約40キロメートル離れた場所に着弾したと報じた。米政府内では、中国の技術が予想よりはるかに進んでいたことに驚きと衝撃が起こっているという。極超音速ミサイルをミサイル防衛システムで防ぐことは困難であり、今後の防衛のあり方や、技術流出に関する議論が白熱するとみられる。

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