デイリー・アップデート

2024年4月8日 (月)

[米国] 労働省が発表した3月の「雇用統計」によると、非農業部門雇用者数は前月から30.3万人増加した。失業率は3.8%となり、2月(3.9%)から低下した。4%割れは26か月連続のことだった。また、平均時給は前年同月比+4.1%となり、上昇率は2月から▲0.2pt縮小したものの、前月比は+0.3%と2月(+0.2%)から加速した。雇用・所得環境は堅調に推移している。

[米国] ノーベル賞受賞経済学者アンガス・ディートン氏は、労働組合、移民、世界貿易などの主要なテーマについて、自身の見解を再検討しているという。経済学者は追い詰められると、所得に基づく功利主義に頼る。しかし、幸福をお金や消費と同一視することで大切なことの多くを見落としている。現在の経済思想では、家族や地域社会における人々の関係よりも個人の方がはるかに重要で、分配への関心は平均に注目することで無視され、しばしば「国家利益」と無意味に表現されるようにもなった。例えば、最近の全米自動車労働組合のストライキについて、経済学者なら、コストが安い中国で自動車を製造するのが論理的な動きだと言うかもしれないが、それは起こらなかった。低技能低賃金の仕事をしたくないから移民が必要との主張について、米国人は誰もその賃金でやりたくはないということだと指摘している。

[インド] 大手グローバル不動産総合コンサルティング会社であるナイトフランクの住宅市場の最新報告書によると、インドの主要8都市(ムンバイ、デリー首都圏、ベンガルール、プネ、ハイデラバード、アーメダバード、チェンナイ、コルカタ)での2024年1~3月の住宅販売戸数が、2023年同期の79,126戸から86,345戸に増加した。新型コロナウイルス感染症拡大が収束して以降、住宅市場は急速な回復軌道にあり、特に高級住宅・オフィススペースへの需要が急増している。1億ルピー(120万ドル)以上の高価格帯の住宅販売が2024年第1四半期に前年同期比で259%増加したことが、販売の急増をけん引した。住宅価格は2024年1月から3月にかけて、主要8都市で2~13%上昇し、オフィスの賃貸料は1~9%上昇した。

[イスラエル/パレスチナ] 10月7日のハマスによるイスラエル奇襲をきっかけに始まったイスラエルによるガザ攻撃の開始から、ちょうど半年が経った。ガザにおける死者数は33,100人を超え、負傷者数は75,800人を超えたが、いまだにガザでのイスラエル軍による攻撃は続いている。4月7日にエジプトのカイロで、イスラエル・ハマス双方の代表団が参加する停戦交渉が再開。翌8日にはそれぞれがイスラエルとカタールへ戻り上層部との調整を行い、2日以内に再度カイロでの交渉が行われる予定。今後の交渉の展開が注目される。

[米国] 11月5日に投票が行われる2024年米国大統領選挙では、前回2020年に続き「バイデン対トランプ」の再対決となることが確実となった。米世論調査会社大手ギャラップ社は、3月1日~3月20日で、全米の成人1,016人を対象に投票への「熱意」に関する最新世論調査を実施し、2024年大統領選挙の投票に「より熱意がある」との回答は民主党系有権者では55%であったのに対して、共和党系有権者では59%となり、共和党系有権者が4ポイント上回っていることが判明した。

[スロバキア] 4月6日に実施された大統領選挙の決選投票で、元首相で現Halas党首のペレグリニ氏が、得票率53.12%で勝利した。3月23日に行われた第1回投票で、得票率42.51%でペレグリニ氏(37.02%)を上回っていたコルチョク元外相は、得票率46.87%で敗退した。6月に大統領就任予定のペレグリニ氏は親ロシア派で、対ウクライナ軍事支援に反対。また、ウクライナのNATO加盟は第3次世界大戦の始まりを意味するとして反対している。

[ドイツ/中国] ドイツ紙「ハンデルスブラット」によると、ショルツ独首相が来週訪中する際に、緑の党のレムケ環境相、エズデミル食糧・農業相、自由民主党のウィッシング運輸デジタル相の3人の閣僚が同行するもよう。ウィッシング氏は5Gネットワーク構築から中国通信機器大手ファーウェイを排除することに反対している。また、シーメンス、コベストロ、BASF、DHL、BMWなど数十社のCEOも参加する見込み。他方、ドイツ工業連合会(BDI)の会長は首相の訪中に同行しないことを決めた。BDIは中国に対する批判を繰り返し表明しており、2022年にドイツ政府はBDIの同行申請を却下している。

[ミャンマー] 4月4日、民主派の「挙国一致政府(NUG)」がネピドーでドローンを使って国軍の司令部と空軍基地を攻撃したと発表した。国軍は同日、飛来した計7機のドローンを撃墜し、施設に被害はないと発表した。NUGは死傷者が発生したとの報告があると述べているが、被害の詳細は明らかになっていない。

[ロシア] ラブロフ・ロシア外相は4月8日~4月9日の日程で中国を訪問し、王毅外相と会談する。ウクライナ戦争や両国の関係強化について協議するもよう。関係筋の話として、プーチン大統領も近く、中国を訪問して習近平国家主席と会談するとみられる。先月、大統領選挙で勝利したプーチン氏が新たな任期に入ってから初めての外遊になる。

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