デイリー・アップデート

2026年1月19日 (月)

[グリーンランド/米国/欧州] 

1月16日、トランプ大統領は、グリーンランドの支配計画を拒否する国々に対して懲罰的な関税を課すと発表。

 

翌17日には、トランプ大統領はデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英仏独、オランダ、フィンランドの8か国に対し、2月1日から10%の追加関税を課し、6月1日には25%に引き上げると発表。この追加関税は、グリーンランドの完全な購入に関して合意に至るまで適用されるとのこと(なお、2025年以降、ほとんどの対米輸出品に15%の関税率が適用されている)。また、トランプ大統領は欧州諸国によるグリーンランドへの部隊派遣につき、「極めて危険で、容認できないリスクを招いている」と発言。

 

1月18日、加関税の対象となった欧州8か国は共同声明を発出。共同声明は、「関税の脅威は大西洋横断関係を損ない、エスカレーションのリスクを伴っている」と評価した上で、「我々は引き続き団結し、連携して対応していく(…中略…)主権を守ることにコミットしている」と述べている。

[米国] 

連邦準備制度理事会(FRB)によると、2025年12月の鉱工業生産指数は前月比+0.4%となり、11月と同じだった。2か月連続のプラス。内訳を見ると、製造業は+0.2%、11月(+0.3%)からやや減速した。11月分は速報値(ゼロ%)から上方修正された。鉱業(▲0.7%)は11月(+1.7%)から2か月ぶりのマイナスに転じた。公益事業(+2.6%)は2か月ぶりのプラスだった。

 

また、製造業のうち、耐久財(+0.1%)は3か月ぶりに、非耐久財(+0.3%)は2か月連続で増加した。自動車・同部品(▲1.1%)や木材・同製品(▲2.3%)は4か月連続のマイナスだった。一方で、一次金属(+2.4%)や電気機械・家電(+1.7%)、航空機等(+1.5%)が増加した。また、非耐久財では、食料品(+0.5%)や石油・石炭製品(+1.8%)などが増加した。

[ボリビア] 

パス大統領は燃料価格の自由化を実現したが、その結果はエネルギー価格に大きく表れた。この改革により、約17億ドル(GDPの約3%)の歳出の削減効果が期待されており、現在GDPの10%超となっている財政赤字の削減を目指す。政府は補助金として1日あたり約1,000万ドルを支出し、さらにこの安価な燃料が周辺国への密輸を助長しており、もはや持続不可能であると説明している。外貨不足に悩むボリビアにとって、この状況は容認できないものだった。補助金廃止の影響はすぐに生活に現れた。補助金廃止の翌日から、ガソリンは約2倍、軽油(ディーゼル)は約3倍に跳ね上がった。これにより、輸送業界を中心に道路封鎖やストライキが発生し、労働組合や鉱山団体はさらなる抗議行動を示唆している。この動きにより、政府は他の緊縮財政のパッケージ改革を譲歩せざるを得なかった。公共部門の賃金凍結や自動車部品への輸入関税を見送ったほか、最低賃金を20%引き上げ、高齢者への給付を増やすなどの対策も行った。

 

一方、国際機関からは支持を得ている。補助金改革はIMFとのプログラム合意に向け、前進している。IDBも総額45億ドル(GDPの約8%)の融資パッケージを発表し、アンデス開発公社(CAF)も2030年までに31億ドル(GDPの約5%)を融資する予定だ。

 

1月16日、フィッチ・レーティングスも、ボリビアの信用格付けをCCC-からCCCへ1段階引き上げた。補助金削減により財政赤字は縮小し、多国間資金の流入が準備金の再構築を助ける。これらの要素が組み合わさることで、債務不履行の可能性は低下する。しかし、CCCという格付けは依然として信用リスクが高いことを示しており、ボリビアは外部流動性の制約と信頼回復の困難な課題に直面している。

 

投資家や企業にとって今回の格上げは一部前向きな兆しだが、依然としてリスクは高い。社会の忍耐力は限界に近づいており、抗議活動は今後も続く可能性が高く、改革の進展を脅かしている。パス政権は議会では多数派を維持しているが、与党の分裂もあり、実際の政治基盤は脆弱とされる。議会での支持は大統領の人気に依存しており、補助金廃止によるインフレで支持率が低下するリスクがある。12月初旬の調査では支持率は65%だったが、現在は下がっている可能性が高い。さらに、パス大統領と副大統領ララ氏の対立などが、パス政権が任期を全うできないリスクも指摘されており、改革が中途半端に終われば、地域に混乱だけが残ることにもなりかねない。

[ウガンダ] 

1月17日、ウガンダ選挙管理委員会は1月15日に実施された大統領選の結果、現職のヨウェリ・ムセベニ大統領(81歳)が得票率71.65%で勝利したと発表した。これにより1986年から大統領職を務めるムセベニ氏は7期目の任期を確保した。投票率は52%で、2006年から複数政党制が導入されて以降、過去最低の数字に留まった。

