デイリー・アップデート

2020年8月19日 (水)

[米/イラン] 8月14日、国連安保理は米国による対イラン国連武器禁輸制裁の延長決議案の採決を行ったが、賛成2、反対2、棄権11で不採択となった(中露が反対、欧州諸国は棄権)。これにより、同制裁は10月18日に期限を迎える。トランプ政権は対イラン圧力の手を緩めず、次は核合意JCPOAの規定にある「スナップバック」という制度を発動して、対イラン国連制裁全てを復活させることを計画しているが、既にJCPOAからの一方的離脱を発表している米国が、今もこの権利を有するのかどうかが疑問視されている。

[米国] ポンぺオ国務長官は先週5日間の日程で中欧4か国歴訪を行った。最初の訪問国チェコでは8月12日に同国上院で演説し、「冷戦期の旧ソ連の共産主義よりも現在の中国共産党の方が西側に対してより重大な脅威を提起している」との認識を表明した。

[タイ] 8月17日、2020年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比▲12.2%だったと発表。二桁のマイナス成長は1998年4-6月期(同▲12.5%)以来。内需・外需とも大きく落ち込んだ。2020年通年の見通しは前年同期比▲5.0-▲6.0%から同▲7.3-▲7.8%に下方修正。新型コロナウイルスの感染拡大は抑制されており、経済も最悪期は脱したとみられるが、回復には時間がかかると予想される。

[中国] 8月14日、中国国家食品医薬品監督管理局医薬品審査評価センター(CDE)は、新型コロナウイルス予防ワクチンの研究開発に関する通知を発表し、中国でのワクチン承認条件として、①50%以上の効果、②6か月以上の免疫持続、を提示した。50%以上の効果は最低条件で、目標は70%とされた。非常事態の場合には、最終の臨床試験を終えていないワクチンの使用許可もありえるとした。全世界で29種類の対コロナウイルスワクチンが開発中で、7種類が最終臨床試験に入っているといわれているが、うち4種は中国が開発を進めている。

[マリ] 反乱を起こした軍の一部がケイタ大統領やシセ首相らを拘束しており、クーデターが発生している可能性がある。8月19日早朝、大統領が辞任を発表した。今年3月・4月に行われた総選挙の不正疑惑や汚職問題に対する抗議デモが6月から激化。7月には西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が与野党合同政府創設を提案していた。EUや旧宗主国であるフランスは憲法に反する政権移行に反対を表明している。

[中国] 中国電子情報産業集団有限公司(China Electronics Corp.)が、先週、国内自主開発による「銀河麒麟 OS V10」(Kylin V10)の発表会を行った。報道によれば、同OSは5G時代の需要に十分応え、スマホ・PCに関わらず使え、同OSに内蔵されているKydroid3.0ソフトウエアパッケージにより300万余のアンドロイド対応アプリにも適応しているとされる。複数の中国メディアは今回の発表を、米国産に代替可能なOSを中国が保有していることを知らしめ、中国のスマホメーカーに対するAndroid使用禁止を米国に思いとどまらせるためと見ている。

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