デイリー・アップデート

2019年7月8日 (月)

[ナイジェリア/南アフリカ] ナイジェリアの6月のPMIは54.8と、5月の52.9から改善。生産量及び新規受注が加速し、購買及び在庫も上昇したが、雇用の伸び率および調達価格や生産価格の上昇率は低水準にとどまった。 一方、南アフリカの6月のPMIは49.7と、5月の49.3から改善したが50を下回ったまま。新規受注及び生産量の減少が続いており、雇用の伸びもわずかな上昇にとどまっている。一方、調達価格は燃料費や電気代の上昇及び通貨安から上昇。なお、新政権への期待から見通しは大幅改善。

[金] 6年ぶりの高値圏に入り値動きが不安定化していた金相場は、金曜日の米雇用統計を受けて急落し、1,400ドル割れで越週。米国の良好な雇用環境が確認され、過度な利下げ期待が後退。CME先物市場が織り込む7月の50bps利下げ確率は5.4%にまで低下した。インド政府が2019年度予算案で金輸入税を10%から12.5%に引き上げたのも逆風に。他方、中国の金準備は6月も10t増加。ポーランドが2018-19年に125tもの金購入を行ったことも発表されている。

[イラン] 7月7日、イラン政府は核合意(JCPOA)の濃縮制限(3.67%)を超えて核濃縮を行うことを発表した。欧米やイスラエル政府などは、イラン政府の決定を非難。IAEAは、10日に緊急会議を開催することを決定。またロウハニ大統領はマクロン仏大統領との電話会談を実施し、15日までに対話解決の方法を模索することで合意した。欧州がイランの経済利益を守る手段を講じなければ、イランは60日後にさらなる合意順守の縮小を行うと発表している。

[米国] 6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月から22.4万人増加、失業率は前月から0.1pt上昇した3.7%となった。また、平均時給は前年同月比+3.1%と、前月と同率の伸びではあるが11か月連続で3%超となり、引き続き雇用環境が堅調に推移していることが確認できた。今週にはパウエルFRB議長の議会証言、今月末(30-31日)にはFOMCが控えている。市場では、利下げが確実視されている状況に変わりはない。注目点は、今回ではなく、今後の金融政策についてどのようなコメントが出てくるかだろう。

[インド] 7月5日、2019/20年度(2019年4月-2020年3月)の予算案が発表された。2月に発表された暫定予算の修正になる。歳出総額は約27.9兆ルピー(44.2兆円、前年度比+13%)。インフラ整備に5年間で100兆ルピー(約160兆円)をあてる。航空、アニメ・ゲーム、単一ブランドの小売業、保険の仲介業等の分野で外資規制を緩和する方針。中小企業支援、金融セクター強化も重視。財政赤字(GDP比)は3.3%と暫定予算(3.4%)から縮小。シタラマン財務相は2024年までに経済規模を5兆ドル(約540兆円、2018年度の名目GDPの2倍近く)に拡大させるとの野心的な目標を提示した。実現には年8%超の高成長が必要となる。

[フランス] 7月4日、フランス国民議会(下院)は大手IT企業に対する「デジタル課税」法案を可決した。元老院(上院)は今月中に同法案の採決を実施する見込み。これはフランス国内での売上高が7.5億ユーロを超える海外の、ならびに2500万ユーロを超えるフランスの大手IT企業に対し、フランスにおける売上高の3%相当の課税を導入する法案。IT企業25~30社が課税され、日本企業では楽天とリクルートの2社に適用される見込み。ルメール経済・財務相は同法案の施行による税収増を、2019年に4億ユーロ、2020年には6.5億ユーロと見込んでいる。また、この「デジタル課税」は2019年1月にまで遡及して徴収される。

[中国] 湖北省武漢市新洲区で、本年6月下旬から7月にかけて、ゴミ焼却・発電施設を居住地から遠方に建設することを求める数千名規模の住民と警察当局との衝突が数回にわたって発生しており、ケガ人や逮捕者も出ているもよう。中国では従来、生活ゴミの多くが埋め立て処理だったが、特に都市部で埋め立て処理場が不足し、代わりに焼却場の建設が進んでいる。しかし、焼却場による大気汚染が問題視され、武漢市の現有焼却場も中央テレビで報道された実績があり、住民の不安の一因となっている。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。