デイリー・アップデート

2019年1月28日 (月)

[鉱山事故] ブラジル南東部ミナスジェライス州にあるVale所有のCorrego do Feijao鉱山で25日、尾鉱ダムが決壊。多数の作業員が泥流に呑まれ、1月27日夜時点の報道で58人死亡・300人近くが行方不明、近隣住民に避難勧告という大惨事となっている。3年前にもValeとBHPとの合弁Samarcoでダム決壊事故が起こったばかり。まだ今後を予測するには時期尚早だが、事故再発への怒りや鉄鉱石生産への影響懸念が伝えられている。

[ベルギー] 1月24日にベルギー各地の学生約3万5千人が授業を放棄して温暖化防止のデモを行ったベルギーで、27日にもベルギー政府とEUに対して気候変動への取り組み強化を訴える市民がデモを実施。同問題関連のデモは先月から4回目となったが、今回が最大規模。なお、学生デモの主催者は毎週木曜日にデモを実施し続けると発言しており、当初学校方針に反するとしていた学校側も、デモ参加の証明提出を条件に授業欠席を許可している。

[韓国] 2018年4Qの実質成長率は前期比+1.0%で、3Qの同+0.6%を上回ったが、輸出が▲2.2%で全体の成長率を約1.0%pt引き下げた。原因は中国経済の減速と半導体需要の一服だが、半導体は値下がりが始まっており、交易条件の悪化、設備投資減少や個人消費など内需にも影響する可能性がある。在庫投資の増加で成長率が1.0%pt高まったが、これは需要予測の誤りによると見られ、今後の在庫投資マイナスは成長率を引き下げる。韓国銀行が2019年の見通しを18年同様前年比+2.7%としたが、楽観的過ぎると思われる。

[フィリピン] 1月21日にミンダナオ島西部の5州と2市で実施されたイスラム自治政府創設の承認とその領域を決める住民投票の結果が25日に発表され、5州とコタバト市の自治政府参加が決まった。スルー州では反対多数だったが同州を含む5州全体では賛成多数だったため選挙ルールにより参加が決まった。27日、スルー州のホロ島の大聖堂で2回爆発があり、20人が死亡した。

[トルコ/イラク] イラク北部クルド自治区内のドホーク県にあるトルコ軍基地の前でデモが発生し、デモ隊のうち1人が死亡、数名が負傷する騒ぎとなった。先週のトルコ軍によるイラク領内での空爆でクルド人4名が死亡しており、同事件に反発するデモだったとのこと。トルコ軍は、イラクのクルド自治区内に逃げ込んでいるPKK(トルコ政府がテロ指定する団体)に対して、イラク領内において空爆を行っている。

[米国/中国/世界] 1月30日には、ライトハイザーUSTR代表と劉鶴副首相の米中閣僚級通商協議が実施される。また、同日、FOMCの政策決定会合の結果が公表される。翌31日には中国製造業PMI、日本の鉱工業生産指数、2月1日には米国の雇用統計が公表される。また、欧州の2018年第4四半期のGDP速報も控えており、世界経済への先行き不透明感や貿易戦争への懸念が募る中で、現状を確認して、今後の動向を占う1週間となる。

[欧州] ECB(欧州中央銀行)は政策金利を2019年夏まで現行水準に据え置く予定を変えなかった。その後、経済が悪影響を受けるリスクが無くなったと判断すれば、利上げする可能性がある。また、1月から満期償還金の支払を再投資している。ECBの予想よりユーロ圏経済の成長ペースが減速したので、まだ経済を支えることが必要との判断と思われる。

[米国/ロシア] 1月27日、米財務省は、ロシア人富豪オレグ・デリパスカ氏と関係があるルサールなど3社に対する制裁を解除した。今回の動きは世界のアルミニウム市場に安心感をもたらすことになる。一方、デリパスカ氏個人に対する制裁は全て継続されるもよう。

[マレーシア] 1月26日、アズミン経済相は、中国交通建設股フン有限公司との共同プロジェクトである「東海岸鉄道計画(ECRL)」の中止を正式に決定したと現地メディアに話した。中国側からの利子返済だけでも年間5億リンギ(1億6400万ドル)となる高利借り入れ事業費が財政を圧迫するため。ECRLは、ナジブ前政権時代の2016年10月から進められた、マレー半島を横断する全長688.3キロメートル、総工費810億リンギ(200億ドル)に上る大型公共事業。

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