デイリー・アップデート

2020年9月3日 (木)

[中国] 9月2日、国務院常務会議は、既に国の計画となり、建設の条件も整っていた海南昌江原発二期工事と浙江三澳原発一期工事を認可した。中国では2016年以降原発の建設は低調だったが、2019年に福建漳州原発と広東太平嶺原発が認可されており、今回それに次ぐ認可となった。業界はこれを歓迎。自由貿易港の建設が決まっている海南省は、クリーンエネルギーの供給体制を整備するとしており、2020年内には省内総発電量中の石炭火力の比重を38%以内に制御するとしている。

[米国] FRBの「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、8月下旬までの米経済は回復しているものの、その回復ペースは緩慢なものにとどまっていた。製造業の生産は増加しており、個人消費も自動車などにけん引されて持ち直している。ただし、感染の拡大と制限措置の再導入などもあって、回復ペースは鈍化している。また、地域による景況感の相違も見られている。先行きは回復基調であるものの、感染状況などの不確実性が大きい状態が続く見込み。

[米国] 9月2日、議会予算局の試算によれば2020会計年度の連邦財政赤字は3.3兆ドルで過去最大規模となる見込み。コロナ対策の財政出動が主要因。2020年度の連邦債務残高は対GDP比で98.2%、来年度には104.4%(21.9兆ドル)とGDP総額を超える規模に達する。過去の最高記録は、1946年の対GDP比106%だったが、2023年には107%となり記録を塗り替えるとみられる。現在、連邦債務上限は、2019年7月の与野党合意を受け、2021年7月末まで凍結中。

[米国] 米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長のファウチ博士は9月2日に出演したMSNBCの番組の中で安全かつ効果的な新型コロナウイルスのワクチンが年末までに開発されることになるとの見解を表明。また、最近の米国内の新型コロナ感染者数は1日当たり4万人前後で推移しているが、ファウチ博士は受け入れがたい高水準であるとして、1日当たり1万人以下に抑制する必要性を主張した。

[サウジアラビア] 8月31日付けの国王令で、初代国王の孫の一人であるファハド・ビン・トゥルキ王子(対イエメン連合軍司令官)とその息子のアブドゥルアジーズ王子(ジャウフ州副知事)およびその他軍人4名を、国防省内における不審な金銭取引に関わったとして、公職から解任し汚職委員会の捜査対象としたことを発表した。捜査の指示を出したのは、国防大臣も兼任するムハンマド皇太子(MbS)。2017年のMbS皇太子就任以降、「汚職容疑」で捕まった王族や政府高官、ビジネスマンは累計数百人に上っている。

[中国] 新型コロナウイルス流行による景気低迷を受け、中国の国有銀行の上半期利益は前年同期比約10%減となったが、雇用の安定という政府の政策目標を受け、国有5銀行で今年度数万人を採用すると発表した。割り当ては以下の通り;工商銀行1.8万人、農業銀行1.5万人、建設銀行1.6万人、中国銀行1万人、交通銀行2,800人。

[ドイツ/EU] ドイツ政府が、独連邦軍の薬理学・毒物学研究所による解析で、ナワリヌイ氏に使われたのはノビチョク系の神経剤である「明確な証拠がある」と断定したと発表。独政府報道官はEU加盟国、NATO加盟国、化学兵器禁止機構(OPCW)にこの結果を報告するとし、「ドイツ政府はこの事件を強く非難する」ことも強調した。ボレル上級代表も「化学兵器の使用は国際法に違反。今後EU加盟国と協議する」と表明している。

[ロシア] 野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏への攻撃に神経剤「ノビチョク」が使われたことが判明。「疑う余地のない」分析結果が出たと、ドイツ政府が発表した。EUがロシアへの制裁を追加する可能性が懸念され、通貨ルーブルは米ドルに対して1.8%下落した。

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