デイリー・アップデート

2019年7月5日 (金)

[中国] 急速な高齢化が進む中、民生省は、養老施設の増加と市場化を狙って、施設設立に際しての民生省での許認可手続きを廃止した。だが、実際の設立には民生省以外の行政手続きの煩雑さや高額な土地代など、遥かに多くの険しい障害がある。北京大学の教授は、高齢化問題の解決を市場に委ねた国は世界のどこにもない、中国の養老事業は体系化されておらず、個人・コミュニティ・行政がバラバラに動いている、老人の大部分はカネがないから市場化による解決は不可能で、政府主体の公共事業化が必須と断じた。

[パキスタン] 7月3日、IMFは、財政危機に陥ったパキスタンに対し3年3カ月間で約60億ドルの支援を正式に決定したと発表した。うち約10億ドルをただちに、残りは四半期ごとに経済状況を確認しつつ段階的に融資する予定。IMFは融資条件として財政再建を迫っていたが、6月にパキスタンは前年比+30%以上となる3540億ドルの税収を見込んだ予算案を発表している。また、IMFは電力部門や公的企業などの収支改善を求めていたため、7月から国内のガス料金を最大2倍に引き上げている。

[日本] 総務省「家計調査」によると、5月の実質消費支出は前年同月比+4.0%と、2015年5月以来約4年ぶりの高い伸び率となった。基調判断は「持ち直している」に上方修正された。これは、主に10連休中の宿泊料や航空運賃、有料道路料、外食などが消費を押し上げた効果とみられる。一方で、先月に比べて世帯主、配偶者の収入の伸び幅が縮小しており、実質実収入は▲0.2%と7か月ぶりにマイナスとなった。消費マインドが冴えない状況であることもあり、今後の買い控えなどが懸念される。

[石炭] 中国では石炭が豊富な西部の新疆と東部の安徽省を結ぶ、全長3,324㎞の「世界最長の」超高圧送電線プロジェクトが進んでいる。新華社は、この送電網が完成すると、年間660億kWhの電力が新疆から中国東部に送電されるとし、中国東部の石炭火力発電所の需要減少などで年間3,000万トンの一般炭消費が減少すると報じている。中国では今年1-5月の原子力・水力発電が前年同期比それぞれ24.3%・12.8%増加した一方、石炭火力発電は同0.2%増にとどまっている。

[ブラジル] 5月の鉱工業生産は対前月比▲0.2%と、4月の同+0.3%から反落。鉱業生産活動が回復したが、自動車産業での生産は減少。鉱工業生産は過去半年間、月ごとに拡大と縮小を繰り返し、1月から5月の累計では前年比▲0.6%となっており、生産活動の停滞を示している。なお、5月は前年比では+7.2%だが、昨年5月にほとんどの経済活動を停止させたトラック運転手の大規模ストライキがあったことの反動増だった。

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