デイリー・アップデート

2019年7月4日 (木)

[ベトナム] 7月2日、米商務省は、ベトナムから米国に輸出される一部の鉄鋼製品(耐食鋼材と冷延鋼板)が韓国と台湾から迂回輸出されたものと認定し、最大456%のアンチ・ダンピング関税・相殺関税を課す仮決定を発表。米国は韓国と台湾からの上記鉄鋼製品に対し、2015年12月、2016年2月にそれぞれ追加関税を賦課したが、米商務省によれば、その後ベトナムからの輸入が急増したという。今回の措置は中国製品を標的としたものではないが、迂回輸出を問題視する米国の姿勢がうかがわれる。

[欧州] 7月2日のEU臨時首脳会議で、2019年10月末に任期を迎えるドラギECB総裁の後任として、ラガルドIMF専務理事が指名された。これまで仏財務相やIMF専務理事として欧州債務危機に対応してきた実績が評価されたとみられる。金融政策の方針について詳細は不明であるものの、市場はドラギ総裁のハト派的なスタンスが引き継がれるものと想定している。手持ちの金融緩和手段が以前に比べて乏しくなりつつある中で、貿易摩擦などに起因する世界経済の減速感が強まるなど、今後ラガルド総裁の手腕が問われそうだ。

[アゼルバイジャン] カスピ海産の天然ガスを、ロシアを経由せずに欧州へ運ぶパイプライン「TANAP」が完工した。トルコとギリシャとの国境で、TANAPと接続するトランス・アドリアティック天然ガスパイプライン(TAP)にガス供給できる準備が整ったとアゼルバイジャン側が発表。現在建設中のTAPが完工した後、アゼルバイジャンの天然ガスは来年からTANAP・TAP経由で欧州に運ばれる。

[EU] 7月3日、欧州議会は議長を選出した。その前日2日、EUトップ人事の地理的なバランスを維持するために、欧州理事会は欧州議会議長にブルガリア出身のスタニシェフ議員(S&D)を選出することを求めた。しかし、欧州議会は欧州理事会の勧告に従わず、代わりにイタリア出身のサッソリ議員(S&D)を議長に選出した。欧州議会は欧州委員長選出に際し筆頭候補制システムの適用を提唱していたが、欧州理事会が筆頭候補者から欧州委員長候補を指名しなかったことに対向し、欧州議会も議長選出に際して欧州理事会の勧告に従わなかったもの。

[中国/韓国] 韓国現代・起亜自動車両社の2018年末の全世界の従業員数は、合計17.6万人と前年比約6%増加するも、中国では、同2.4万人と約▲5%減少。2018年の中国市場における北京現代ブランド車の販売台数は79万台、東風悦達起亜ブランド車は37万台と、ピーク時のそれぞれ114万台(2016年)、65万台(同)に較べ低迷している。2019年1-5月の北京現代の販売台数も、前年比▲26%と楽観できない。両社は2019年下期に複数のSUV投入計画があるが、専門家は中国市場全体の低迷から、挽回の可能性を疑問視している。

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