2026年1月7日 (水)
[ロシア/ウクライナ]
2025年1月7日未明、ロシアのプーチン大統領はモスクワ近郊の教会で行われたロシア正教会のクリスマス礼拝に参加し、国家防衛にあたる軍の「神聖な使命」を称賛した。
ロシアやセルビアでは、西欧諸国と異なりクリスマスを1月7日に祝う。これは、両国の主要なキリスト教会(ロシア正教会やセルビア正教会)が宗教行事の暦としてユリウス暦を使用しているためで、ユリウス暦の12月25日(クリスマス)はグレゴリオ暦では1月7日にあたる。
プーチン氏は礼拝後、「ロシアの戦士は常に、主の命令であるかのように祖国と国民を守り救う使命を遂行してきた」と述べ、今後もロシアの歴史的・文化的遺産を守る姿勢を強調した。
一方、ウクライナでは長年、ロシア正教会と同様に1月7日をクリスマスとして祝ってきたが、ウクライナ正教会(OCU)は2023年に宗教行事の暦をグレゴリオ暦に変更。これにより、ウクライナの公式なクリスマスは12月25日に移行した。
[イエメン/サウジアラビア/UAE]
2025年12月30日、サウジアラビア主導の連合軍は、イエメン東部ハドラマウト州の港湾施設を「限定的」に空爆した。連合軍は、大量の兵器や軍用車両が陸揚げされているのを確認したとし、これらは南部移行評議会(STC)を支援するため、UAEから船舶で運ばれたと主張している。空爆による被害は限定的とされるが、サウジとUAEの間の緊張が表面化する事態となった。UAE外務省は武器支援への関与を否定しているものの、STCが同国の支援を受けてきたとの見方は根強い。
今回の事態の背景には、STCの急速な勢力拡大がある。STCは12月初旬以降、ハドラマウト州や隣接するマハラ州で軍事的影響力を強め、州都ムカッラーを一時掌握した。これに対し、国際的に承認された暫定政権は90日間の国家非常事態を宣言し、UAE軍関係者に24時間以内の国外退去を要請。さらに、アリーミー大統領指導評議会議長は、2015年に結ばれたUAEとの共同防衛協定を破棄し、南部・東部の軍事キャンプ管理をサウジ支援の「祖国防衛軍」に引き継ぐよう指示した。
サウジ側は、UAEがSTCの動きを支援し、サウジ南部国境付近での活動を促していることが国家安全保障への「直接的な脅威」だと非難している。サウジ政府は、こうした行為が連合の原則に反するとして、UAE政府に対し撤退と国家統制外の武装勢力への支援停止を要求した。これを受け、UAEは最近の情勢と作戦要件の再評価を理由に、イエメンに残る対テロ部隊の撤退を発表し、事態の沈静化を図る姿勢を示した。
軍事衝突はハドラマウト州で激化し、STC側は少なくとも80人の戦闘員が死亡、150人以上が負傷、130人が捕虜になったと主張している。STCはサウジ軍による空爆を非難する一方、独立国家宣言に向けた2年間の移行期間の開始を表明し、対話がなければ即時独立を宣言すると警告した。その後、STC部隊はムカッラーから撤退し、市民生活は徐々に正常化しつつある。現在、STC指導者のアル・ズバイディ氏率いる代表団が和平フォーラム参加のためサウジを訪問予定で、情勢沈静化に向けた協議の行方が注目されている。
[ギニア/中央アフリカ共和国/フランス/選挙]
12月28日、旧フランス植民地のギニアと中央アフリカ共和国(中央アフリカ)で同日に大統領選が実施された。
2021年にクーデターが発生したギニアでは、それ以降、暫定大統領を務めていた元軍幹部のママディ・ドゥンブヤ候補(41歳)が86.72%の得票率で圧勝した。同氏は、暫定政権発足当時は選挙に出馬せず、民政移管を行う意向を示していた。しかし、2025年9月の国民投票による憲法改正により軍人の立候補を可能にした後、大統領選への出馬を表明。主要野党候補の立候補が事実上禁じられ、野党支持者への弾圧も広く指摘された中で、事前の予想通りの圧勝となった。
