デイリー・アップデート

2020年9月8日 (火)

[米国] 9月2日、米財務省とデラウェア州はMOUを交わし、経済制裁のより厳格な適用に向け、情報共有や共同捜査を進めていく旨を明らかにした。同州の会社法に則って企業を設立する例が米国では多く、同州の企業登記情報と財務省の制裁対象者リストの照合などを効率よく進めることが目的。MOUには法的義務は伴わず、あくまで自主的な協力を促すものだが、連邦政府の経済制裁の執行に州政府が密接に協力する事例が今後増えてくると推測される。財務省は既にニューヨーク州の金融監督機関と同様の協力関係にある。

[米/中] レイバーデー休暇の本日(米国時間9月7日)、トランプ大統領はホワイトハウスで記者会見に臨み、米中経済関係を大幅に縮小させる方針を表明するとともに、米国から中国などに雇用を移転させる米国企業を罰するとともに、中国国内で事業展開している米国企業を連邦契約の入札から排除する方針を改めて表明。自らの政権下で米国を「世界の製造業の超大国」に変容させ、米国の対中国依存に終止符を打たせるとも発言。

[日本] 総務省「家計調査」によると、7月の実質消費支出(2人以上の世帯)は前年同月比▲7.6%と減少した。6月の同▲1.2%よりマイナス幅が拡大したものの、4~5月の2桁減よりもマイナス幅は縮小している。一方、実収入は同+9.2%と増加、5月+9.8%、6月+15.7%と増加した。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、7月の実質賃金は前年比▲1.6%と減少しており、給付金に所得の押し上げ効果がみられた。

[ベラルーシ] 大統領選挙後の緊張が続く同国では、反政権派の幹部の拘束や国外追放が相次ぎ、反政権派の支持者の間では、ルカシェンコ政権の強権的な手法に対する非難が一層強まっている。9月7日、首都ミンスクでは、反政権派の有力幹部のコレスニコワ氏が覆面姿の数人に車で連れ去られた。治安当局に拘束されたものとみられる。コレスニコワ氏は、大統領選再選挙を通じた政権移行を目指す「調整協議会」の中心的存在だった。

[英国] ジョンソン首相が9月7日の会見で、EUとの将来協定の交渉期限を10月15日に設定することを宣言。期限を宣言することで英国側が交渉の主導権を握ることが目的とみられている。交渉が決裂した場合は、英政府が自国の法律、規則、漁業の完全なコントロールを握れること、世界のあらゆる国と自由に貿易取引ができることから、”我々は力強く繁栄する”と発言。今週提出が見込まれている「国内市場法案」が離脱協定の一部を反故にするとみられており、本日から開始される英EU間の将来協定交渉に暗雲が垂れ込めている。

[米/中] 米国政府が、中国のSMIC(中芯国際集成電路製造)をエンティティー・リストに加えるか否か検討中との報道に対し、SMICは9月5日、次の諸点を挙げ、「米政府各部門との疎通を図り、誤解を解きたい」との声明を出した。◇米商務省はSMICの輸入設備にこれまで多くの輸出許可を発給。◇SMICの製品は全て民生用と商用。軍事転用される事業はなく、軍とも無関係。◇2016年以前、SMICは米商務省の認証エンドユーザーに認定されていた。 「財新網」は、SMICがリスト入りすると中国の半導体産業がさらに大きな不確実性を帯びると警戒。

[中国/豪州] ◇中国で勤務していた豪州のジャーナリスト2名(ABCとAustralian Financial Reviewの記者)が現地警察から呼び出しを受け、本社は2名を慌てて帰国させた。1972年の国交樹立以来、初めて記者証をもつ豪州の駐在記者が中国に一人も存在しない状況になった。◇9月8日、『中国紀検監察報』は、退職して6年後、4年後、11年後の国有企業幹部や役人を重大な規律違反の疑いで捜査しているとして、「引退は(反腐敗からの)安全圏ではない」とする記事を掲載した。退職者に対する取り締まりを改めて示すことで、党の管理・監督を強める目的と思われる。

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