2026年10月5日 (月)
[日本/雇用(8月)・東京都区部CPI(9月)]
10月2日、総務省が発表した労働力調査によると、8月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となった。4~6月は2.5%で横ばい、7月は2.4%、8月は7月から+0.1ポイント上昇して2.5%となったが、引き続き低水準で推移している。完全失業者数は180万⼈で前年同月比▲2万人の減少となった。求職理由別では、「非自発的な離職」が41万人(▲2万人)で、そのうち「勤め先や事業の都合による離職」が23万人(▲2万人)。また、「新たに求職」が45万⼈(▲2万⼈)と減少し、「自発的な離職(自己都合)」が84万人(+4万人)と増加した。
就業者数は6,849万人と、前年同月比+14万人の増加となった。産業別で就業者数が増加したのは「医療, 福祉」(+23万⼈)、「運輸業、郵便業」(+8万人)など、減少したのは「製造業」(▲21万人)、「卸売業, 小売業」(▲10万人)など。製造業の内訳では、「食料品製造業」(▲14万人)、「生産用機械器具製造業」(▲6万人)、「業務用機械器具製造業」(▲6万人)などでの減少が目立った。高齢化での退職に伴う人員減を補おうにも採用が難しいことや、より条件の良い分野への人材流出などが背景にある可能性がある。
雇用者数は6,213万人(+39万人)で、54か月連続の増加。そのうち正規の職員・従業員数は3,735万人(+24万人)で、34か月連続の増加。非正規の職員・従業員数は2,126万人(+15万人)で、5か月連続の増加。
同日に厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、7月と横ばいとなった。有効求人倍率は、全国のハローワークで仕事を探す求職者1人あたり何件の求人があるかを示す。有効求人倍率が1倍を上回っていても、企業側が求める職種・技能・勤務地などの条件と求職者側の希望や適性が一致しないことによる需給のミスマッチにより人材確保が難しいケースがあり、企業では人手不足が常態化している。
正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍と、7月と同水準となった。
新規求人倍率(季節調整値)は2.06倍と、7月から▲0.04ポイント低下した。新規求人数(原数値)は71.9万人と前年同月比▲3.4%減少した。
産業別で新規求人数が増加したのは「製造業」(+3.9%)、「情報通信業」(+3.3%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(+0.9%/労働者派遣業など)。なお、「製造業」のうち、AI・半導体関連需要が好調なことから「電子部品・デバイス・電子回路製造業」(+28.6%)、「情報通信機械器具製造業」(+24.8%)などで増加がみられた。
減少したのは、「宿泊業, 飲食サービス業」(▲11.1%)、「卸売業, 小売業」(▲10.2%)、「生活関連サービス, 娯楽業」(▲5.7%)など。
引き続き日本の雇用環境は底堅いといえるが、10月から随時予定されている最低賃金の引き上げにより人件費負担が増加することで、企業が採用を躊躇する動きが出てくる可能性もある。
また、10月2日、総務省は全国結果の先行指標とされる、東京都23区の消費者物価指数の9月分(中旬速報値)を発表した。
2025年を100とした総合指数は102.5で前年同月比+2.7%となった。8月の+1.9%から0.8ポイント拡大し、5か月連続で上昇幅が拡大した。変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コア指数)は102.6で前年同月比+2.7%と、8月の+1.8%から0.9ポイント拡大し、2026年1月以来8か月ぶりに2%を上回った。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)は103.0で前年同月比+3.0%と、2025年8月以来の3%台となった。