「見せかけ」の民政移管と批判する声もあるが、2025年4月に実施された同じく旧仏植民地ガボンの大統領選では、2023年のクーデターを率いたオリギ・ンゲマ氏が同様の憲法改正を経て立候補し、圧勝。その後、アフリカ連合(AU)の参加資格停止が解除された。ギニアもクーデター発生後はAUと西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の参加資格停止が続いているが、今回の選挙後に解除される可能性が高いとみられる。旧仏植民地における反仏感情の高まりにも苦慮しているフランスのマクロン大統領もドゥンブヤ大統領に祝賀の意を電話で伝えており、国際社会もギニアの選挙結果を追認する方向にある。世界有数のボーキサイトの埋蔵量を誇り、また高品位の鉄鉱石を生産する「シマンドゥ」プロジェクトが進展するギニアの2026年の実質GDP成長率は10.5%に達すると予測されている(IMF、2025年10月)。ドゥンブヤ氏による資源国有化重視のスタンスは、ギニア国内で生産する外国企業にとっても重しとなっており、またドゥンブヤ氏は、ギニア独立の父であるセク・トゥーレ初代大統領のように独裁色を強めつつあるとの指摘もある(12月28日付、仏・Le Monde紙)。ドゥンブヤ氏は7年間にわたり大統領を務めることとなる。
5年ぶりに大統領選が実施された中央アフリカでは、2016年以降、2期大統領職を務めている現職のトゥアデラ大統領(68歳、数学者)が76%の得票率で勝利した。主要野党候補は選挙の不正を主張しているが、アフリカ連合(AU)の選挙監視団は2016年、2020年の選挙に比べて比較にならないほど「平穏な選挙」が実施されたと「民主主義の前進」を評価した。トゥアデラ氏は2023に大統領の任期制限を撤廃する憲法改正を強硬に採択したことで野党らからの批判を集めていたが、国際社会とも協力した治安の回復の成果が同氏への支持につながったとみられる。中央アフリカでは、2013年にイスラム系反政府勢力・セレカと政府との間での戦闘が激化し、ボジゼ前大統領が追放された。その後、治安改善を目的として、2014年に「国連中央アフリカ共和国多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)」が派遣され、セレカとキリスト教系自警集団が停戦合意締結。2016年の大統領選でトゥアデラ氏が就任し、2019年には政府と14の武装グループが和平協定に合意し一旦情勢は落ち着きを見せた。しかし、その後、6つの武装グループが協定から撤退したあと、治安は悪化し、2020年には首都バンギの目前まで反政府武装勢力が進行するなど緊張が高まった。この時に政府に対して軍事提供を行い、武装グループ排除に成功したのがロシアの傭兵部隊「ワグネル」である。現在も2,000人程度が中央アフリカ国内で活動しているとみられるワグネルと、MINUSCA、そしてMINUSCAに2,000人前後の派兵協力を行い、二国間協定に基づいて別途1,000人規模を派兵しているルワンダ軍の活動により、2021年には政府支配地域は国土の2割に留まっていたが、現在では90%を支配するまでに回復していると報じられている(1月6日、仏AFP)。ただし、中央アフリカの治安維持体制も盤石ではない。ロシアはワグネルのプリゴジン氏の死去後、同部隊をロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)傘下の「アフリカ部隊」に置き換えると発表している。その一方で、中央アフリカ政府は現金ではなく金などの現物で対価を支払うことができ、すでに国内の武装勢力の状況に精通しているワグネルの駐留継続を希望しており、これがロシア政府との間で軋轢(あつれき)を生じさせている(25年8月6日、米PBS)。中央アフリカがワグネルやロシアとの密接な関係を築いてきたことは、旧宗主国であるフランスとの間の関係悪化をもたらし、仏軍は2022年に完全撤退した。しかし、ロシアに依存してきた安全保障の状況が流動化していることを踏まえ、近年トゥアデラ大統領はマクロン大統領との関係改善に務めている。他方で、マクロン氏はギニアのドゥンブヤ氏に対しては即座に祝賀メッセージを送ったこととは対照的に、トゥアデラ氏に対しては同様の対応を行っていないことは、旧仏植民地とフランス本国との関係の複雑さを映し出す例となっている。
[ドイツ/フランス]
ドイツ連邦統計庁(Destatis)によると、12月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.0%だった。上昇率は11月(+2.6%)から縮小し、市場予想(+2.2%)も下回った。また、物価の基調を表す食品・エネルギーを除くコア指数は+2.4%であり、これも11月(+2.7%)から縮小した。
