デイリー・アップデート

2021年1月20日 (水)

[インド] 地場投資調査会社ベンチャー・インテリジェンスによると、コロナ禍のさなか2020年のインド企業へのプライベートエクイティ(PE)・ベンチャーキャピタル(VC)投資は前年比+6.6%の392億ドルと過去最高額を記録した。最近、1億ドル以下の取引件数は年間を通して減少傾向にあり、大型投資が一部の企業に集中する傾向にあるとみられ、取引件数は前年比▲19.6%の814件だった。2020年のインド企業への投資は中国より米国からが多かった。

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)が発表した1月のZEW期待指数は61.8と、前月の55.0から上昇した。回答割合をみると、「変わらない」「悪化する」が減少した一方、「改善する」が増加したため、回答者の前向きな姿勢がうかがえる。なお、現状指数は▲66.4で前月から+0.1ptの改善とほぼ横ばいだった。足元では都市封鎖などの制限措置が2月14日まで延長されるなど感染状況が収束していない中、ワクチン接種開始などを背景に期待先行の状態が続いている。

[米/中] 中国製の新型コロナウイルスワクチンの有効性に対する懸念や、感染症発生時の中国政府の初期対応への非難が再燃する中、中国政府やメディアは反撃のための発信を行っている。多くの中国メディアは、ファイザー製のワクチン副作用により死者が出たという情報を流し(趙立堅報道官がリツィート)、華春瑩報道官は「事実を重視するというなら、米国もフォート・デトリックの陸軍感染症医学研究所に査察を受け入れるべき」と述べた。専門家はこれらの情報戦により、ワクチン接種に対する忌避観が強まることを心配している。

[チュニジア] 長年チュニジアを強権支配してきたベンアリ元大統領を亡命に追い込んだアラブの春から10年が経つが、それ以降も国の経済が全く改善していないことに対し、アラブの春10周年を機にチュニジア全土で若者が暴動を起こしている。暴動鎮静化のため軍も出動し、既に逮捕者は1,000人を超えている。チュニジアではコロナ禍も拡大しており、現在も夜間外出禁止令が発出されている状態。コロナ禍で観光業が大打撃を受け、2020年の成長率は▲9%と予測されている。

[米国] 1月20日、バイデン政権が正式に発足し、ハリス副大統領が兼務する上院議長に就任するとともに、1月5日に実施されたジョージア州選出上院議員の2議席をめぐる決選投票で共和党現職に勝利したオソフ、ウォーノック両民主党議員が正式に就任し、民主党は6年ぶりに上院を奪還する。だが、上院の議席構成は民主党系会派、共和党系会派ともに50議席であるため、民主党系会派は内紛を避けまとまり続ける必要がある。

[中国] 1月17日、「財新網」は、電気自動車(EV)の使用済みリチウムイオン電池をどのように正規のチャネルにのせて段階的な再利用とリサイクルを行うかが、業界が直面している問題だと報じた。NPOの「中国EV百人会」は、2020~23年で90.5GWhの使用済み電池が発生し、2020年の中国総生産量の83.4GWhを超えると予測、再利用・リサイクルについて関連業界の監督・管理基準と法令の確立を求めた。また、別の専門家は、自動車メーカーは製品設計の初期段階で電池の再利用とリサイクルを考慮すべきだと述べた。

[イタリア] 1月18日に行われた下院での内閣信任投票可決に続き、19日の上院でも信任可決の結果となったことから、コンテ政権の崩壊は回避された。しかし、今後も不安定な連立政権運営が続くとの見方が強く、コンテ内閣の新型コロナウイルス危機に関するEU資金使途計画の承認の行方は不透明。

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