デイリー・アップデート

2024年4月11日 (木)

[ブラジル] ブラジルの再生可能エネルギーの割合は、近年大幅に増加しており、国際的に見ても最もクリーンなエネルギー・マトリックスを有している。しかし、原油や天然ガスの生産は伸び続けており、政府は、環境への配慮と炭化水素資源開発の両立に苦心している。

[サブサハラ] 4月8日、世界銀行は、サブサハラ・アフリカの経済成長率は、2023年の+2.6%を底にして、2024年は+3.4%、2025年には+3.8%に加速するとの予測を示した。インフレ率の低下に伴う個人消費の増加をその理由としている。しかし、一人当たりの成長率は2024年で+0.9%と、2000年~2014年の平均成長率の+2.4%を下回る予測のため、現在の成長率の水準は同地域の貧困削減には十分ではないとしている。また、各国での財政再建に向けた努力により、財政赤字の中央値は2024年には対GDP比で3.5%、公的債務は対GDP比で57%にいずれも低下する見込みだが、債務危機のリスクは依然として高いとしている。

[アジア太平洋] 4月4日、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は、「アジア太平洋経済社会調査2024」を発表し、同地域の開発途上国での経済成長率の見通しを、2024年と2025年の両年ともそれぞれ4.4%とした。経済成長率は、2022年の3.5%から2023年には4.8%に加速したが、2024年はそれから減速することになる。2023年の回復には、コロナ禍における制限を解除した中国や、軍事関連の投資が増加したロシアなどが寄与していた。インドは堅調な家計消費と公共インフラ投資が支え、世界最速の経済成長となった。

[米国] 労働省によると、3月の消費者物価指数は前年同月比+3.5%となった。上昇率は2月(+3.2%)から拡大、拡大は2か月連続だった。また、食品とエネルギーを除くコア指数は+3.8%で、2月と同じだった。パウエルFRB議長は、物価上昇率が2%目標に向かう過程を、「でこぼこ道」と平坦ではなく起伏があることを示唆していたものの、市場では利下げがますます遠のいたという見方が広がった。

[米国/日本] 4月10日、バイデン大統領と岸田首相は首脳会談を終え、共同記者会見に臨んだ。メディア側からは、米インフレ状況、U.S.スチール社買収問題、日米防衛能力の強化、米英豪安保協力枠組み(AUKUS)と日本、米・イスラエル関係、対北朝鮮外交と日朝首脳会談の可能性について、質問が投げかけられた。日本製鉄による買収案件については、首脳会談にて議論されたことを両首脳は認めたが、具体的な内容は明かされず、バイデン大統領は、米労働者への約束、そして同盟国に対するコミットメントの双方を守ると発言するにとどめた。

[米国] 近年米国は中南米地域への関与を低下させる一方、中国は貿易・投資分野を中心に中南米地域への影響力増大を図りつつ関係強化を図っている。そうした中、3月6日、キャッシディ上院議員(共和党)とサラザール下院議員(共和党)が、低金利融資の拡大等を規定した米国と中南米諸国との関係強化を図ることを目的とする超党派法案「米州法案(”Americas Act”)」を議会に提出した。2024年11月には改選期を迎える中、可決に向けて制約があるが、同法案提出は重要な動きである。

[インド] インド国民の健康状態は悪化しているという憂慮すべき実態が明らかになった。インドの多国籍医療グループ・アポロ病院の報告書によると、インド全土でがんやその他の非感染性疾患の症例が急増し、今や「世界のがん首都」となっていると指摘している。インド人の3人に1人が糖尿病予備軍、3人に2人が高血圧症予備軍、10人に1人はうつ病に苦しんでいる。がんでは女性の発症率が男性より25%高く、比較的若い世代で発症している傾向があるという。例えば、米国で肺がんを発症する平均年齢は70歳だが、インドでは59歳だ。環境要因と社会経済的な要因が組み合わさっているもよう。対処としては、医療インフラへの投資を優先し、予防医療対策の推進により健康格差に対処することによってのみ実現できると、その報告書では述べられている。

[ロシア] 4月10日、ナビウリナ中銀総裁は下院で年次活動報告を行い、金融対策の効果などにより、国内における「インフレのピークは過ぎた」と指摘した。足元のインフレ率は3月の時点で前年同月比+7.7%となり、上昇幅は8か月ぶりの低水準だった。しかし、政策金利は、現状の16%から利下げする余地が小さく、4月26日に予定される政策金利会合での利下げの可能性は少ないとみられる。

[EU] 4月10日の欧州議会本会議で、2020年9月に欧州委員会が提案したEUの移民と亡命に関する新協定を構成する法案に対する投票が行われ、すべての法案が可決された。新協定では、庇護申請者の特定と厳しい審査、国境手続きの迅速化、保護を受ける資格のない人々は自国に戻すなどの移民管理のあらゆる側面を統合することでEU加盟各国の行動を統一し、EU加盟各国の地理的位置や規模にかかわらず、地中海沿岸諸国が直面する移民圧力を軽減することが目的。

[ミャンマー] 4月8日と9日、モン州の国軍施設にソーウィン国軍副司令官が滞在していた際、同施設の建物やヘリコプターがドローンによる攻撃を受けたと現地独立系メディアが報じた。同副司令官を含む数人の軍幹部が負傷したとの情報もある。4月4日にはネピドーでミンアウンフライン国軍司令官の邸宅や国軍本部、空軍基地、4月6日にはモン州で軍政の副首相兼運輸・通信相を務めるミャトゥンウー氏らの車列がドローンによる攻撃を受けた。軍政は、被害は生じていないと発表しているが、民主派の挙国一致政府(NUG)は死傷者が発生したとの報告があると述べている。

[イスラエル/パレスチナ] 4月10日、ハマスのハニヤ政治局長の息子3人と、孫少なくとも3人が、イスラエルによるガザ市近辺での空爆で死亡した。4月10日はイスラム教徒にとってラマダン明けの祝日で、3人を含む家族は、難民キャンプに住む親戚を訪問するために車で移動していたとハニヤ氏は語っている。一方、イスラエル軍は、3人はハマスの軍事工作員であり、ガザ市内でテロを行うために移動していたと発表。ハニヤ氏は、自分の子供たちが殺されたからといってイスラエルとの停戦交渉でのハマスの要求が変わるわけではない、と主張している。

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