デイリー・アップデート

2020年1月14日 (火)

[米国] 米労働省によると、12月の非農業部門雇用者数は前月比で14.5万人増加した。失業率は3.5%で前月から横ばいと、雇用環境は底堅い動きとなった。また、平均時給上昇率は前年同月比+2.9%と、+3%を下回った。2019年を振り返ると、サービス業をけん引役に、雇用者数は210.8万人増加した一方、製造業は4.6万人増加にとどまった。前年の製造業は26.4万人の雇用機会を生み出していただけに、製造業の変調がうかがえる内容となった。

[ペルー] 中銀は政策金利を現行水準の2.25%で据え置く事を決定。リマのインフレ率は12月に前年比1.9%増に加速したが、水準としては中銀目標レンジの2%±1%の中に納まっている。落ち着いたインフレ率の下、中銀は必要に応じた金融緩和を実施する余地を保持している。

[台湾] 台湾(正・副)総統選と立法院委員選は、1月11日の投票日に即日開票が行われた。有権者数約1,930万人、投票率74.9%の中、総統選では、民進党・蔡候補が約817万票(得票率57.1%)、国民党・韓候補が約552万票(同38.6%)、親民党・宋候補が約61万票(同4.3%)と蔡候補が直接選挙で過去最多の得票数を得て圧勝、立法院委員選(定数113)でも民進党が61議席を獲得して過半数を維持、以下、国民党(38)、民衆党(5)などの結果となった。中国側は、「一つの中国」の原則は既に国際的な認識であり、この選挙結果によって揺らぐものではないとけん制。

[フィリピン] マニラ南方約60キロにあるタール火山が噴火し、首都圏を含む周辺地域の市民生活に大きな影響が出た。半径14キロ以内の住民に避難勧告が出され、約2万2,000人が避難を余儀なくされた。学校や政府機関は休校や休業が相次いだ。航空便の多くが遅延・欠航。証券取引所も休場となった。タール火山の周辺に製造拠点を構える日系企業は対応に追われた。地震が断続的に続いており、火山活動は依然として活発な様子。タール火山の噴火は1977年以来43年ぶり。過去500年に30回以上噴火しており、1911年の大規模な噴火では1,300人以上が犠牲になった。

[オマーン] 1月10日夜、1970年から約50年間王位にいたカブース国王(79歳)が崩御。後継には、以前から有力候補の一人として名前の挙がっていたカブース国王の従兄弟のハイサム・ビン・ターリク遺産文化大臣(65歳)が選ばれ、翌11日に王位を継承。現在中東歴訪中の安倍首相は、14日にオマーンを訪問する予定。経済・財政問題のかじ取りと、カブース国王が確立した独自の平和外交を継続することができるかどうかに注目が集まる。

[ロシア/ドイツ] 1月11日、独・メルケル首相はモスクワで露・プーチン大統領と会談し、ロシア産ガスをバルト海経由で欧州に輸送する新パイプライン「ノルドストリーム2」を予定通りに稼働させる方針を確認した。また、両首脳は中東情勢などについて意見を交わし、メルケル首相が北アフリカのリビア内戦について、和平構築に向けて関係国が協議する国際会議をベルリンで開く方針を示した。プーチン大統領もこれに協力する考えを強調した。

[インド/マレーシア] 1月8日、インド政府は、パーム油由来の食用油(パームオレイン)を含む精製パーム油の輸入を「自由」から「制限」に変更する通達を出した。マレーシアをターゲットにした報復措置。マハティール首相が12月、インドで成立したイスラム教徒以外の不法移民に国籍を付与する改正国籍法を批判したため。インドは世界最大のパーム油輸入国であり主にマレーシア・インドネシアから年間900万トン輸入しており、その半分近くをマレーシアから輸入している。マレーシアにとってインドは最大の輸出先。

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