デイリー・アップデート

2020年8月20日 (木)

[パキスタン] パキスタン人の海外出稼ぎ労働者による自国への海外送金額が7月単月で過去最高額を記録。前年同月比+36.5%の28億6,800万ドルに達した。主因はコロナ禍でハッジ(メッカ(サウジアラビア)への大巡礼:7月28日~8月2日)への参加を見合わせる出稼ぎ労働者が増え、巡礼費用分を送金に回せたためとみられる。各国からのパキスタンへの海外送金は、サウジアラビアが8億2,160万ドル、UAEが5億3,820万ドル、英国が3億9,390万ドル、米国が2億5,060万ドルなど。

[米国] 米国郵政公社(USPS)のデジョイ総裁はUSPSの赤字経営改善を目的とした経営改革計画を導入していたが、野党・民主党は「同計画は郵便投票の導入を阻止してトランプ大統領の再選に加担するものである」として猛反発。そうした中、デジョイ総裁は郵便ポストの削減、郵便局の営業時間の短縮等の施策実施を一次停止し、大統領選挙後に導入する方針を8月18日に表明した。郵便投票を巡っては与野党が激しく対立している。

[ベラルーシ] ルカシェンコ大統領が6選を果たしたとされる選挙結果は不正だと訴える国民の反発が全土で続くベラルーシで、抗議活動を統率するリーダーの不在が浮き彫りになっている。反政権側はルカシェンコ氏から妥協を引き出せないまま、混乱が長期化する可能性がある。

[EU] 8月19日のEU緊急首脳会合でEU首脳らは、ベラルーシ国民への連帯を強調し、「自由でも公正でもない」大統領選挙結果を受け入れないことを再度表明。14日の緊急外相会合同様、「まもなく相当数の個人に対する制裁を科す」ことを支持した。一方、内政干渉と受け取られることを回避するため、やり直し選挙やルカシェンコの退陣は要請せず、欧州安全保障協力機構(OSCE)提案の対話を完全に支持することを表明している。

[中/露] 8月18日、アムール・ガス化学プラントが着工された。場所は、ロシア極東のアムール地区にあるスヴォボードヌイ(Svobodny)市。総工費:約110億米ドルで、露・シブール(Sibur)が6割、中国石化(Sinopec)が4割出資する中露石油化学最大手同士の合弁案件。製品の4分の3は中国向け。年産230万トンのポリエチレンと40万トンのポリプロピレンの生産を目指すが、原材料のエタンは、露・Gazpromが同市に建設中の「アムール・天然ガス加工工場」が供給し、天然ガスは「シベリアの力」の東側パイプラインを通じて供給される。

[中国/ベラルーシ] ベラルーシで大統領選の結果をめぐり抗議活動が続いているが、ルカシェンコ大統領の権威失墜は中国の「一帯一路」にもネガティブな影響を及ぼすと香港のSCMP紙が報じている。中国はベラルーシをバルト諸国や東欧への足掛かりとして重視し、同国への経済的影響力を強めてきた。習近平国家主席は選挙後いち早くルカシェンコ大統領に祝電を送っていた。ルカシェンコ側も対ロシア依存を軽減するため中国との関係を重視していたが、万一同氏が失脚すれば、EUとロシアのどちらが同国での影響を強めるにせよ、中国との協力は停滞すると推測される。

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