9月の上昇の主要因として、東京都が実施した4か月間の水道基本料金無償化が9月に終了したことで水道料が+65.6%上昇したことと、2025年9月に開始した東京都の0~2歳の第一子保育料無償化政策の物価押し下げ効果が剥落したことが挙げられる。
生鮮食品を除く食料は+3.6%と8月から横ばいとなった。コメ類は2022年9月から前年同月比プラスが続き、2025年4月には+93.8%まで高騰していたが、5月に▲1.0%と下落に転じ、6月は▲6.0%、7月は▲8.4%、8月は▲14.2%、9月は▲19.8%と、コメ余りにより店頭価格が引き下げられた影響で下落幅が拡大し、2005年2月(▲22.0%)以来の下落幅となった。
エネルギー価格は▲1.9%と、8月の▲2.0%から下落幅は僅かに縮小した。ガソリン▲2.6%、電気代▲2.6%、都市ガス代▲0.5%。
そのほか、上昇したのは、すし(外食)+14.3%、弁当+28.1%、さんま+45.9%、牛肉(国産品)+14.2%、コーヒー豆+25.4%、民営家賃+2.2%、任意自動車保険料+5.9%、JR普通運賃+9.1%など。ゴルフクラブ+54.4%など。2026年はシルバーウィークが長期連休となったことで、宿泊料は+4.6%上昇した。トマトの▲13.8%などにより、生鮮野菜が▲5.3%下落した。
政策効果が剥落した影響で、コア指数が2%を上回ったが、今後も値上げによりさらに上昇する可能性がある。(経済部 菊井彩乃)
[米韓、LNG投資で温度差]
9月30日、トランプ米国大統領は、韓国による2,000億ドル規模の対米戦略投資の具体的案件として、テキサス州のガス火力発電所、大型原発8基とともにアラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業が決定したと発表した。ラトニック商務長官も、韓国がアラスカLNGに500億ドル超を投資すると説明した。
これに対し、韓国政府は10月1日、投資は決定しておらず、金額にも合意していないとして異論を表明した。金正官・産業通商資源相は、米側の発表について「合意した範囲を大きく超えている」としてラトニック氏に強く抗議したと説明した。李在明大統領も、韓国が合意したのは商業的合理性と韓国の法的手続きを満たせば、アラスカLNG事業に関する作業を始めることだと強調した。
10月2日、トランプ氏は韓国側の反論について記者団から問われると「(自身の発表は)先走ってはいない」と否定した。「彼らがやりたくないなら、それでも構わない。もっと請求する」と述べ、さらに韓国が事業への投資に署名していないと聞くと「近く署名しなければ倍にすると伝えろ」と圧力を強めた。何を「倍」にするのかは明らかにしなかった。
実際の米韓合意文書では、両国はアラスカLNGについて「作業を開始する」としているものの、韓米戦略投資MOUが定める「商業的合理性」と国内法上の要件を満たすことが条件とされている。500億ドル超という投資額や、韓国が投資を実施するとの確約は記されていない。米国は韓国企業の参加促進や、採算の取れる価格での長期LNG引取契約、韓国へのLNG優先供給などを図るとしている。
米側が投資を既定路線として発表した背景には、11月3日の中間選挙を意識した国内政治上の狙いも指摘されている。9月30日のトランプ大統領の発表には、上院選で再選を目指すアラスカ州選出のダン・サリバン共和党議員が同席していた。トランプ氏はサリバン氏が長年同事業を推進してきたと称賛したが、大型投資を共和党候補の実績としてアピールする動きの一環とみられている。
韓国政府は今後、アラスカLNGへの参加自体を直ちに否定はせず、「商業的合理性」を条件に判断を留保しながら米側との協議を続けるとみられる。巨額の事業費や採算性への懸念もあり、米側の求める500億ドル規模の投資をそのまま受け入れるかは不透明だ。(国際部 前田宏子)
[ベトナム/実質GDP成長率]
ベトナム国家統計局の発表によると、ベトナムの第3四半期の経済成長率は前年同期比9.95%となった。4年ぶりの高い四半期成長率を記録した。ブルームバーグが8人のエコノミストを対象に実施した調査における予測中央値である8.65%を上回った。1~9月の9か月間では、9.0%成長したこととなる。
