デイリー・アップデート

2020年12月11日 (金)

[アジア太平洋] 12月10日、アジア開発銀行(ADB)は、「アジア経済見通し」の改訂版を発表。2020年のアジア新興国の経済成長率を▲0.4%とし9月時点の▲0.7%から上方修正した。東アジア地域がプラス成長となる一方その他の地域はマイナス成長となり、見通しがまばらになっている。中国とインドの見通しを上方修正しておりそれぞれ+2.1%、▲8.0%とした。9月時点の発表ではそれぞれ+1.8%、▲9.0%だった。2021年のアジア新興国の経済成長率は9月時点の+6.8%から変更しなかった。

[欧州] 12月10日、ECB(欧州中央銀行)は、理事会を開催して金融緩和を決定した。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入枠を1.85兆ユーロへ5千億ユーロ拡大、期間を2022年3月末まで半年間延長した。貸出条件付き長期リファイナンスオペ(TLTROⅢ)やパンデミック長期リファイナンスオペ(PELTROs)の実施回数も増やす。また、為替について引き続き注視する姿勢を示した。さらに、グリーンやデジタル促進や構造改革のために、”Next Gerneration EU”パッケージの重要性にも言及した。

[EU] 12月10日のEU首脳会合で、復興パッケージ(EU予算・コロナウイルス復興基金)で合意が実現したことから、新型コロナウイルス危機からの経済・社会的復興や2050年の『気候中立』(温暖化ガス排出ネットゼロの社会経済体制)に向けた活動が2021年から本格的に開始する見込みとなった。EU首脳からは歓迎する声が多く出されているが、「法の支配とEU資金の連動」というコンセプトは維持されていることから、今後ハンガリー・ポーランドと他のEU加盟国との溝が再度浮上する可能性がある。

[韓国] 12月9日、通常国会で企業規制3法(商法改正案・公正取引法改正案・金融グループ監督法制定案)が可決成立した。『中央日報』は、商法改正案の監査委員を選出する際、最大株主と特殊関係人の議決権をそれぞれ3%に制限する内容について、韓国企業側の懸念を特に訴えた。新ルール適用下で、サムスン電子では、国内株主の総議決権が17.7%となるのに対し、外国人機関投資家の総議決権が27.6%となり、国内資本の経営権が外国資本の脅威を受けることを例示した。

[日本/中国/香港] 中国の『環球時報』は、香港に関する米国の制裁に日本政府が従い、キャリー・ラム行政長官など、制裁対象となっている人物の日本での口座開設を許可しない可能性があると報じている。「松原仁・衆議院議員(立憲民主党)の書面質問に対し、12月8日、日本政府は閣議で『海外事務所を有する日本の金融機関に対し、米国の制裁・規制を考慮するよう求めている。キャリー・ラム氏が日本の銀行で口座を持っているかは確認中である』と回答した」としている。

[米国] バイデン次期大統領は次期米国通商代表部(USTR)代表に下院歳入委員会民主党首席法律顧問のキャサリン・タイ氏を12月11日(日本時間)に指名すると発表。2007年から2014年までUSTRに勤務し、中国の不公正貿易慣行を世界貿易機関(WTO)に提訴し、昨年米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案を巡るトランプ政権、共和党との協議で主導的役割を担ったのがタイ氏。上院での指名承認を受けて正式にUSTR代表に就任した場合、初のアジア系女性となる。

[ロシア] 歴史的低金利と政府が新型コロナウイルス禍に対応して今年4月から採用した景気刺激策を背景に、国内における住宅ローンブームが起きている。住宅ローンの貸出額は過去最高を記録し、住宅価格は上昇している。しかし、ロシアの住宅市場には来年も引き続き成長する余地は残っておらず、すでにブームが終焉を迎え始めているとの見方も出ている。

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