デイリー・アップデート

2019年1月22日 (火)

[米/中] 中国から米国に輸出される品目の上位は1位電気機器(スマートフォン関連が49%)、2位機械類(PC関連が46%)だが、3位が家具、4位が玩具となっており、米国による対中関税引き上げの直撃を受けるのが3位の家具と4位の玩具。これらはスマートフォンやPCと違ってバリューチェーンが短く、中国外への生産移転が容易。担い手は生産性が高くない中小企業が中心で、特に家具は広州市を中心に広東省で8000万人の雇用を支えるといわれる一大産業。既にニトリは家具の製造先を中国から他国に移し始めているという。米国の対中関税引き上げは、ピンポイントで中国の痛いところを突いているとの見方もある。

[ジンバブエ] 日用品不足の混乱が広がるジンバブエで、 1月12日にガソリン価格が150%以上引き上げられ1リットル当たり3.31ドルと燃料費の高騰を招き、抗議行動が勃発。治安当局が強硬措置を取り、現在までに野党支持者や人権活動家を含めた700名近くが拘束されている。さらに、政府がインターネットを遮断したことも混乱を増長。なお、昨年12月のインフレ率は42.9%と過去10年で最高水準となった。

[フィリピン] 1月21日、昨年7月に成立したバンサモロ基本法(ミンダナオ地方南西部にイスラム教徒を中心とした自治政府の発足を定める法律)に基づき、イスラム自治政府創設の承認とその領域を決める住民投票が現在のイスラム教徒自治区の5州とコタバト、イサベラ両市で行われた。今回の投票で自治政府創設が承認されれば、2月6日に北ラナオ、コタバト両州の一部で2回目の投票が行われ、自治政府の領域が確定する。 その後、暫定統治機構による統治を経て、2022年に選挙が実施され、正式に自治政府の発足に至る予定。

[シリア] シリア領内のイラン軍とイスラエルによる攻撃の応酬が激化している。1月20日にシリア領内からゴラン高原に向けて発射されたミサイルに対する報復として、21日夜イスラエルがシリア領内のイラン革命防衛隊の基地を攻撃した。米軍のシリア撤退方針を受けて、イスラエルが自らシリア領内のイラン勢力を叩く方針を強めたことに加え、汚職疑惑で追及を受けるネタニヤフ首相が4月の総選挙に向けて強い姿勢を見せたいという意図もある。

[世界/アジア] 1月21日、IMFは世界経済見通しを発表。2019年の世界経済成長率の見通しを前年比+3.5%と、昨年10月時点の予測から0.2ポイント引き下げた。下方修正するのは2回連続。米中貿易摩擦のリスクなどを背景に、不確実性が高まり世界経済は勢いが弱くなっている。2018年は+3.7%と推計。アジア新興市場国・発展途上国の経済成長率は2018年の+6.5%から2019年に+6.3%、2020年は+6.4%へと低下する見通し。

[欧州] IMFの世界経済見通し(1月版)によると、2019年のユーロ圏の経済成長率は+1.6%と、前回10月見通しから0.3ポイントの下方修正。ドイツ、イタリア、フランスの主要国の鈍化が、一時的なものではないとの見方。ただし、潜在成長率以上の成長であり、悪いものではない。全体として懸念されるのは、今後の更なる下方修正。米国の減税効果の剥落などの下押し圧力、英国のEU離脱の影響、企業マインド悪化による資本財生産と設備投資の減速などのリスクがメインシナリオには織り込まれていないため。

[ブラジル] 11月の経済活動指数は前年比1.9%増。9月の0.8%増、10月の2.9%増に続き、3か月連続で上昇。前月比でも11月は0.3%増。9月の0.1%減、10月の±0%から改善。11月の鉱工業生産は前年比0.9%減だったが、サービス売上高は0.9%増、小売売上高は4.4%増と急伸。12月製造業PMIは52.6。5月~10月と比べると高水準で拡大基調。サービス業PMIは51.9と過去10カ月で最高値であり、こちらも拡大基調。

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