[G7のディーゼル不足対応]
世界的なディーゼル供給逼迫に対する政治的対応が急がれている。
ホルムズ海峡を巡る混乱が続くなかでも中東からの原油輸出は回復が進んだ一方、製油所の稼働低下などから石油製品の供給回復は遅れている。ロシアの製油所への軍事攻撃が相次ぎ、ロシアは農産物収穫期の7月から導入したディーゼル輸出規制を10月末まで延長。中国は石油製品輸出を年間割当枠で管理しており、10月は輸出を制限する可能性があると報じられている。インドは石油製品輸出を拡大しているが、ロシアや中東の減少を全て埋めることはできない。
米国産石油製品に対する需要は極めて強く、米国の製油所は高稼働と高水準の石油製品輸出を続けている。しかし、中間選挙を控えたトランプ政権にとって、ディーゼル価格高騰への対処は喫緊の政策課題となっている。特に9月に入り、農業州の共和党議員からの強い要望もあり、ディーゼル輸出禁止議論が活発化したが、禁輸には弊害も大きく、石油業界は明確に反対。米エネルギー省は9月29日、3月に決定したIEA加盟国による共同備蓄放出のうち、米国が担うSPR原油放出1億7,220万バレルの未消化分約4,000万バレルの放出を決定したが、SPR原油の放出はディーゼル逼迫の即時緩和につながらない。クリス・ライト・エネルギー長官は9月29日の発表の際、米国と日本は合意通りに備蓄放出を実施したが、欧州の履行が遅れていると批判していた。欧州のSPR放出は原油でなく石油製品となる計画だ。
10月1日には米国と英国の関係者が緊急会議を実施。英国の製油所は約10週間の計画定修を控えており、米国の製油所も稼働率95%超を4か月近く維持した後、稼働率が低下している。
10月2日、G7首脳はオンライン会談を実施。共同声明によると、①製油所メンテナンス日程を協調して同時停止を防ぎ、可能なら一時的に稼働率を上げる、②2026年3月に合意したIEA加盟国の共同備蓄放出を完遂する。既に履行した分を考慮しつつ、4か月間で1億バレルを調整しながら放出する。特に最初の20日間でディーゼルを大量供給する、③IEAに合意履行の監視を要請、④G7はエネルギー製品輸出制限を控える、などの内容で合意した。
つまり、今回の1億バレル放出は3月に合意した4億バレルに単純に上乗せされるものではなく、既存合意の未履行分を多く含む。これまでに約3億2,500万バレルが市場に供給されている。声明では備蓄放出の詳細には言及されていないが、英『フィナンシャル・タイムズ』紙は、欧州は約5,000万バレルのディーゼルを供給する見通しだと伝えている。今回の事態は、原油供給の回復だけでは「製品不足」が解消しないことを浮き彫りにしている。(経済部 鈴木直美)
[米国/雇用統計]
労働省によると、9月の非農業部門雇用者数は前月比+2.9万人と、2か月連続で増加した。ただし、市場予想(+9万人)を下回った。また、7月分は+2.1万人から▲1.0万人へ、8月分は+16.2万人から+13.3万人へそれぞれ下方修正された。レイバーデーが例年よりも遅かったことで季節調整の影響から、雇用の増加ペースが低調になったという見方もある。
内訳を見ると、雇用者数は教育・ヘルスケア(+2.0万人)や娯楽・接客業(+1.0万人)、製造業(+0.9万人)、輸送・倉庫業(+0.8万人)などで増加した。AI・半導体、データセンター関連では雇用が増加したようだ。一方、政府(▲1.7万人)や情報(▲1.0万人)、専門・ビジネスサービス(▲0.9万人)などで減少した。専門・ビジネスサービスでは人材派遣業(▲1.1万人)の減少が主因だった。また、政府は地方政府(▲1.1万人)が大半を占めた。
失業率は4.2%(+0.1ポイント)へ上昇し、6月と同じだった。失業率の上昇は労働力人口の増加が主因だった。実際、労働参加率は61.8%(+0.2ポイント)へ上昇し、5月以来の高い水準となった。
平均時給は前年同月比+3.0%となり、8月から▲0.1ポイント縮小した。2021年5月以来の低い伸びだった。前月比は+0.1%となり、8月(+0.3%)から減速した。消費者物価指数で実質化した実質賃金は8月まで5か月連続でマイナスであり、9月と同様にマイナスだったとみられ、実質購買力が損なわれている。