 

今回の選挙では1月13日にウガンダ通信当局が「誤情報の拡散を防ぐため」との名目でインターネットを大規模に遮断。これまでも政治活動が弾圧されていた野党候補者・支持者らはブルートゥースを介して通信が行えるチャット・アプリ「Bitchat」を通じて連絡や動員を行っていた。しかし、ここ1~2年で隣国ケニアやタンザニアでの大規模な反政府デモの動向に鑑みてか、あらかじめ全国に大規模な治安部隊が展開されていた中で行われた選挙で、これまで約7人の野党支持者らが死亡したと報じられている。元ポップスターで若年層からの支持が厚く、ムセベニ氏の最大の対抗馬とみられていた野党「国民統一党(NUP)」のロバート・キャグラニ(通称、ボビ・ワイン)候補の得票率は24.72%で、前回2021年の34.80%から大きく票を減らした。キャグラニ氏は政府による「大規模な投票用紙の不正投入」があったと選挙不正を主張し、選挙結果を認めない姿勢を示している。各種報道によると、1月17日に警察がヘリコプターでキャグラニ氏の自宅に着陸し、キャグラニ氏を逮捕・連行しようとしたが、キャグラニ氏は自力で脱出に成功し、現在ウガンダ国内に潜伏しているとみられている。アフリカ連合(AU)・東南部アフリカ市場共同体(COMESA)・政府間開発機構(IGAD)の共同選挙監視団の代表を務めたグッドラック・ジョナサン元ナイジェリア大統領は、ウガンダ当局の選挙前の野党支持者らへの弾圧が国民に「恐怖」を植え付け、選挙プロセスへの国民の信頼を損なったと非難したが、監視団は当日の投票用紙の不正投入は確認しておらず、投票当日も平和に投票が行われたと発表している。

 

1986年まで続いた内戦・不安定な政治に終止符を打ったムセベニ大統領は、その強権的支配に対してこれまで国際社会から批判を浴びながらも、ウガンダに政治的・経済的安定性をもたらしてきた。同氏は2026年10月にアルバート湖で開発中の内陸油田からタンザニアのタンガ港までを結ぶ全長1,433kmの原油パイプラインが稼働すれば、ウガンダは2桁の経済成長を達成し、2030年までにウガンダは中所得国入りすることができると自身の経済政策の実績を強調している。

 

多くの国民が今回の選挙は変革のためのものではなく、政治カレンダー上の「儀式」だとの諦観が広がっていることが過去最低の投票率という形に表れているとみられる。他方で、2031年の任期満了時にはムセベニ氏は87歳を迎えることから、これまでの健康不安説もふまえ、いよいよ退陣するとの見方が強い。後継者として最も有力な候補はムセベニ氏の息子で、ウガンダ軍トップのムフージ・カイネルガバ将軍だ。ムセベニ氏はすでに後継者としてムフージ氏の育成を進めており、ムフージ氏もまた大統領への就任の意欲を示している。しかし、ムセベニ氏以上に強権的な態度を示すムフージ氏は与党「国民抵抗運動(NRM)」内で不人気と目されていることから、次期選挙に向けて後継問題がウガンダの政治不安の火種となる可能性がある。

[米国/ロシア] 

2026年2月に失効する米国/ロシア間の「新START」について、非公式に1年間延長するというプーチン大統領の提案に米国が回答するのをなお待っていると、ロシア大統領府(クレムリン)は1月15日、明らかにした。ロシアのペスコフ報道官は記者団に、「回答は来ていない。もちろん、プーチン氏の提案に対する回答を待っている。非常に重要な案件と考えている」と述べた。

 

新STARTは2010年にオバマ元大統領とメドベージェフ前大統領が署名。具体的には、配備可能な戦略核弾頭数を1,550発に、地上発射型または潜水艦発射型ミサイルと運搬用爆撃機の数を700発以下に制限している。一連の条約は、国際情勢が緊迫する局面でも、米国とロシアが安定した核バランスを維持することを可能にしてきたもので、新STARTはそのうち最後の条約。

[マレーシア] 

1月16日、マレーシア統計局は2025年第4四半期及び通年の実質GDP成長率の速報値を発表。第4四半期の成長率は5.7%と4四半期中最も高い値となり、通年の成長率は4.9%と、中銀・世界銀行が2025年7月、10月に示していた見通し(各々4.0~4.8%、4.1%)を上回った。通年の成長率につき、付加価値別では農林水産業(第1次産業)が2.2%、製造業・建設業(第2次産業)が4.5%、サービス業(第3次産業)が5.1%を記録した。実質GDP全体に占める割合に関し、サービス業が約6割、製造業が約2割を占めるが、これらセクターの伸びが堅調に推移した。

 

支出別の内訳に関しては未公表であるが、第3四半期までは失業率が3%と低位で推移するなど労働市場が堅調なことや、政府による家計向け現金給付策実施も奏功し家計消費が下支えとなっている。

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