デイリー・アップデート

2019年1月17日 (木)

[米/中] 「既に米中冷戦が始まった」とする見方がある。日本企業として一番気を付けなければならないことは、不用意な行動でアメリカから「中国企業へ機密を洩らしている」というようなあらぬ嫌疑をかけられること。米国にとって米中冷戦のテーマは「自国の安全保障」であり、そうなると米国の態度は一気に硬化し、そういった嫌疑を掛けられると対応に苦労することになる。日本企業は生存本能を研ぎ澄まし、慎重に行動することが必要であろう。

[中国] 15日、中央紀律委が陝西省の元・党委書記(趙正永)を紀律・法律違反容疑で取調べている旨公表。具体的な容疑は、習近平が解決を指示した西安市の違法建築(別荘)問題を放置していたこととされるが、昨年末CCTV元キャスターの崔氏がリークした、陝西省北部優良石炭鉱山の採掘権訴訟問題にも趙が関わったとの見方がある。この事案では、公文書の紛失、党・国の司法介入などの問題があり、最高裁による調査が行われている模様。

[シリア] シリア北部の町マンビジにおいて自爆テロが発生し、米国人4名(うち米兵2名)を含む少なくとも16人が犠牲となった。攻撃はパトロール中の米軍部隊を狙ったものとされており、IS(イスラム国)が既に犯行声明を出している。マンビジは、シリア北部で米軍が支援するクルド人部隊が掌握するエリアの最西端にあたる要衝。未だ同地でISの脅威が健在であることが明確となり、混沌としているシリアからの米軍撤退がさらに複雑化する可能性がある。

[米国] FRBは地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。大半の地域が緩やかな景気拡大を報告した。自動車やエネルギー部門を中心に、製造業の成長ペースがより緩やかになっていることや、非金融サービスでは減速感が強まりつつあることなどが示された。また、堅調な雇用環境を反映して、賃金上昇が熟練労働者以外にも広がりつつある。先行きについては、ポジティブとの見方を維持するも、前回よりも楽観視できない状況になりつつあるなど、米経済の変調がうかがえる内容となっている。

[原油] 原油価格は12月下旬の安値49.93ドル/バレルから20%超上昇、直近で61ドル台(ブレント)。年末には新規ショートやオプションの売り手によるデルタヘッジの売りも下げを加勢したが、外部環境の好転もあり、揺り戻しがみられる。米EIA週報では米国原油生産が日量1,200万バレル、原油輸出は同300万バレルの大台に迫る一方、ガソリン在庫の積み上がりも目立ち、需給面からは上昇の持続性に不安がある。EIAは月報で2020年にも米国が恒常的な石油純輸出国になると予想している。

[ブラジル] ボルソナロ大統領は選挙公約に掲げていた貿易自由化を推し進める模様。特に関税の引下では生産性や経済成長率の向上が期待される。他、非関税障壁の撤廃、免許法の簡素化に加え、メルコスールにおける貿易自由化も検討されている。

[中東欧] 中東欧各地で、企業が深刻な労働者不足を補うためにオートメーション化投資を拡大している。国際ロボット連盟(IFR)によると、同地域で導入される産業ロボットの数は、前年比約30%で増えており、2020年末までに同地域向けロボット出荷台数の増加率は欧州全体の平均と比べて2倍近くになると予想している。

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