9月の雇用統計から、事前の想定ほど労働市場が底堅くなく、低採用・低解雇の状況が続いていることが示唆された。9月の結果が予想を下回ったことを受けて、市場では10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が2割程度まで後退した。こうした中、追加利上げを巡っては、9月の消費者物価指数(CPI)の動きが注目されている。(経済部 鈴木将之)
[米国/ラティーノ有権者事情]
米国の中間選挙を前に、2024年大統領選で共和党に接近したラティーノ有権者が再び民主党側へ動き始めている。NBC News/Telemundoの最新共同調査では、議会選挙で民主党を支持するラティーノ有権者は59%、共和党は35%。トランプ大統領の支持率も27%にとどまった。注目すべきは、離反の主因が移民問題だけではなく、むしろアフォーダビリティの低下にあることだ。78%が政権の生活費対応を不支持、74%が経済運営を不支持と回答し、63%は家計所得が生活費の上昇に追いついていないとしている。インフレ・生活費はラティーノ有権者にとって最大の争点となっている。
そして、強硬な移民政策が別の形で重なってきている。移民・関税執行局(ICE)による突然の職場での取り締まりについて、共和党のケビン・スティット・オクラホマ州知事は、食肉加工工場などへの摘発が労働力を減らし、牛肉価格上昇につながっていると批判した。農業、食肉加工、建設、外食などは移民労働への依存度が高く、急激な労働供給の減少は生産能力の低下や賃金・コスト上昇を誘発し得る。
牛肉では、この矛盾が特に分かりやすい。米国では牛の供給不足から国内生産が伸び悩み、USDAも2026、2027年の牛肉生産見通しを引き下げている。一方で価格高への対応として、政府は9~11月に赤身牛肉の無関税輸入枠を拡大し、輸入増で国内需給を補おうとしている。つまりすでに「国内供給だけでは価格を抑えにくく、輸入に頼る」局面にある。その中で食肉加工現場の労働力まで減らせば、供給制約をさらに強めかねない。
ここに短期的な政策矛盾が表れている。政権は「移民を減らす」「国内産業を守る」「物価を下げる」という目標を掲げるが、労働集約的な産業では移民労働を急速に減らすことが供給コストを押し上げ、輸入抑制は価格安定をさらに難しくするおそれがある。少なくとも短期には、これらの同時達成は容易ではない。
ラティーノ有権者の共和党支持からの離反は、こうした政策への反発というより、まず生活費が下がらないことへの失望として捉える方が実態に近い。2024年に共和党へ接近した背景に経済改善への期待があったとすれば、現在の動きは、移民政策そのもの以上にアフォーダビリティを改善できていないことへの評価が政治に跳ね返り始めたものといえる。(経済部 本間隆行)
[エチオピア/ティグライ情勢]
10月3日、親政府派民兵組織「ティグライ平和軍(TPF)」は、エチオピア北部・ティグライ州の州都メケレを制圧したと発表した(10月4日、BBCなど)。9月23日以降、エチオピア国防軍(ENDF)の支援を受けたTPFと、反政府派ティグライ人組織「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」の軍事部門である「ティグライ防衛軍(TDF)」間の戦闘が激化していた(2026年10月1日デイリーアップデート参照)。州都からの撤退を余儀なくされたTPLF幹部らは「一時的にメケレから移転し、別の場所から運営を行う」との声明を出している。
9月20日にTPLFを含む国内の民族系反政府勢力7グループが統一戦線「エチオピア人民生存のための勢力同盟」を発表した後、国内各地で連邦政府と武装組織との間の緊張が急速に高まっている(2026年9月24日デイリーアップデート参照)。これまでティグライ州、アファール州、アムハラ州といった北部3州での戦闘が続いていたが、10月1日に北部の戦線から数百km南に離れた首都アディスアベバの国防省でドローン攻撃とみられる爆発が発生した。反政府勢力による攻撃かは明らかになっていないが、武力衝突の影響は、政治・経済の中心地である首都アディスアベバにも及びつつある。
