デイリー・アップデート

2024年4月9日 (火)

[エクアドル/メキシコ] 4月5日、エクアドル警察が在エクアドル・メキシコ大使館に突入し、館内で亡命を求めていたエクアドルのホルヘ・グラス元副大統領を逮捕した。同氏の拘束後、メキシコはエクアドルとの断交を発表し、国内でも連立与党の団結がほころびはじめるなど、経済的・政治的見通しの不確実性が増大している。

[南アフリカ/オランダ/フィリピン] オランダの港湾運営大手APMターミナルズは、南ア運輸公社トランスネットが実施した入札のプロセスが適切ではなかったとして異議を唱えた、と報じられている。同入札はトランスネットが向こう25年間にわたる「ダーバン港コンテナターミナル第2埠頭」の運営・開発事業の共同パートナーを選定するもの。フィリピン港湾運営大手のICTSIが落札したことに対して、応札したAPMターミナルズが不服を申し立てたとみられる。非効率な経営が続き、経済成長の足かせになっているトランスネットは貨物鉄道部門でも改革を進めており、民間の鉄道運営会社参入の条件を定める鉄道網改革案がパブリックコメントに付されている。

[フィリピン] 4月8日、中央銀行は、政策金利である翌日物借入金利を6.50%で据え置いた。据え置きは4会合連続だった。インフレが加速していることが背景にある。3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+3.70%と2月の+3.40%から加速した。天候不順と内需の高まりで、インフレ圧力は依然として高い上、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを待つ可能性が高いため、中銀は、2024年前半は政策金利を据え置き、利下げは8月以降になるとの見方が広がっている。

[米国] NY連銀の「消費者期待調査」によると、1年先の消費者の期待インフレ率は3.0%となり、3か月連続で横ばいだった。一方で、3年先は2.9%となり、2月から0.2ポイント上昇した一方で、5年先は前月から▲0.3ポイントの低下の2.6%と、強弱が入り混じった見方になった。期待インフレ率は落ち着いてきたものの、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年に比べると、やや高い状態を維持している。

[米国] 4月8日、世界最大の半導体製造企業である台湾のTSMCと米商務省は、同社のアリゾナ州での最先端半導体工場新設計画に対して最大66億ドルの補助金を交付する事前契約を締結したことを発表した。TSMCに対する補助金の交付は、2022年8月にバイデン大統領の署名を受けて成立した「米国半導体・科学法(通称チップス法)」に基づくものであり、バイデン政権は政権発足以降、最先端技術である半導体の米国内での製造を重視する政策を強化してきた経緯がある。

[英国] 英国では大卒者の雇用がここ数年で最悪の状況とされている。求人検索エンジン・アズーナのデータによると、2月の大卒者向け求人数は前年同月比で30%以上減少した。英国全体でも求人数が15%程度減少している状況で、大卒者向けの求人数の減少は、その2倍以上のペースとなっている。労働市場への新参者は、経済的な成功と将来の労働力として不可欠だが、別の労働統計では英国の労働需要は37か月振りの低水準という厳しい状況にある。そのため、賃金上昇率も緩やかになることで、インフレ圧力は弱まる。BOE(中銀)はこれを歓迎しているが、大卒者はそれを嘆くという構図となっている。

[EU] 2月19日に開始した紅海地域を通過する商船を護衛するEUのAspides作戦のこれまでの活動に関して、ボレルEU上級代表は、非常に満足との見解を発表した。EUが介入した理由として、フーシ派の商船による攻撃は、国際法違反であり航行の自由を侵害しており、国際貿易や地域の平和と安全を危機にさらしているためと説明。ただし、Aspides作戦は海上での防衛的な任務のみに限定されており、米国や英国の地上攻撃には参加していないことを強調した。

[香港] 香港税関局長の何珮珊(ルイーズ・ホー)氏はケーブルテレビのインタビューで、先月(3月)、新たに国家安全条例が制定されたことを受け、国家安全保障を脅かす可能性のある物品をよりよく識別するために、税関はガイドラインを改訂し、現場スタッフへの訓練を強化すると述べた。中国共産党に批判的なアップル・デイリー紙(現在は廃刊)や軍事関連の書籍は扇動的出版物とみなされるのかとの質問に対し、ホー氏は「その人の意図による」として、明確な制限はないが、法律に抵触する可能性のある品目の持ち込みを避けるよう忠告した。

[中東] サウジアラビアの最高裁判所は、3月11日から始まった断食月ラマダンが4月9日で終わり、翌10日からラマダン明け休暇(イード・アル・フィトル)に入ることを発表した。サウジでは4月9日から13日までが休暇になる。隣国のUAEでは、ラマダン明け休暇は4月8日から始まり、民間セクターでは12日まで、公務員は14日まで休暇となる。イスラム暦は太陰暦であり、4月8日の夜に新月が観測されなかったため、9日が断食月であるラマダンの最終日となり、10日から翌月が開始する。

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