デイリー・アップデート

2019年5月21日 (火)

[メキシコ] 中銀は政策金利を現行水準の8.25%で据え置いた。インフレ率は3月の前年同月比4%から4月には同4.41%まで加速。エネルギーや食品価格の上昇が主因。中銀は、加速は一時的なものでインフレ率は最終的に目標である3%へ収束して行くとしている。2019年成長率見通しについて、メキシコ財務行政機構は+1.5%から+1.4%へ、Citibanamexは+1.4%から+1.2%へ、それぞれ下方修正している。

[レアアース] レアアースは先端技術製品の製造に不可欠な金属。米国は重要鉱物35種の1つに指定。自国需要の大半を中国に依存するため対中関税第4弾でも対象外としている。豪Lynasと米Blue Lineは米テキサス州にレアアースの新工場を設立し、米国内での資源確保を図る。5月20日、習近平主席が中国江西省のレアアース関連施設を視察したとの報道を受け、市場では対米交渉にレアアースを取引材料にするとの憶測が流れた。他方で中国は近年、政府が違法採掘撲滅政策を進める中でミャンマーからの輸入が増加。現在、輸出入の制限や、レアアース産業強化の必要性が叫ばれている。

[パキスタン] 5月20日、中銀は政策金利を1.5%ポイント引き上げ12.25%とした(2018年に入ってからの利上げ幅は累計6.5%ポイント)。経常赤字の拡大とインフレの高進(4月のCPI上昇率は前年同月比+8.8%で中銀の目標値である+6%を超える水準だった)が背景にある。パキスタンは5月14日にIMFとの間で60億ドルの財政支援を受けるべく事務レベルで合意し、中銀の独立性の強化を約束していた。今後さらなる利上げが行われる可能性がある。

[サウジアラビア] サルマン国王は、サウジ国内の原油輸送施設に対するドローン攻撃およびUAEのフジャイラ沖で発生した4隻の原油タンカーに対する妨害攻撃を受けて、5月30日にアラブ連盟の2つの緊急会合をメッカで開催することを呼びかけた。これに対し、過去2年に亘ってサウジやUAEなどと断交状態のカタール外務省高官は、同会合への招待を受けていないと不満を表明。アラブ連盟は、全ての加盟国を招待したと発表している。

[米国] 5月20日、商務省は華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制を90日間にわたって部分的に緩和する方針を発表した。5月20日から8月19日までの間に限り、華為技術の既存ネットワーク、機器を運用していくために必要な技術、サービスの輸出、再輸出、移転は、従来通り認められる。新規開発に資する輸出は認められないもよう。

[中国] 2016年に始まった、韓国のTHAAD配備に伴う中国の「限韓令」同様、米中貿易摩擦の激化に伴って、中国で放映されるテレビ番組に関して反米的傾向が強められている。中央テレビ映画チャンネルは、5月16~19日、4日間連続で、「上甘嶺」、「血も凍る長津湖」など朝鮮戦争での米軍との戦闘を題材にした戦争映画を放映。民放では、米国留学を題材にしたドラマの「パパを連れて留学へ」が急遽他のドラマと差し替えられ、また昨年9月に撮影した「ニューヨークにて」はタイトルが「北京で待つ」に変更された。

[ドイツ] 連邦銀行は月報で、2019年第1四半期のGDP成長率について、一時的要因による押し上げとの見方を示した。財政出動による個人消費の押し上げ、昨年後半の供給不足による自動車需要の顕在化、良好な天候で増加した建設投資などによる押し上げ効果等が、第2四半期には剥落する見通し。堅調な雇用・所得環境を背景に内需は底堅く推移するも、外需の弱さから製造業を中心に生産が低迷するため。年後半には世界経済の回復とともに、製造業の生産が緩やかに反転する見通し。

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