TPLFなどの反政府勢力に対してエリトリアなど国外勢力も支援しているとの観測から、外交面での応酬も続いている。10月1日にエチオピア政府は、隣国エリトリアによる「直接的・間接的な敵対・好戦的行為」を受けて在エリトリア・エチオピア大使館を閉鎖するとともに、アディスアベバに駐在するエリトリア人外交官10人を国外追放すると発表した。これを受け、エリトリアは同日、エチオピアとの外交関係断絶を発表した。
また、エチオピア政府はエジプト人外交官1人に対しても「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として48時間以内の出国を要請した。ナイル川の水利権を巡ってエチオピアと激しい応酬を続けてきたエジプトもまた、反政府勢力の支援については否定を続けてきた。しかし、10月1日にアフリカ連合(AU)がエチオピア、エリトリア、エジプトの3か国を名指ししたうえで、「最大限の自制を尽くし、地域の平和・安定を損なうような行動を控えるよう求める」との要請を発表した。この発表に対してエジプトは、「エジプトをエチオピアの内政問題に巻き込もうとする不可解な試みと見なしている」として、エチオピアに本部を置くAUの対応に対し不満を示している(10月2日、アナドル通信社)。10月3日に米国務省は、エチオピアとエリトリアの双方に対して、自制を尽くし、対話と協力に戻るよう要請を行った。
ENDF・TPFによる州都メケレの掌握を受け、今後連邦政府は、州行政を親政府派ティグライ人政党らで構成される「ティグライ平和・変革評議会」に委任し、治安をTPFに委任するとの見方がある(10月2日、ACLED)。同評議会は、2020~2022年の「ティグライ紛争」を停戦に導いた「プレトリア和平合意」のTPLF側(当時)の交渉役だった、ツアドカン・ゲブレテンサエ将軍、ゲタチウ・レダ東アフリカ担当大臣が主要メンバーを務めている。両氏は連邦政府に反旗を翻しているデブレツィオン・ミカエルTPLF議長ら旧TPLF主流派との対立により、2024年にTPLFを離脱した。その後、両氏は連邦政府側に転じた。ゲタチウ氏は現在、アビィ首相顧問としてティグライ問題を担当している。和平合意後にティグライ暫定州知事を務めていたゲタチウ氏は、連邦政府寄りとのTPLF旧主流派からの批判によりティグライ州から追放された経緯があるが、今後のティグライ統治において中心的な役割を担う可能性がある。
ティグライ州都メケレの掌握は連邦政府側にとって大きな軍事的成果となった一方、TPLF・TDFによるゲリラ戦への移行や、エリトリアとの対立激化により、紛争が新たな段階へ移行する可能性も高まっている。(国際部 髙橋史)
[ウズベキスタン帰還移民問題が新たな社会・経済リスクに]
ロシアの移民政策厳格化を背景に、ウズベキスタン人出稼ぎ労働者の帰国が増加し、同国の労働市場への圧力が強まっている。ウズベキスタン政府によると、海外から帰国した労働者66.1万人のうち55.7万人が既に「所得を得る活動」に従事し、年末までにさらに58.3万人を恒常的な雇用に就ける方針。ただ、専門家は帰国者の雇用の50~70%が季節・一時雇用となる可能性があり、安定収入の確保が課題と指摘する。
ウズベキスタン人の最大の海外就労先は依然としてロシアで、最大約83万人が就労しているが、ロシアの移民関連法制変更を受け、8月初旬には1週間で約10万人がロシアを離れた。
ウズベキスタン政府は帰国者の雇用創出を進める一方、セルビアなどロシア以外の就労先開拓にも動く。今後、ロシアで外国人労働者への規制強化が続けば、送金収入への影響に加え、中央アジア各国では帰国者の雇用確保という社会・経済問題が一段と顕在化する可能性がある。一方、ロシア側でも労働力不足を深刻化させる要因となり得る。(国際部 ゴロシニコフ アントン)
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毎日新聞出版『週刊エコノミスト』2026年10月6日号に、当社チーフマーケットアナリスト 鈴木 直美が寄稿しました。
