デイリー・アップデート

2024年4月2日 (火)

[ナイジェリア] 3月25日~26日にナイジェリア中央銀行(CBN)は金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を22.75%から24.75%に引き上げた。2月に実施された前回のMPCから二会合連続の利上げとなった。中銀は利上げの理由として、インフレ率が1月の+29.90%から2月には+31.70%に加速したことから、金融引き締めサイクルを継続する必要があるとした。特に食品インフレ率は自国通貨安や食糧生産不振の影響を受け1月の+35.41%から2月は+37.92%に加速しており、インフレ圧力の大きな要因となっている。ナイジェリア政府は食糧不安への対処のため、備蓄穀物の放出や肥料・種子、農機具の配布を進めている。

[東アジア/大洋州] 3月31日、世界銀行が発表した東アジア・大洋州地域経済報告2024年4月版で、同地域の2024年の実質GDP成長率を前回の2023年10月時点の見通しの前年比+5.0%から+4.5%に下方修正した。2023年は+5.1%だった。コロナ禍以降の経済再開による回復の勢いが減退したほか、債務の拡大、不動産市場の低迷、高齢化、貿易摩擦などが経済成長の重石となることが経済減速の要因として挙げられた。2025年の実質GDP成長率も+4.3%と、前回見通しの+4.5%から下方修正した。

[米国] NY連銀が推計した「多変量コアトレンド(MCT)インフレ率」は2月に前年同月比+2.9%となり、1月(+3.0%)から縮小した。これは、個人消費支出物価指数のうち17項目について、項目間での共通要因と個別要因を分類した上で、共通要因のみを抽出したもので、物価の基調を捉えやすくしたものだ。2月のPCE物価指数が+2.5%と、1月(+2.4%)から上昇率を小幅に拡大させたものの、MCTインフレ率は縮小し続けており、物価基調が落ち着きつつあることが示唆される。

[中国/インドネシア] 4月1日、インドネシアのプラボウォ・スピアント次期大統領は中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。中国が就任前の指導者を招いて首脳会談を実施するのは異例。駐インドネシア中国大使の陸慷氏は、2月に行われた選挙の数日後にプラボウォ氏の私邸を訪問した際の動画を投稿するなど、新政権を重視する姿勢を見せていた。中国はインドネシアが伝統的な「非伝統的」外交を貫くこと(米国寄りにならないこと)を望んでおり、またインドネシアが有するニッケルなどの戦略的資源と巨大な国内市場を重視している。

[イラン/イスラエル] 4月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館に隣接する領事部の建物に対して空爆があり、建物は崩壊し、革命防衛隊の指揮官2人を含む7人が殺害された。空爆はイスラエルによるものとみられている。イランの外相は、この攻撃はあらゆる国際規約や条約に違反するものであるとして、イスラエルを非難。イランの外務省報道官は、イランには報復する権利があるとの声明を発表。シリアやロシアも、シリアにおけるイランの外交施設に対する空爆を強く非難した。

[米国/ウクライナ] 3月31日、共和党のジョンソン下院議長は、春の休会明けにはウクライナ支援予算案を採決にかける見込みであると発言した。共和党右派を中心とした支援反対派が党内で一定の影響力を持つため、下院議長にとって、ウクライナ支援予算案の採決には政治的コストが伴う。ジョンソン議長は、非軍事支援を融資形態にすること、ロシア凍結資産を流用すること、米国産LNGの輸出促進といった案を検討しているもよう。同氏の地元であるルイジアナ州にはLNG輸出拠点が存在する。米議会は現在休会中だが、4月第2週には審議を再開する予定になっている。

[米国/ウクライナ] ウクライナ戦争では、地上戦でロシア軍の優勢が鮮明になる中、ウクライナ政府軍は、ドローン攻撃を重視しており、ロシア西部の石油精製施設や石油ターミナルなどのエネルギー・インフラを標的に相次いで攻撃している。このような攻撃によるエネルギー価格高騰により、バイデン大統領の再選が厳しい状況に置かれることを懸念した複数のバイデン政権関係者が、ゼレンスキー政権に対して、ロシアのエネルギー・インフラを標的にした攻撃をしないよう警告し、波紋が広がっている。

[アルゼンチン/コロンビア] アルゼンチンとコロンビアの間で高まっていた外交的な緊張は、相互の相違を克服することで合意、アルゼンチンのミレイ大統領選出以降こじれていた両国は、関係修復に向けて動き出した。コロンビアのペトロ大統領は、親近感のあるアルゼンチンのペロン党を支持していたが、ミレイ氏の勝利を「極右の出現」と評したことから関係が悪化しはじめた。ミレイ氏の攻撃的な反応に対し、コロンビアは、ボゴタからアルゼンチン外交官を追放すると発表するなど緊張感が高まっていた。関係修復のアクションとして、アルゼンチンの外務大臣が近くコロンビアを訪問するもよう。3月31日遅くに発表したのは、エイプリルフールを避け、イースターに関係の復活を目指したとみられる。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナ第2の都市、東部のハルキウ市(人口約130万人)では、ロシアの大規模なミサイル攻撃により都心のエネルギーシステムが破壊され、15万人以上のハリコフ住民が住居を失ったと、ハルキウ市長が地元メディアのインタビューで明らかにした。ロシアは以前からウクライナの送電網を攻撃しており、ハルキウ市のエネルギー施設へ15回を超える攻撃があった。

[チェコ/ベルギー] 3月27日、チェコ外務省と同広報機関が、親ロシア派ネットワーク関係者2名とメディア1社を国内の制裁リストに追加したことを発表。金銭と引き換えにロシアのプロパガンダを拡散していたとみられる。チェコのフィアラ首相は、ヨーロッパ諸国がロシアのスパイネットワーク活動の調査を開始したことを発表。ベルギーはソーシャルメディアの監視を強化した。

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