デイリー・アップデート

2024年4月12日 (金)

[ASEAN/日本/中国/韓国] 4月8日、シンガポールにある国際調査機関、東南アジア諸国連合(ASEAN)+3マクロ経済調査事務局(AMRO)は、2024年のASEAN10か国+日中韓の実質GDP成長率が前年比+4.5%になると予測した。その理由として、消費と投資が引き続き堅調であり、特に半導体の生産と観光業の回復が後押しとなる、と説明した。2023年を振り返ると、輸出の弱さの中で内需に支えられ、2022年の+3.2%から+4.3%に拡大した。世界経済およびASEAN+3にとって、2023年前半と後半で異なる展開がみられた。前半は、欧米で積極的な金融引き締めや短期的な金融市場の不安定さ、高いインフレが続き、後半は、政策金利が据え置かれ、金融市場が安定し、経済成長はインフレの緩和とともに強さを示した。

[ユーロ圏] ECBは4月11日に理事会を開催、政策金利を据え置くことを決定した。据え置きは5会合連続。また、声明文に、「物価上昇率が持続的に2%の中期目標に収束するという確信がさらに高まれば、金融政策の現在の制約的な水準を低めることが適切になり得る」と、利下げを示唆する文言が盛り込まれた。ラガルドECB総裁は、6月までの経済指標を確認して、利下げを行うことを示唆した。

[アルゼンチン] ハビエル・ミレイ大統領は、低迷する経済を安定させるために外国からの投資を呼び込もうとしているが、一部の多国籍企業は、逆にアルゼンチンを見限る状況となっている。HSBCホールディングスPLCが事業の売却を発表したほか、クロックスやエクソンモービルなども撤退する。

[南アフリカ] 南アのシンクタンク「ソーシャル・リサーチ・ファンデーション(SRF)」が4月に実施した世論調査によると、与党「アフリカ民族同盟(ANC)」を支持すると回答した有権者は過去最低の37%となった。5月29日に国民総選挙を控える南アでは、1994年の民主化以来、単独政権を維持してきたANCの支持率の低下により、連立政権を組成するとの見方が強まっている。同調査では、「どの政党との連立を好むか?」という質問に対し、ANCと最大野党「民主同盟(DA)」の連立が25.4%、次いでANCと極左野党「経済的開放の闘志(EFF)」が24.9%との回答結果だった。

[米国/イスラエル] 4月11日、バイデン政権は、中東地域を所掌する中央軍司令官をイスラエルに派遣し、イランからの報復攻撃に備えるための協議を行う。4月1日にシリアにおけるイランの外交拠点に対して空爆が行われ、イラン革命防衛隊の幹部が死亡。イランがイスラエル、または中東における米軍拠点への報復攻撃を行うとの観測が広がっている。イスラエル政府は空爆を認めていないが、米国は、イスラエルが当攻撃について米国にあらかじめ連絡をしなかったことを不満に感じており、今後の連携の在り方について協議を行う模様。バイデン政権は、ネタニヤフ政権のガザ地区における攻勢についても不満を明らかにしている。

[米国] 復活祭休会が明けて4月9日から米議会の審議は再開されたが、4月12日に下院共和党指導部を率いるジョンソン下院議長はフロリダ州のトランプ前大統領の邸宅「マールアラーゴ」を訪問し、選挙の安全性に焦点を当てた演説を行うとともに、トランプ氏とともに記者会見に応じる方針。トランプ氏は、2020年に続き今回の2024年大統領選挙でも民主党陣営による大規模な不正が行われると、具体的根拠を示さずに訴えている。

[ロシア] 個人投資家による金購入が伸びている。ロシア財務省によると、2023年における個人の金地金の購入量は95トンと、前年(2022年は同100トン)に続いて高水準を保っている。背景には2022年3月以降、個人が金を購入する際、付加価値税(VAT20%)を支払わなくていいとロシア大統領令が発表され、さらに2022年7月以降には売却の際、個人所得税(NDFL) も免除された。通貨ルーブルの減価や物価上昇への懸念もあり、「無国籍通貨」でもある金は魅力を増している。

[スイス] 4月10日に連邦理事会が、6月にウクライナ平和会議を開催することを発表した。アムヘルド大統領は、同会議の目的を、国際法と国連憲章に従った公正かつ永続的な平和を達成するためのハイレベルな対話の設定とし、また目標を、ロシアの和平プロセス参加のための具体的なロードマップ作成と定義し、ロシアが参加しないことを発表。ただし、グローバルサウスからの同会議への参加を促すため、スイス政府はロビィ活動を展開している。

[イスラエル] イスラエルでは18歳以上の男女に兵役義務があるが、建国以来ユダヤ教超正統派の学生に対しては徴兵が免除されてきた。2023年10月から続くガザ戦争に多くの予備役が動員され経済も疲弊する中、兵役にも就かず国家からの補助金で生活しているユダヤ教超正統派の人たちに対して一般国民は不満を高めており、イスラエル高裁は超正統派の学生が徴兵に応じない場合に神学校に対する補助金を停止する暫定措置を発表した。4月30日までに政権が何らかの策を取らない限り、超正統派の兵役免除は廃止されることになる。

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