デイリー・アップデート

2020年9月15日 (火)

[トルコ] 東地中海におけるエネルギー資源競争でEU諸国との関係悪化が顕著なトルコだが、新型コロナ禍の影響を受けて経済状態の悪化にも拍車が掛かっている。欧州経済の低迷で今年1-7月の商品輸出は前年同期比▲15%、同時期の対内証券投資も同125億ドル減となり、今年1-7月の経常赤字が216億ドルを超えた。外貨準備高も年初に比べ40%減少しており、9月11日にムーディーズは収支の悪化を懸念しトルコの格付けをダウングレード。9月14日には通貨リラが1ドル7.5リラを割った。

[米/中] 2022年冬季五輪大会は北京で開催されるが、フロリダ州選出のリック・スコット上院議員(共和党)は9月12日付ワシントンポスト紙オンライン版に「国際オリンピック委員会は2022年五輪大会の開催地を北京から変更すべき」と題するオピニオンを寄稿。香港での「表現の自由」の弾圧、ウイグル族の弾圧、人権弁護士や活動家の投獄、外国人ジャーナリストの国外退去処分等を挙げつつ、犯罪行為を隠蔽してごまかすための機会を中国に与えるべきではないと主張した。

[フィリピン] フィリピン統計庁(PSA)によると、2020年4~6月期の海外直接投資(FDI)認可額は前年同期比68.8%減の154億6,070万ペソ(約338億円)。国内企業を合わせた投資全体のわずか2.7%。コロナ禍で大半の経済活動が鈍り、2年半ぶりの低水準となった。FDIの大幅減はフィリピン経済停滞の一因。現在、段階的に外出規制が緩和されていることから、今後はやや持ち直す見込み。一方、地場の大手財閥などは生産維持や医療関連に積極投資している。

[英国] 9月14日に下院で行われた「国内市場法案」の第2読会後の採決で、同法案が可決され、委員会による審議ステージに入った。15日から22日にかけて4日間の審議が行われる予定。今後の注目点は、司法特別委員会委員長ニール議員が来週提出するといわれている修正案の審議と採決。政府による国際条約違反を議会が阻止することが出来るという内容になるとみられている。

[日/米/中] 米国のエヌビディア(NVIDIA)がソフトバンク・グループから英国半導体設計会社のARMを買収することに関して中国メディアでは以下のような見方が報じられている。◇この買収によりARMが米国企業の傘下となることで、ファーウエイをはじめとする米国のエンティティーリスト入りした全ての中国企業にサプライチェーン上の危機が訪れる。 ◇2018年7月に米クアルコムによるオランダNXPセミコンダクターズの買収計画が中国の独禁法当局の承認が得られず頓挫したように、この買収計画も中国当局が承認しない可能性がある。

[中国] 9月11日、習近平総書記は「科学者座談会」で演説し、14次5か年計画に向けた科学技術政策方針を示した。「中国の技術は海外に後れを取っており、例えば農産品の種子、工業分野の核心的技術・部品や材料、石油や天然ガス等は輸入依存度が高く、これら問題を解決する技術の向上に努めねばならない」とした。また、「中国の社会主義制度は重要分野に資源を集めることが可能」とし、「重複した研究機関等を整理しつつ国家レベルの研究所を設置する」とした。さらに基礎研究への投資を増やすため、政府の投資増加と同時に、企業・金融機関が支援を増やすよう寄付・財団設立当等を促していくことが重要と述べた。

[ベラルーシ] 抗議デモによる退陣要求に直面しているベラルーシのルカシェンコ大統領は9月14日、ロシア南部のソチでプーチン・露大統領と会談し、あらゆる問題、特に経済分野で緊密に協力していくと表明。これに対し、プーチン氏は経済が悪化しているベラルーシに対し、15億ドル(約1.600億円)の支援融資を実施すると明らかにした。

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