デイリー・アップデート

2021年9月30日 (木)

[ミャンマー] 通貨チャットが急落。一部の両替商が提示する米ドルの販売レートが9月28日午後、一時1米ドル=3,000チャット台をつけた。中央銀行発表の同日の為替取引のレートも顧客向けが1,929チャットで前日比1%下落。対米ドルレートは1月まで1,300チャット台前半で推移していたが、政変後の政情不安を受けて続落している。中銀が断続的に実施している米ドル売り介入も効果が出ていない。

[日本] 経済産業省によると、8月の鉱工業生産指数は前月比▲3.2%となり、2か月連続の減産となった。自動車や電気・情報通信機械など全15業種中、12業種が減産となった。基調判断は「足踏みをしている」と前月までの「持ち直している」から下方修正された。また、製造工業生産予測調査によると、9月は+0.2%、ただし当該調査に見られる上方バイアスを補正した値は▲1.3%であるため、9月も減産となれば、第3四半期は2020年第2四半期以来、5四半期ぶりの減産になる可能性がある。

[フランス/ギリシャ] 9月28日にフランスとギリシャが2国間の防衛パートナーシップを強化すると発表。マクロン大統領は「ヨーロッパがナイーブになってはいけない」として、「戦略的自律性」の強化に期待を表明した。ただしNATOの枠組みの中で「ヨーロッパの柱」を強化するという見解。なお、フランスは8月末にオランダともNATOの枠組みの中で2国間関係を強化することを発表。年末までにEU・NATO協力に関する共同宣言の採択を目指している。

[米国/中国] 2019年10月に、米国のエンティティー・リスト(輸出規制対象リスト)に追加された中国のハイテク企業センスタイム(商湯科技)が、その後の米政府の輸出規制調整によって、規制をほとんど回避していることが判明した。米商務省は、規制の対象をセンスタイムから、その子会社の北京センスタイムに変更したことでセンスタイムの事業は大きな影響を受けなくなったという。センスタイムはAIを活用した顔認証システムを提供し、ウイグル人などの人権弾圧に関与したとして批判の対象となった。

[ベトナム] 9月29日、2021年7-9月期(第3四半期)の実質GDP成長率が前年同期比▲6.17%だったと発表された。マイナス成長は四半期ベースの公式統計が残る2000年第1四半期以降初めて。7月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により全国各地でロックダウンを中心とする活動制限が実施されたことが影響した。工場での生産も活動制限により制限され、これまで成長を牽引してきた輸出も前年同期比+5.2%にとどまった。

[チュニジア] サイード大統領は、ナジュラ・ブーダン女史(63歳)を首相に指名し、早期の組閣を命じた。2011年のアラブの春以降同国10人目の首相で、初の女性首相となる。女性が初めて首相に選ばれたことには賞賛の声も上がるが、ブーダン氏は地質学の博士号を保有する地質学者で政治経験はほとんどないため、果たしてチュニジアの直面する政治・経済上の数々の課題に対処できるのかどうかを疑問視する声もある。

[米国] 米テレビネットワーク大手ABC Newsは調査コンサルティング企業 Ipsosと共同で、9月24-28日の5日間、バイデン政権の主要争点の取り組みに関する最新世論調査を実施し、29日に結果を公表した。新型コロナ対策、移民対策、経済運営、銃器による暴力、アフガニスタン政策、インフラ整備政策といったいずれの主要争点に対する支持も、8月27-28日両日実施の前回世論調査結果と比較して大きく低下していることが判明。米議会でのインフラ整備法案等の審議も膠着状態に直面している。

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