デイリー・アップデート

2024年4月4日 (木)

[ペルー] ボルアルテ大統領の、ロレックスをめぐる不正蓄財疑惑のスキャンダルは、大統領の自宅と官邸の家宅捜索や、大臣6人の辞任へと発展した。今回の大臣の入れ替えは、意味のある政策変更を示すものではなく、保守的な議会との良好な関係を維持するためのもの。議会も議員任期の短縮を恐れており、当面は大統領の弾劾の可能性は低いとみられる。

[エチオピア] エチオピアからパリクラブメンバーらへの債務返済については、2023年11月、パリクラブ・中国らで構成される「公的債権者委員会(OCC)」と、2023年1月~2024年12月の間に返済すべき債務の繰り延べにつき合意されていたが、その条件として、IMFからの支援合意を、3月末までにIMFスタッフとの間で取り付けることが課されていた。このたび、3月19日~4日2日までエチオピアを訪れていたIMFスタッフは、同国との協議を4月下旬まで継続すると発表したことから、OCCも3月末までとしていた期限を、6月末まで延期する見込みであると、複数の報道機関が報じている。

[米国] Wall Street Journal紙は、3月17日~3月24日までの期間で、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの「激戦州」7州で、それぞれ登録有権者600人を対象に最新世論調査を実施し、4月2日、結果を公表した。「バイデン対トランプ」の再対決の場合、トランプ氏は6州でバイデン氏に対して1ポイントから6ポイントの差をつけて優位を維持しており、ウィスコンシン州のみ、両氏ともに46%で同率であった。現職大統領バイデン氏の苦戦が明らかになった。

[米国] 米国で鳥インフルエンザが拡大し、食料品価格の高騰が危惧されている。4月に入り、テキサスとカンザスの乳牛で最初に検出された毒性の強い鳥インフルエンザは、牛から牛へ伝染したもので、同じ株がミシガンでも確認された。アイダホ、ニューメキシコでも推定陽性反応が報告されたと連邦当局者が発表している。また、農務省の発表によると高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の存在が確認され、野鳥によって持ち込まれたとしている。なお、感染した牛の死亡例はなく、その後回復している。鳥インフルは養鶏場へも拡大しており、テキサス、ミシガンでは生卵業へ影響が出ており、一部施設では出荷停止となっている。テキサスの養鶏場では鳥インフル感染で全体の約3.6%に相当する鶏が死滅した。豚への感染事例と殺処分についても報告されている。

[EU/中国] 4月4日、欧州委員会は、ルーマニアのソーラーパーク建設に関して、EUの外国補助金規制に基づき、中国企業が補助金を受けて不当な入札を行ったかについて調査を開始したと発表した。調査対象となっているのは、ルーマニアのENEVOグループと中国隆基緑能科技の子会社のコンソーシアムと、上海電気集団の子会社である。EUでは加盟国政府による特定企業への補助金が原則禁止されており、域外国政府の補助金を受けた企業とEU企業の間で公平な競争環境を確保するため、2023年10月に外国補助金規則の実施規則が採択された。

[インドネシア] プラボウォ国防相・次期大統領が、3月31日から4月2日に中国、4月2日から日本を訪問し(4日まで滞在)、習近平国家主席と岸田首相とそれぞれ会談した。2月の大統領選で勝利した後、初めての外国訪問となる。ジョコ政権の路線を受け継ぎ、日中両国を重要国と位置づけ、双方と経済・安保面での協力を深める姿勢を示した。

[トルコ] 4月3日、トルコ統計局は3月のトルコの消費者物価指数(CPI)を発表。前年同期比で+68.5%と、2月の+67.1%をさらに上回った。教育セクターやレストラン・ホテル、医療セクターがCPIの上昇をけん引している。前月比では+3.16%と、2月の+4.53%からは下がっている。トルコ中央銀行はインフレを抑制するため、3月の金融政策委員会(MPC)で500bpの利上げを実施し政策金利を50%に引き上げたが、依然インフレは高止まりしており、専門家は今月のMPCでもさらなる利上げがあると予想している。

[米国/中国] 4月2日、米財務省はイエレン財務長官の訪中旅程を発表し、4月4日から広州、4月7日からは北京を訪れ、会談などに臨むと明らかにした。広州では、何立峰副首相など、中国の経済運営を担う政府関係者や米企業との対話を実施し、北京では李強首相との会談も予定されている。イエレン財務長官個人は、米中経済関係の現実を踏まえ、過度な強硬策には反対する立場と目されているが、今回の訪問に先立って、中国側のクリーンエネルギー関連製品の過剰生産問題などを提起すると発言している。

[ロシア] ロシアでは、かつてソ連崩壊後に民営化された元国営企業に対して、その民営化の結果についての見直しの動きが強まっている。2024年3月末、ロシア最大のパスタメーカーであるマクファ社(MAKFA)およびその関連グループ会社が汚職防止法違反の疑いで起訴され、最高検察庁はマクファ社およびその関連する34社の株式を国家所有に変えるよう要求した。マクファ社は1990年代に民営化され、オーナーは元チェリャビンスク州知事のユレーヴィチ氏(55才)などだった。

[英国] ワールド・セントラル・キッチン(NGO団体)の職員7人がイスラエル軍の空爆で殺害されたことをめぐり、英国政府のイスラエル政府に対する姿勢が硬化している。スーナク首相はネタニヤフ首相との電話会談で、状況がますます耐え難いと伝えた。英国内で対イスラエル武器輸出を停止するよう圧力があるものの、英政府は、同国の対イスラエル武器輸出はイスラエルの総輸入額の0.02%であり、比較的小規模と主張している。

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