デイリー・アップデート

2019年7月12日 (金)

[EU/ASEAN] EUのASEAN諸国とのFTA交渉の現状について、シンガポール、ベトナムとは1年以内に発効となる可能性が高い。シンガポールとは昨年10月、ベトナムとは今年6月にFTAに署名済み。タイとのFTA交渉はタイが総選挙で民政化されたため間もなく開始される見通し。フィリピンは人権問題があるためEUにとって優先順位はさほど高くない。マレーシアとインドネシアは、EUによるパーム油輸入の規制に対し厳しい報復措置を行う可能性は低い。インドネシアとの交渉は徐々に進められつつあるが、マレーシアとの交渉は難航が予想されている。

[米国] 7月11日、パウエルFRB議長は、上院銀行委員会で発言。自然利子率(中立金利)が以前からの想定以上に低下しており、金融政策が緩和的ではなくなっているとの認識を示した。また、失業率と物価上昇率の関係も以前に比べると崩れていると指摘した。そのため、7月の利下げが適切との見方をしている。FOMC参加者の多くは利下げを支持する一方で、地区連銀総裁の中には現時点での利下げは不要との見方もある。

[ブラジル] 6月のCPI上昇率は前月比0.01%増、前年同月比3.37%増と中銀の目標レンジ内。保健・介護関連サービス料金の上昇が、飲食料品の価格下落、及び、ガソリン・ディーゼルの価格下落による交通費の下落でほぼ相殺された。CPI上昇率は前年末比では2.33%増。前年同月比が5月の実績から大きく減速したのは、トラック運転手の大規模ストライキによる物資不足が原因で単月で1.26%増となった2018年6月の影響がなくなったことが大きく、予想通りの結果。なお、コアインフレ率は3%で安定している。

[ロシア/ウクライナ] 7月11日、プーチン露大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が電話会談した。両首脳の対話は5月のゼレンスキー氏の大統領就任後初。政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘が続くウクライナ東部の紛争解決に向けて意見を交わし、両国にフランスとドイツを加えた4カ国の枠組みでの和平協議の継続も議論した。

[フランス] 2008年から2009年にかけてフランス・テレコムの従業員35名の自殺が連続して発生し問題化、2009年から当局の捜査が始まった。2019年5月6日に開始された同社に対する裁判は7月11日に結審した。検察当局は、ロンバール元CEOを含む旧役員3名に対して「モラルハラスメント」の容疑で懲役1年と罰金15,000ユーロを求刑、また他の旧役員4名に対しては「モラルハラスメント共犯」のかどで懲役8か月と罰金10,000ユーロを求刑した。また、フランス・テレコムが改称した後身の現オランジュ社に対しては罰金75,000ユーロを求刑した。最終判決は2019年12月20日に公表される予定。

[イラン] 英政府の発表によると、7月10日にホルムズ海峡を航行中の英石油タンカーが3隻のイラン船舶によって進路妨害されたが、英海軍のフリゲート艦による警告でイランの船舶はその場を立ち去ったとのこと。米メディアはイランの革命防衛隊が英タンカーの拿捕を狙ったと報道したが、イラン政府はこれを否定。7月4日に英領ジブラルタル沖でイランの原油タンカーが英海軍に拿捕されたことに反発し、イラン政府は報復としてホルムズ海峡での英タンカーの拿捕をほのめかしていた。

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