デイリー・アップデート

2019年12月11日 (水)

[北米] 12月10日、メキシコシティにてUSMCA修正協定に米墨加3ヶ国の代表が署名。同日、米下院民主党がトランプ政権との協定修正交渉妥結を発表したことを受けて、メキシコのロペス・オブラドール大統領、カナダのフリーランド副首相、米国のライトハイザー米通商代表が署名式に臨んだ。自動車をめぐる原産地基準、バイオ製剤の知財保護期間、労働・環境関連規定などが見直されたとの報道があるが、具体的な修正内容は未発表。

[日本] 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)は2019年第4四半期に▲6.2%ptとなった。前回見通し(▲0.4%pt)を下回り、見通し以上に景況感が悪化したとみられる。一方、国内のBSIは▲14.6%ptと前回見通し(▲15.8%pt)を上回った。製造業が見通し以上に悪化したものの、非製造業の悪化幅は想定よりも小さかったため。国内経済よりも海外経済の景況感の悪化が日本企業にとって大きな影響を及ぼしているもよう。

[ブラジル] 11月のインフレ率は前月比0.5%増と加速。食品価格、住居関連費、燃料費の上昇が主な要因。食品ではインゲン豆が前月比6.6%増、食肉が前月比8.8%増。電気代は水力発電比率で変動するが、11月は貯水池水位の低下で、より高額な火力発電の比率が増え、電気代が上昇。ガソリン価格は国際油価と為替で上昇。サービス価格のインフレ率は10月同様0.2%増と非常に低い水準に留まった。11月のインフレ率の前年比は3.2%増で、中銀目標レンジ内であり、レンジ中央値である4.25%を優に下回っている。

[ロシア/ウクライナ] 12月9日、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は、パリで初会談し、ウクライナ東部で続く紛争の解決に向け、今年末までに停戦を完全実施し、双方の捕虜・拘束者を交換することで合意した。和平に向けた協議継続も確認し、4カ月後をめどに次回の首脳会談開催を目指す。一方、焦点となる親ロ派地域への自治権付与に関する協議は難航しており、進展は得られなかった。

[フランス] 12月10日、政府の年金制度改革案に反対する大規模ストライキは6日目に入った。デモ参加者数が5日の80万人から10日には34万人まで減少したものの、電車や地下鉄の運行状況は改善されなかった。マクロン政権は年金制度の赤字額を解消するために、現行42種類存在する年金制度の一本化を考えており、11日にフィリップ首相が年金改革法案の内容を公表する予定。11日以降、法案内容の詳細いかんによってデモ参加者数が増減するとみられる。

[GCC] 12月10日にリヤドで行われた湾岸諸国会議(GCC)サミットに、サウジアラビアなどと断交中のカタールは、招待を受けていたタミーム首長ではなくアブドゥッラー首相が代表として参加。ここ数か月、サウジ・カタール間で問題解決に向けた話し合いがなされており、今回のサミットが和解の契機になるのではと期待されていたが、そうはならなかった。ただし、サルマン国王とアブドゥッラー首相の笑顔でのやり取りなどが報じられており、両国が関係改善に向かっていることが窺い知れた。

[中国] 12月10日、国家統計局は、11月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.5%上昇したと発表。前月実績を0.7ポイント上回り、7年10カ月ぶりの高水準となった。主因はアフリカ豚コレラの影響で出荷減少が続く豚肉の価格高騰(同110.2%)が継続しており、食品価格がCPI全体を3.72ポイント押し上げたため。食品とエネルギーを除外したコアインフレ率は同1.4%上昇と、10月の1.5%上昇から減速。11月の卸売物価指数(PPI)は前年比1.4%低下。製造業で回復の兆しがみられるものの引き続き需要が弱含んでいる。

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