内訳を見ると、食品(+0.8%)が11月(+1.2%)から縮小して1%を下回り、エネルギー(▲1.3%)は下落基調を継続し、11月(▲0.1%)からマイナス幅を拡大させた。財(+0.4%)が11月(+1.1%)からゼロ%台前半まで縮小した一方で、サービス(+3.5%)は10月以降同水準であり、サービスが物価上昇のけん引役になっている。
また、フランスの経済統計研究所(INSEE)によると、12月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+0.7%だった。上昇率は11月(+0.8%)から小幅に縮小し、引き続き1%を下回っている。内訳を見ると、食品(+1.7%)が11月(+1.4%)から上昇率を拡大させた。特に、生鮮食品(▲0.4%)の下げ幅が縮小した影響が大きかった。また、エネルギー(▲6.8%)は引き続き下落し、11月(▲4.6%)から下げ幅を拡大させた。財(▲0.4%)は11月(▲0.6%)に続いて下落している一方で、サービス(+2.2%)は11月から横ばいであり、サービスが物価上昇のけん引役という構図が続いている。
ユーロ圏域内の他の国の物価動向を確認する必要があるものの、ドイツやフランスの状況を踏まえると、欧州中央銀行(ECB)に利上げや利下げを促す結果ではなかった。フランスの物価上昇率がやや低いものの、食料やエネルギーなど生活費の価格上昇が落ち着きつつある一方で、賃上げなどを背景にしたサービスが物価のけん引役になっている点が評価されるだろう。
[ベネズエラ]
経済面から見たベネズエラの政治移行の最大の意義は、長年停滞してきたソブリン債務再編への道が開かれる点にある。移行政府は、マドゥロ政権下では実現できなかった債権者との本格的な再編交渉を開始できる可能性を持つ。ただし、経済統計や財政状況に関する信頼できるデータが不足していること、債務残高が極めて大きいこと、さらに債権者の構成が多様であることが、交渉を著しく複雑にしている。ベネズエラは2017年以降、約565億ドルのソブリン債およびベネゼエラ国営石油会社(PDVSA)債でデフォルト状態にあり、追加請求を含めると債務総額は1,400~1,500億ドルに達し、GDPの160%を超える可能性もある。
債務再編を完了し、将来的に国際金融市場へ復帰するためには、米国による制裁緩和が不可欠である。しかし制裁緩和は、移行政府が米国の求める条件を満たすことが前提とされ、政治移行が後退すれば再び制裁が強化される可能性もある。このため、債務再編と市場復帰の見通しには依然として大きな不確実性が残る。
それでも、制裁が緩和され、多国間融資へのアクセスが可能になれば、ベネズエラ経済の回復にとって大きな追い風となる。国際社会に承認された政府は、IMFに保有する約50億ドル相当のSDR(特別引出権)を利用できるようになり、同時に正式なIMF支援プログラムの交渉を開始する可能性がある。さらに、これまで凍結されていた海外資産へのアクセスも回復できる見込みがある。ただし、こうした回復が持続的なものとなるかどうかは、政治移行の最終的な枠組みに大きく左右される。
ベネズエラ経済には依然として大きな潜在力があり、適切な政策と制度改革が実施されれば、数年にわたり二桁成長を達成する可能性もある。現在の経済規模は800億~900億ドル程度と見られるが、今後5~7年で倍増するとの見方もある。ただし、経済成長の中核となる石油産業が日量250万~300万バレルの生産水準に回復するには、年間100億~120億ドル規模の投資を今後数年にわたり継続する必要がある。財務制約を抱えるPDVSA単独では対応が困難であり、民間資本の参入には政治的・法的安定性や税制改革が不可欠となる。
トランプ大統領は、米国企業、とりわけ米石油会社がベネズエラ再建に関与する可能性を示唆し、得られた収益の一部を米国の「損害」補償に充てる考えも示したが、その具体的な仕組みや既存債権者への影響は依然として不透明である。
[パキスタン/中国]
1月4日、パキスタンのダール外相は訪問先の中国で王毅外相と会談を実施。5日には両国の関係深化を取り決めた共同声明を発表した。
