デイリー・アップデート

2021年10月29日 (金)

[米国] バイデン政権が成立を目指す歳出法案の中に盛り込まれた気候変動対策関連の施策に民主党穏健中道派のマンチン上院議員(ウエストバージニア州選出)が反対し続けているが、石炭産業と非常に緊密な関係にあるマンチン氏は政界入りする前に自らが設立した石炭ブローカー企業に保有する持ち株で昨年約50万ドルの収入を得ており、エネルギー政策を所管する上院エネルギー・天然資源委員長に就任しているマンチン氏に対しては利益相反との批判が浮上。

[ECB] 10月28日、ECBは理事会を開催し、金融政策の現状維持を決めた。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペースをQ2やQ3より抑える方針。また、ラガルド総裁は、物価上昇が一時的と表現せず、当面高インフレが継続するという認識を示した。ただし、足元の物価上昇の半分はエネルギー価格の上昇によるものであり、その他の要因として昨年の反動もあるため、物価上昇は2022年に落ち着きはじめ、2023年にはインフレ目標を下回るという見方を示した。

[タジキスタン] 10月28日、タジキスタン当局は中国の支援を受け、アフガニスタンとの国境近くに警察施設を建設することを明らかにした。新基地の建設は両国の安全保障関係の深まりを示している。一方、タジキスタンは既にロシアの軍事基地も擁しており、アフガンで実権を掌握したイスラム原理主義組織タリバンが過激派組織を抑え続けることができるかを懸念している。

[中国] 10月28日付の第一財経の報道によると、公務員や準公務員(大学、病院などの職員)が加入する職業年金が、実際には資金の積立を伴わない記帳方式で管理されており、職業年金の支給は将来の政府の支出となることから、財政リスクであり、早急に実勘定方式に切り替えるべきだと専門家が警鐘を鳴らしている。職業年金は、開始から6年経過し、加入者4,100万人、(記帳込みの)資金累計1.6兆元(28兆円強)を超えた。職業年金で実勘定方式を採用しているのは、病院、大学など全体の1~2割に留まる。

[中国] 10月28日、中国生態環境部(省)は、「国連気候変動枠組条約」事務局に、「国が決定する貢献(NDC: Nationally Determined Contribution)」を提出したと発表した。2015年のNDCに比べると、緩やかな進捗がみられるが(二酸化炭素の排出を2030年までにピークアウトさせ2030年まで増加させない、2030年までの太陽光と風力発電の容量を1200GWにすると明記、等)、産業革命以前のレベルより気温上昇を1.5度以内に抑えるためには不十分という声も出ている。

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