デイリー・アップデート

2020年9月2日 (水)

[米国] 供給管理協会(ISM)によると、8月の製造業総合景況指数(PMI)は56.0となり、前月54.2から上昇した。2018年11月以来の高水準となった。特に、新規受注指数が67.6と、2004年1月以来の高水準となった一方で、在庫指数が44.4と2014年1月以来の低水準になるなど、今後の増産が期待できる内容となった。その一方で、雇用指数は46.4となり、前月から上昇したものの50割れ状態が続く。雇用環境が回復するかどうかが懸念されている。

[米/中] 米国防総省が作成している中国の軍事力に関する年次報告書の2020年版が発表された。過去20年間に中国の軍事力が飛躍的に発展し、海軍艦艇の建造数、陸上発射型の通常弾道ミサイル/巡行ミサイルの装備、統合防空システムなどの分野では米国を上回る能力を有するようになったとして警鐘を鳴らしている。また今年の報告書では初めて中国の核弾頭数について表記し、現在の保有数を少なくとも200発とした上で、今後10年で保有数は2倍以上に伸びるだろうと予測している。

[レバノン] 8月31日からレバノンを訪問しているマクロン仏大統領は、訪問後の記者会見で、レバノン側が今後2週間以内の組閣を約束したこと、今後6~8週間がレバノンにとり非常に重要であること、10月半ばにレバノン支援の国際会議を国連の協力を得てパリで開催すること、2か月以内にレバノン政府による改革が進んでいなければ相応の措置を講じること(事前に政治家に対する制裁にも言及)、そして12月に再度レバノンを訪問することなどを発表した。

[ブラジル] 9月1日、ブラジル地理・統計院(IBG)は今年第2四半期(4-6月期)のGDPが前期比▲9.7%となり過去最大の落ち込みになったと発表。そうした中、ボルソナロ大統領は今年4月から導入している低所得者向けの緊急現金支給プログラムを4か月間延長し12月まで継続する方針を表明した。こうした大統領方針に対して、財政再建に取り組んできたゲデス経済相ら経済チームとの軋轢が表面化しており、市場関係者からはゲデス氏が政権から離れることについての懸念が浮上している。

[中国] 国家統計局と中国物流購買連合会が8月31日に発表した8月の製造業PMIは、51.0(7月51.1)。3か月ぶりに低下したが落ち込みはわずかであり、節目の50を6カ月連続で上回る安定した水準で推移している。大企業や中規模企業の景況感が節目の50を上回る中、小規模企業の景況感が悪化。その4割で資金繰りの逼迫が影響している。財新/IHS Markitが9月1日に発表した8月の製造業PMIは53.1と、7月の52.8から上昇し、2011年1月以来、約9年半ぶりの高水準となった。

[イギリス] スタージョン・スコットランド第一首相(SNP党首)が、スコットランド自治政府の優先政策(2020-2021)を発表した。若年層雇用促進プログラムや、グリーン化・デジタル化への投資に加え、2度目の独立の是非を問う住民投票実施のための計画も発表。来年春までに実施スケジュールや質問設定のための法案を提出する見込み。2026年までの実施が目標とされる。

[中国] 内蒙古自治区にあるモンゴル語で授業を行う学校に対し、中央政府が9月1日の新学期から中国語教育の強化を強行、モンゴルの文化・言語教育を重視する父兄などの抗議行動が発生し、警官との衝突や子弟の不登校、学校側が学生を閉じ込めるなどの事態になっている。具体的には、小・中学校1年に全国統一の国語の教科書を使用するなどというもので、従来は小学3年からだった。国は2017年から国語・道徳・歴史の教科書を全国的に統一したが、5民族自治区(内蒙古、広西壮族、チベット、寧夏回族、新疆ウイグル)では適用が若干緩かった。

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