デイリー・アップデート

2021年1月14日 (木)

[タイ] 政府はコロナ禍で打撃を受けた個人・法人向けに2,100バーツ(70億ドル)の景気刺激策を発表。インフォーマルセクターや農業従事者を中心とした低所得層約3,000万人に現金を給付する。2か月間、1人月3,500バーツ(117ドル)を早くて2月から給付開始する。政府は1月19日にも同案を議会通過させる見通し。タイはコロナ禍再拡大で累計感染者数が約1.1万人に達している。政府は現時点では第1波のようなロックダウンを実施しない代わりに各地域の感染状況に応じてビジネスや旅行に制限を課している。

[米国] FRBが1月13日に発表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、米経済は2020年末にかけて緩慢なペースで拡大した。経済活動が緩やかに拡大している地区から、緩慢に縮小している地区まで、地域によって感染拡大状況と制限措置の影響により大きく異なっている。また、業種による相違が大きいものの、全体として雇用の伸びも減速している。米国経済は、ワクチン接種開始などから先行きに対する楽観的な見方と、感染拡大という現実の狭間にある。

[インドネシア] 1月13日、中国のシノバック・バイオテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が開始された。ジョコ大統領が最初に接種を受け、国民に安全性を強調した。政府は国民の7割がワクチンを接種する必要があると述べ、段階的に実施すると発表。保健省によればインドネシアでの治験ではワクチンの有効性は65%だった。物流面の困難と国民感情からワクチンの展開には時間がかかるとの見方もある。

[オマーン] 国王就任から1年となるハイサム国王は、1月11日に新国家基本法を発布し、新たに皇太子制度を創設すると発表した。今後は、国王の長男が代々皇太子となると定められたため、ハイサム国王の長男であるジーヤザン文化・スポーツ・青年大臣(30)が新たに皇太子位に就く。先代のカブース国王には後継者となる子供がおらず皇太子位もなかったため、晩年には王位継承問題が浮上し不安定化が懸念されたが、皇太子制度創設で王位継承ラインが明確になり今後このような懸念は払しょくされる。

[米国] トランプ大統領がバイデン前副大統領の大統領選挙での勝利を覆す目的でトランプ支持者による米連邦議会議事堂襲撃を扇動した「反乱の扇動」を理由として罷免を求める民主党提出の大統領弾劾訴追決議案の採択が本日下院で行われ、賛成232票、反対197票の賛成多数で可決。上院での弾劾裁判はトランプ大統領の離任後の1月20日以降に開催される見通し。トランプ大統領は米国史上初めて2度の大統領弾劾訴追を受けることになった。

[中国] 中国では新年に入ると各省で両会(政治協商会議+人民代表大会)が開催され、現在、30近くの省級人民代表大会の開催時期が発表されているが、1月11日と12日、河北省と遼寧省の人民代表大会常務委員会は、それぞれ人民代表大会の開催の延期を決定した。ともに具体的な会議時期は別途決定するとしている。新型コロナウイルスの感染が広がっており、予防・抑制措置を優先するため。感染が広がれば、他にも延期する省が出てくる可能性がある。

[アルメニア/アゼルバイジャン] 係争地ナゴルノカラバフをめぐり、昨年9月下旬から11月上旬まで軍事衝突したアルメニア、アゼルバイジャンの両首脳が1月11日、プーチン・ロシア大統領の仲介で、約2か月ぶりにモスクワのクレムリンで会談した。3か国首脳は地域一帯の復興で合意した。会談では経済や交通網の再建に向けて作業部会を設けることで一致。道路や鉄道の復旧などを協議し、3月1日までに具体的な計画を提出する。

[イタリア] 1月13日、レンツィ元首相(「イタリア・ビバ党」党首)が同党所属の閣僚をコンテ政権から辞任させたことから、政局の不透明感が高まっている。レンツィ氏は、コンテ政権のコロナウイルス復興基金の使途に対する不満を挙げている。

[中国] 1月13日、中国自動車工業協会が、2020年の国内自動車産業の状況を発表した。生産:2,522.5万台(前年比▲2.0%)、販売(工場出荷):2,531.1万台(同▲1.9%)で、2019年比では、下げ幅がそれぞれ5.5pt、6.3pt 縮少。生産販売台数では12年連続で世界一を維持した。乗用車の販売は、前年比▲6.0%だったが、トラック(商用車)がインフラ建設や旧排出基準車からの更新需要等により468.5万台(同+21.7%)と伸び、バスを含む商用車の製販は、初めて500万台を超えた。協会は、2021年の販売台数を2020年比+4.0%と予想。

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