デイリー・アップデート

2025年5月9日 (金)

[ブラジル] 経常収支赤字が急拡大する中、2025年第1四半期までの直近12か月間の経常収支赤字はGDPの3%を超えた。パンデミック時や2015~16年の急激な景気後退を除くと近年で最大の赤字であり、前年同期比では2%悪化している。経常収支の悪化に加えて、2026年の総選挙を控えて財政懸念が高まれば、ここ数か月改善傾向にあったレアルの下押し圧力となる可能性がある。

[モザンビーク] 5月1日、仏資源大手トタル・エナジーズのパトリック・プヤンヌCEOは、同社がコンソーシアムを率いるモザンビークの液化天然ガス(LNG)プロジェクトを2025年半ばまでに再開する見込みだと業界紙に伝えた。年間1,280万トンの大規模な陸上生産施設を伴う同プロジェクトは、イスラム系過激派の襲撃により、2021年から建設工事の停止が続いている。その後治安の改善を受け、3月に米輸出入銀行(EXIM)が47億ドルの融資を承認。プロジェクトの再開に向け、英国とオランダによる残り約22億ドルの融資承認が待たれるが、プヤンヌ氏はこの承認が遅れる場合は、ほかの調達方法を模索する意向を示している。

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、3月の名目賃金(現金給与総額)は+2.1%だった。上昇率は2月(+2.7%)から縮小したものの、上昇基調を維持している。内訳をみると、基本給(所定内給与)は+1.3%、残業代(所定外給与)は▲1.1%だったのに対して、ボーナスなど(特別に支払われた給与)が+13.9%とけん引した。また、実質賃金(持家の帰属家賃を除く総合の消費者物価指数で実質化)は▲2.1%となり、3か月連続のマイナスだった。実質購買力が低下している状態が続いている。

[米国/英国] 5月8日、米国・英国両政府は、通商協定を巡り合意したと発表。米国は一律関税10%を維持する一方、鉄鋼・アルミに対する232条関税「見直し」(英国報道では「撤廃」)、米国の英国車輸入に対する関税割当導入などが含まれる。農産物について米国は、「エタノール輸出7億ドル、牛肉など他の農産物輸出2.5億ドル」の輸出機会が生まれるとしている。米国にとって英国は農産物の大口輸出先ではないが、英国向け最大の輸出品目であるエタノールへの関税が撤廃される。牛肉については英米双方が1万3,000トンの無税輸入枠を設ける。これまで英国の米国産牛肉輸入は成長ホルモンなどリスク基準の問題で限定的だった。

[中国/ロシア] 5月8日、ロシアを訪問している中国の習近平国家主席は、プーチン大統領と首都モスクワで会談し、中ロの戦略的連携を「揺るぎなく深化させる」ことで、両国間で合意した。会談後、両首脳は中ロの関係強化を強調した二つの共同声明に署名し、経済や投資などに関する20以上の協力文書が交わされた。

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