デイリー・アップデート

2020年8月3日 (月)

[欧州] ユーロ圏の2020年第2四半期のGDP成長率は前期比▲12.1%と、比較可能な1995年以降で最大の落ち込みとなった。また、ユーロ圏各国はいずれも2四半期連続のマイナス成長となっており、いわゆる景気後退の状況となった。国別をみると、ドイツ▲10.1%、フランス▲13.8%、イタリア▲12.4%、スペイン▲18.5%と、都市封鎖などの厳格さや観光業のプレゼンスの高さなどによって減速幅に相違がみられる。感染拡大や雇用環境の悪化などもあり、先行きは引き続き懸念される。

[ベトナム] 新型コロナウイルスの市中感染は、4月17日以降ゼロを続けていたが、7月24日にダナンで感染者が発生。封鎖措置がとられ、観光客ら8万人が避難する事態となった。先週1週間で感染者は約200人増加(本日午前時点で累計620人)。7月31日に初の死者も発生し、死者はその後累計6人となっている。

[UAE] 8月1日、アラブ世界初の原子力発電所となるUAEのバラカ原子力発電所が稼働を開始した。同原発には全4基の原子炉(合計560万kw)の設置が予定されているが、今回稼働したのはそのうちの第1号機のみ。今後数週間の運転で安全を確認後、UAE国内に電力供給を開始する予定。同原発は、UAE企業との合弁で韓国電力公社(KEPCO)を中心とする韓国企業コンソーシアムが建設。位置的にバラカ原発に近い隣国カタールは、設計や事故発生時の取り扱いなどに懸念を表明している。

[米国] 7月31日、米財務省は、中国の新疆ウイグル自治区における人権弾圧に関わったことを理由に、新疆生産建設兵団とその関係者2名に対する経済制裁を発表。マグニツキー人権説明責任法に基づく措置で、資産凍結や取引停止を伴う。ウイグル自治区における人権弾圧をめぐっては、これまでも政府関係者への査証発給制限、関連中国企業への輸出禁止(Entity Listに掲載)などの措置が講じられている。

[中国] 7月31日に国家統計局が発表した7月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.1となり6月の50.9から上昇した。新規輸出受注指数は48.4、新規受注指数は51.7に上昇した。7月の非製造業PMIは54.2と前月の54.4からやや低下した。大洪水で南部・中央地域が大きな影響を受けたことが響いた。一方、非製造業の中で建設活動の指数は60を上回る水準に回復した。

[ドイツ] 7月31日、マース外相が香港との犯罪人引き渡し条約を停止することを表明。欧州では英国に次いで2か国目。相対的に中国に近い姿勢を示してきたドイツが、EUの香港国家安全法への対抗措置採択直後にこれに賛同する声明文を発表するなど、2020年後半のEU議長国に就任して以降、中国政府に対して厳しい対応を発表していることから、EUの対中国政策の方向転換が更に色濃くなったようすがうかがえる。

[中国] 本年1~6月の風力発電の新規増加容量は、全体で632万KW(前年同期比▲30%)、このうち陸上:526万KW(同▲39%)、海上:106万KW(同+165%)。新型コロナ禍の影響が薄まった4~6月では、陸上:319万KW(同+54%)、海上:77万KW(同+166%)。この活況は、ひとえに国の補助金の有無による。陸上風力については、2018年内に認可され2020年末までに完成し送電を開始した案件が、また海上風力については、2018年内に認可され2021年末までに完成し送電を開始した案件が、それぞれ国の補助金の支給対象となる。

[日/中] 8月2日、産経新聞が「中国政府当局が日本政府に対し漁船群の尖閣領海侵入を予告していた」と報じた。記事には発言者の具体的な立場や状況、前後の文脈が記されておらず、実際に予告が行われたのかどうかは定かでないが、昨今の中国側の尖閣周辺における挑発行動のエスカレートに鑑みれば、8月17日に中国側が設定した禁漁期が明けて以降、中国漁船と公船が大挙して侵入してくる可能性は小さくないと思われる。2016年8月には200~300隻の中国漁船と最大15隻の中国公船が同領海に侵入している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。