デイリー・アップデート

2019年7月25日 (木)

[日本] 7月の内閣府『月例経済報告』によると、「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」と「景気回復」という基調判断を維持した。生産について、前月の「弱含み」から「横ばいとなっているものの、一部に弱さが続いている」に上方修正した。製造業を中心に企業の慎重な姿勢がみられる一方、底堅い個人消費を背景に非製造業は堅調に推移しており、二業種間の相違が大きくなりつつある。弱含む製造業と堅調な非製造業という構図は世界的に共通しており、今後の動向が注目される。

[銅/モンゴル] 先週、Rio Tintoは、モンゴルOyu Tolgoi鉱山開発に関して、現在進めている坑内拡張事業の生産開始が2022年5月~23年6月と予定より1年遅れるとともに、コストも19億ドルの上振れになると発表。その後モンゴル政府は、プロジェクト遅延とコスト超過のため収入より負債が大きくなり、国民が恩恵を受けられていないとして、2015年に締結した同社との投資契約の一部撤回の可能性を表明。契約条件変更の可能性が浮上している。近年、資源開発にカントリーリスクの高い国が多く参入している中で注目を集めている。

[アルゼンチン] 6月のインフレ率は前月比+2.7%・前年比+55.8%と減速トレンドが継続。主に食費、通信費、家賃、光熱費、健康関連費が上昇。5月の小売売上高はスーパーが前年比▲13.5%、ショッピングセンターが▲18.7%とともに続落。依然として高いインフレ率の影響が大きい。ただショッピングセンターでは電子機器・小型機器・PC機器こそ前年比▲24.1%だが化粧品、医薬品、余暇・娯楽、衣類・スポーツ衣料、書籍が伸び、スーパーでもオンライン売上は前年比+44.7%(特に牛肉、乳製品などが上昇)。

[イタリア] 仏リヨンと伊トリノを結ぶ高速鉄道計画(TAV計画)に関して、イタリア政権内部では2018年から意見が割れていたことから、イタリアがTAVプロジェクトを中止する可能性が高まっていた。『五つ星運動』が環境への影響や高コストを理由にTAV計画に反対している一方、連立相手の『同盟』は、経済活性化のためのインフラ計画には前向きでTAV計画に賛成してきた。しかし、同計画におけるEU負担分を増額するとのEU側の提案を受け、7月23日にコンテ首相はTAV計画の続行を承認した。イタリア代議院(下院)議員の過半数はTAV計画に賛成しているため、下院の承認も得てイタリア側のTAV建設工事が続行される見通しとなった。

[メルコスール] 7月17日、メルコスール首脳会議がアルゼンチンで開催された。EU・メルコスール間FTA交渉の大筋合意という成果を誇り、メルコスールの新たな出発点と位置づけた。半年ごとに交替する議長職はアルゼンチンからブラジルに委ねられ、ブラジルのボルソナール大統領は次期アジェンダとして、域外共通関税の引き下げ、域内貿易障壁の撤廃、メルコスール意思決定プロセスの合理化などを挙げた。

[IMF] 7月23日、IMFは『世界経済見通し』を発表した。世界経済成長率は2019年が+3.2%、2020年が+3.5%の見込みとし、4月時点の予測からそれぞれ0.1ポイント下方修正した。米中間などの通商摩擦の影響を鑑み、世界貿易量(モノ、サービス)の伸びを2019年について0.9ポイント下方修正し、+2.5%としたことが響いた。2020年は0.2ポイント下方修正し+3.7%とした。

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