デイリー・アップデート

2019年7月2日 (火)

[ベトナム] 6月30日、ベトナムとEUがFTA(EVFTA)を調印。今後、双方の批准を経て発効する。EVFTAにより、ベトナムからEUへの関税は品目数で71%が即時撤廃され、その後7年かけて全ての品目で撤廃される。EUからベトナムへの関税は65%を即時撤廃。その後10年かけて99%を撤廃。EU側からは機械や自動車、ベトナム側からは衣料品や履物、農産品の輸出拡大が見込まれる。EUによる東南アジア圏の国とのFTAは、シンガポールに次いで2か国目。

[イラン] イラン政府は、低濃縮ウランの保有量が核合意で規定された上限である300㎏を超過したことを発表、イランの核開発を監視する国際原子力機関(IAEA)も保有量超過を確認した。昨年核合意を一方的に離脱した米国のトランプ大統領は「イランは火遊びしている」と発言。欧州は、イランに規定を守るよう要求。イランのザリーフ外相は、「合意で守られるべき貿易による経済利益を保証するよう欧州に要求しているが、欧州はそれに応えていない」と批判。

[タイ] 現地メディアによると、タイ中央銀行(BOT)は6年ぶりの高値を付けたバーツ対策として、近くホットマネーの流入抑制策を実施する意向を示しているという。海外資金の流入、特に短期債への多額の資金流入が発生しているという。タイ債券協会の統計によると、年初からのタイ国債への海外資金流入額は合計650億バーツだが、そのうち過去1カ月だけで565億バーツに達しているという。

[米国] 米供給管理協会(ISM)が発表した6月の製造業総合景況感指数(PMI)は51.7となり、前月(52.7)から低下した。新規受注が拡大・縮小の節目となる50まで低下、2015年12月以来の低水準となった。一方で、生産や雇用の指数は改善した。コメントをみると、「関税」の影響が広がりつつあることが読み取れる。米中貿易戦争が休戦であっても、現在の関税が続くことから、当面製造業には厳しい環境が続きそうだ。

[原油] OPECは7月1日に開かれた第176回OPEC総会で、従来の協調減産合意を2020年3月末まで9か月間延長することを決定した。2019年の世界石油需要の伸びは前回会合以降、前年比日量114万バレルまで下方修正され、非OPEC供給は同214万バレルの増加が見込まれる中、OPEC+で日量120万バレル減産し在庫適正化を図る。2日に非OPECの減産参加国とも合意する見込み。サウジとロシアで事前に減産延長で合意したことについてイランは「OPECの存在意義が失われる」と強く批判した。

[チリ] 5月の鉱工業生産は前年同月比0.2%減。製造業は1.9%増だったが、鉱業が2%減、ユーティリティーが1.5%減となった。鉱業の中でも銅生産が1.5%減、非金属鉱物生産が6.9%減となり、5月の縮小への影響が大きかった。製造業は化学品生産増が寄与。失業率は6.9%から7.1%へ上昇。サービス業での雇用増より労働力の供給サイドの増加幅の方が大きかった。

[ロシア] 国内最大手の自動車販売ディーラー企業である「ロルフ」は先週、海外への違法送金の容疑で連邦保安局による捜査を受けた。当局によれば、同社は2014年、関連会社の株式の売買を隠れ蓑にして40億ルーブル(約70億円)を不正に海外に送金した疑いがある。「ロルフ」創業者のペトロフ氏(65歳)は容疑を否認し、同社乗っ取りを画策された可能性があるとコメントしている。

[日/韓] 経産省は、韓国を輸出許可申請が免除される「ホワイト国」から削除する手続きを開始し、7月4日からフッ化ポリイミドなど3品目の対韓輸出を個別審査とする旨を公表した。韓国政府は、WTOへの提訴に言及したり、長嶺駐韓大使を呼んで遺憾の意を伝えるなどして日本に対する抗議の姿勢を明らかにする一方、「斯様な事態に備えて、業界と共同で半導体などの技術開発・国産化に努力してきた」と国内向けに釈明。中央日報は、対日外交の不在・無策が「破局」「経済惨事」を招いたとする専門家の意見を報じた。

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