デイリー・アップデート

2020年12月10日 (木)

[日本] 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によると、10~12月期の製造業全産業の業況判断指数(BSI、前四半期に比べて景況感が「上昇」と「下降」の回答割合の差)は+11.6となり、4~6月期の+2.0から上昇しており、景況感の改善が進んでいることが示唆された。また、先行きについて、2021年1~3月期は+3.1、4~6月期は+2.2と改善が継続する見通しになっている。ただし、中堅・中小企業は1~3月期に下降するとの見通しであり、景気回復は心許ない状況が続きそうだ。

[米/トルコ] 12月8日、米下院は2021年度国防授権法案を圧倒的多数で可決したが、同法案にはロシアからS-400ミサイルシステムを購入したトルコに対する制裁を大統領に義務付ける内容が盛り込まれている。今週中に上院での採決が行われ、その後大統領の署名を経て法律が成立することになる。トランプ大統領は議会からの対トルコ制裁圧力に長らく反対してきたが、バイデン新政権下で米国による対トルコ制裁が発動される可能性が高まっている。

[米国] 12月8日、バイデン次期大統領は、次期国防長官にオースチン退役陸軍大将を正式に起用することを発表したが、元軍人が国防長官に就任するには退役から7年経過している必要がある一方、オースチン氏は退役後4年しか経過しておらず、就任するには「1947年国家安全保障法」の適用除外の承認について米議会上下両院の支持を得ることが必要となる。民主党議員の間からも文民統制の観点から次期国防長官指名に疑念の声が生じる状況が発生している。

[フィリピン] 12月8日、世界銀行はフィリピン経済に関する報告書を発表した。同国の2020年の実質GDP成長率を10月時点予測の▲6.9%から▲8.1%に下方修正した。その理由は、コロナ禍の影響が継続していることに加え、11月に見舞われた台風による被害が経済成長を押し下げることが見込まれるため。政府によるコロナ対策支援が継続することを前提として、2021年は+5.9%、2022年は+6%に回復すると予測している。

[英国/EU] 12月9日に行われたジョンソン首相とフォンデアライエン委員長の夕食/協議で将来協定交渉の延長が合意された。13日までに交渉結果が判明する見込みだが、現在も溝が残っていることから、どのような結果となるかは不明。合意なしの移行期間終了を視野に、欧州委員会が緊急対応計画を近日中に発表する予定。

[中国] 12月8日、中国自動車工業協会は、深刻ではないとしながらも、業界に車載用半導体の供給不足問題があることを認め、以下の原因を指摘。①半導体の設備投資意欲が低い中、本年下半期の中国の車載用需要を見込めなかった、②5G技術の発展に伴い家電用の需要が急増、車載用の生産キャパが食われた、③新型コロナ禍の第2波により、欧州・東南アジアの半導体工場が減産や操業を停止、④自動車のEV化・スマート化・ネットワーク化により車載用の需要が急増。なお、フォルクスワーゲンは完成車の出荷には影響しないとするも、半導体の供給不足のため12月に一汽VWと上汽VWの生産を一時的に停止する予定。

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