本声明の中で、両国は「全天候型戦略パートナー」であることを再確認するとともに、一帯一路の一環として進められている中国パキスタン経済回廊(CPEC)につき、特に産業・農業・鉱業に注力してアップグレードすることに合意した。加えてCPECの下で進められているグワダール港の建設・運営を進めるほか、カラコルム山脈を経由し中国の新纏ウイグル自治区とパキスタンのギルギット・バルティスタンを結ぶカラコルム・ハイウェイにおける流通円滑化を進めることに合意した。
なお中国外務省は本会談にかかる声明の中で、「ベネズエラにおける情勢変化は国際社会からの注目を集めている」とベネズエラを明言したうえで、「中国はどの国も世界の警察官として振る舞うべきではない」としている。
他方で共同声明の中では「覇権主義や国家の主権を侵害するようないじめ行為に反対する」と記載されており、ベネズエラに関しては明言されていない。
[人口問題]
サイエンス誌の人口動態に関する寄稿より。20世紀型の人口転換(高出生・高死亡傾向から低出生・低死亡傾向へ)は世界の大半で終了し、出生率が人口置換水準(約2.1)を下回る国の人口は2025年に世界人口の約3分の2に達した。結果として、人口変動の主因は「移民」と「長寿」に移行しつつある。
国連や主要研究機関は共通して、世界人口は2070~2090年代にピークを迎え減少へ転じると予測している。特に高出生率国では、出生率低下の主要因が明確だ。女性の教育水準向上、都市化、乳幼児死亡率の低下、避妊・生殖医療アクセス拡大、経済発展による子への依存低下と子育てコスト増加などだ。
こうした変化は今後もサハラ以南アフリカで進むが、進行速度は不確実なものとなっている。既に出生率が低い国では、出生率がどこまで下がり、安定するか反転するかを予測できない状況。
いずれの研究でも理論的根拠は弱く、決定的なモデルは存在しないのが実情。政策として手厚い家族支援(保育、育休、雇用安定)の効果は限定的で、出生率をわずかに押し上げる可能性はあるものの人口置換水準には戻せない。効果があっても高学歴層・共働き世帯など一部に偏る傾向がある。「望む数の子どもを持てる社会をつくる」方が現実的な政策方向とされる。
高所得国で、希望より少ない子どもしか持てない理由は、経済的制約、働き方と家庭の両立困難、パートナー関係の不安定化、出産年齢の上昇による不妊増加などで、こうした課題が今後縮むのか、それとも拡大していくのは予測困難だ。
高所得国では移民が人口増の主因になっているが、移民流入は政策・地政学で大きく揺れ動き、実際のところはデータも不完全だ。医療進歩による長寿化が続くとみる専門家がいる一方で、最近の頭打ち傾向を限界の兆候とみる専門家もあり意見は割れている。出生率1.5から1.7への小幅改善や移民調整では、年齢構成や人口減少を「簡単に修正」はできないので、社会制度・労働市場・福祉システムの抜本的変革が必要とされるのが現状である。
こうした不確実性を前提としたシナリオ思考「人口減少・高齢化の下でも繁栄をどう維持するか」への政策転換が重要となってくる。
[ウクライナ/米国/有志国]
1月6日、パリにおいてウクライナを支援する有志国による首脳級会合が開催された。同会合には35か国が参加し、ウクライナを含む27か国の首脳がパリに集まった。米国からはウクライナの和平交渉を担ってきたウィトコフ特使とトランプ大統領の長女の夫クシュナー氏が参加した。
共同声明は、ウクライナに対する拘束力のある安全保障の可能性を示しており、「将来ロシアによる武力攻撃があった場合に備え、ウクライナ支援と平和と安全の回復に向けた方針を定める拘束力のあるコミットメントを最終決定することに合意した」と示されている。この約束は、NATO条約第5条を彷彿とさせるものであり、共同宣言では、「これらの義務には軍事能力の展開も含まれる可能性がある」と共同声明は明言している。米国はパリ首脳会議で連合への支持を約束し、最終宣言によれば和平合意の監視において重要な役割を果たす予定である。
首脳会合終了後、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相およびウクライナのゼレンスキー大統領は、停戦後にウクライナに兵士を展開する内容の文書に署名。スターマー首相は、「停戦後、英国とフランスはウクライナ全土に軍事拠点を設置し、ウクライナの防衛ニーズを支援するための武器や軍事装備のための保護施設を建設する」と述べた。
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