デイリー・アップデート

2019年12月4日 (水)

[中国] ファーウェイ(以下、華為)の元従業員(李洪元 氏)が、同社の不正を内部告発後に解雇され30万元の退職金を得たが、華為は李氏が業務規則違反をネタに当該退職金をゆすり取ったとして後日刑事告発した。李氏は251日間拘束された後、証拠不十分で不起訴となったが、関連する「刑事賠償決定書」や李氏の説明がメディアに公開されるや、華為に対するネチズンの猛烈な非難が殺到、過去の類似の事案も次々とネットにアップされ、炎上状態になった。華為は李氏への謝罪を拒否し、当局を動かして非難投稿の削除を徹底しており、この点もさらに批判されている。

[エジプト] エジプト、エチオピア、スーダンの3か国の灌漑大臣が、エチオピア政府がナイル川の上流に建設中のアフリカ最大規模となる大エチオピア・ルネッサンスダム(GERD)について、2日間の会談を行った。GERDの建設に関しては、規模のあまりの巨大さに、ナイル川下流に位置するエジプト政府はナイル川の水量の減少を懸念し、エチオピアに建設中止を求めてきた経緯がある。先月にはワシントンで米国の仲裁による会議が開催されている。

[米国] 12月3日、下院情報委員会は賛成多数(13対9)で大統領弾劾調査報告書を採択し、下院司法委員会に送付した。これを受けて、下院司法委員会は大統領弾劾の是非を問う決議案の起草作業に入る。一方、下院共和党側は報告書を別途作成し、公開。民主党が主導する調査活動では、大統領弾劾に相当する事実は明らかにならなかったとの反論を明らかにした。

[マレーシア] 11月29日、マレーシア投資開発庁(MIDA)は、2019年1~9月の製造業、サービス業、第1次産業のFDI(海外直接投資)認可額が、前年同期比6.5%増の約156億ドル(663億リンギ)だったと発表。中国からの投資が前年同期比で約半分に減少した一方、米国からの投資は同7倍に急増。米中貿易摩擦の影響で中国での生産を避け米国企業がマレーシアに生産拠点を新設または拡大した。マレーシア政府は、高成長・高付加価値の技術革新に基づく知識集約型産業の投資先となるという目標に重点を置き続けつつ、投資誘致を継続する方針。

[ロシア] 12月2日、プーチン大統領は、国内で販売する全てのスマートフォン、コンピューターおよびスマートテレビに、ロシア製ソフトウエアをあらかじめインストールすることを義務づける法案に署名した。同法律は2020年7月に施行が予定されており、ロシアのIT企業が外国勢に対抗するのを支援するとともに、消費者が新しい端末を購入した後で別途ソフトウエアをダウンロードしなければならない事態を防ぐ狙いがある。

[日本] 12月4日、日米貿易協定が参院本会議で承認され、来年1月1日に発効する見通しとなった。これによって、EPA(経済連携協定)締結国との貿易額が日本の貿易総額に占める割合(EPAカバー率)が約52%まで上昇する。今回は農産品や工業品など物品に限定したこともあり、今後、米国との貿易などをめぐって自動車やサービスなどの扱いについて先送りした課題が残っているため、それらの交渉の行方が注目される。

[ブラジル] 第3四半期の実質GDP成長率は前期比0.6%増、前年比1.2%増となり、大方の予想と第2四半期実績の双方を上回った。1月から9月の累計の前年比は1%増。業種別では鉱業に牽引された鉱工業が予想を上回る同0.8%増となった他、農業が同1.3%増、サービス業が同0.4%増。需要別では輸入が同2.9%増、輸出が同2.8%増で、貿易黒字が2016年第1四半期以来の最低額となった他、個人消費が同0.8%増、政府支出が同0.4%増、予想を上回った総固定資本形成が同2%増だった。

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