デイリー・アップデート

2019年1月18日 (金)

[日本] 2018年12月時点で、景気回復期間は連続73か月となり、戦後最長期間(2002~08年)に並んだ可能性が高い。この間、消費税率引き上げ後の足踏み期間が2年近くあったものの、大きく崩れることはなかった。また、特徴としては、雇用・所得環境が大幅に改善したこと、内需が堅調だったこと、地域間のバラつきが小さかったことなどがあげられる。2019年1月まで回復期間が続けば、戦後最長記録を更新することになる。

[英国] 11月のCPI上昇率は前年比2.3%だった。10月の2.4%に比較して若干低下した。価格が低下した主な品目は、ガソリン、文化と旅行サービス、ゲームとおもちゃなど。一方で、価格が上昇した品目は、たばこと宿泊サービスだった。CPIはイングランド銀行(中銀)のインフレ率目標2%と比較して高い水準にとどまっている。ただし、原油安によるガソリン価格の低下が続き、またブレグジットの懸念もあるため、12月20日のイングランド銀行金融政策委員会は金利据え置きを決定した。

[日/欧] 12月の日本の消費者物価指数は前年同月比+0.3%と、前月(+0.8%)から鈍化。生鮮食品を除くコア指数も+0.7%と、前月(+0.9%)から減速しており、物価上昇の基調は弱含み。背景には、サービス価格の上昇ペースが緩やかなことがある。一方で、ユーロ圏の12月の消費者物価指数は+1.6%で、前月(+1.9%)から減速したが、日本とは異なり、サービス価格は+1.3%と底堅さもみられるため、物価上昇ペースは減速したものの日本よりは高い伸び率になる。このため今後、円高・ユーロ安圧力がかかりやすくなるだろう。

[英国] 12月のCPI上昇率は前年比+2.1%だった。11月の+2.3%から減速した。価格が低下した主な品目は、原油価格(▲5.5%pt)とたばこ(▲2.9%pt)であった。ただし、コアインフレ率は、11月の+1.8%から12月の+1.9%に加速しており、物価上昇の基調は崩れていないことを示している。イングランド銀行は、今年の5月までは利上げしないとみられている。

[ロシア] 12月20日、プーチン大統領は年末恒例の大規模記者会見を行い、日露平和条約締結に意欲を示した。ただし、北方領土を引き渡した場合、米軍基地が展開する可能性があると指摘し、日本の決定権を疑う形で日米安保体制がもたらす懸念が拭えないとの認識を示した。

[中国] 国家発展・改革委員会は、昨年7月、内蒙古の包頭やフフホトの地下鉄案件などを差し止めて以来、地下鉄案件の認可基準を見直し、今年8月、新たな基準の下で長春、蘇州の地下鉄案件を批准していた。同委は12月、それ以来となる重慶(311億元)、済南(229億元)、杭州(420億元)、上海(2,983億元)の地下鉄やその他の軌道交通プロジェクトの取り進めを批准した。各地では地下鉄工事の着工や新規入札が公示されており、地下鉄建設ラッシュが訪れる可能性がある。(括弧内は総投資額の概算、合計約6.5兆円)

[ウズベキスタン] 2018年12月、欧米格付け会社Fitch Ratingsは、史上初となるウズベキスタンの信用格付けを行った。同国の長期外貨建ておよび現地通貨建ての発行体デフォルト格付け(IDR)をBBマイナスとした。また、米格付け会社S&Pは同国の長期ソブリン格付けをBBマイナス、短期をBとした。

[中国] 1月14日に開催された国務院全体会議と国務院党組織会議の席上で、李克強総理は、都合2度にわたり「経済の下押し圧力が高まっており、政府の任務は困難で重大だ」と述べ、(中小・零細企業を中心とする減税や政府関連諸費用の削減で財政も厳しくなるので、役人が)一般経費や海外渡航・公用車・接待費などの節約を厳格に実行し、率先して厳しい日々に備えなければならないと強調した。

[カンボジア] 現地報道によると、財務経済省は2018年の実質GDP成長率が政府期待値を上回る+7.3%であったと発表した。また、2019年が+7.1%、中期的には+7%前後と予測。同省によると米中貿易戦争、EUによる関税優遇措置の停止などが懸念されるため、成長率維持のためには輸出競争力を高め輸出品目や輸出市場の多角化を図ることが必要としている。産業別伸び率(前年比)は、縫製業+7.8%、ホスピタリティー(宿泊・運輸・旅行)+5.8%、農業+1.8%。特に首都プノンペンを中心に住宅開発が加速しているため建設業の伸びが18.1%と大きい。

[インドネシア] 1月17日、中銀は政策金利を据置いた。昨年5月から11月にかけて合計1.75%pt利上げしたが、その後2カ月連続で据置きとなっている。年初来2%、昨年10月末からは5.5%とルピアが上昇している事が、今回の据置きの主な理由と思われる。比較的外貨建て債務が多いインドネシアにとって通貨の安定は引き続き優先事項となるだろう。

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