デイリー・アップデート

2021年5月12日 (水)

[マレーシア] 5月11日、中央銀行は2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比▲0.5%だったと発表。内需・外需とも持ち直しの動きがあり、4四半期連続のマイナス成長となったものの前期の同▲3.4%からは改善した。前期比では+2.7%と、最近の新型コロナウイルス感染再拡大を抑制するために「部分的ロックダウン」を実施しているにもかかわらず、プラス成長となった。ただ、この「部分的ロックダウン」は第2四半期への影響がより大きくなるとみられ、実質GDP成長率は今後鈍化するとみられている。

[ドイツ] ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が発表した5月の「景況感指数」は84.7となり、4月の70.7から大幅に上昇した。感染第3波がピークアウトしたという見方から、経済活動の正常化への期待が高まったため。足元の「現状指数」は前月から8.7pt上昇したものの▲40.1と、「良い」よりは「悪い」の回答割合が多い。指数が改善していることは経済の回復にとって良い兆候であるものの、これらの指数は転換点では振れやすく、あくまで方向感を表すものであり、水準を意味するものではない点に注意する必要がある。

[イスラエル/パレスチナ] 5月10日夜に始まったイスラエルとパレスチナ・ガザ地区との攻撃の応酬は11日夜も続き、2日間にわたるイスラエル軍によるガザ地区への空爆で35人が死亡、イスラム主義組織ハマスによるガザからイスラエル国内への攻撃でイスラエル人3人が死亡した。ハマスによるミサイル攻撃はテルアビブやエルサレム周辺まで到達している。国連や国際社会は双方に緊張緩和を求めている。イスラム教のラマダンやイスラエルがエルサレム統一を実現した記念日などが重なり、今回の激化に至った。

[米国] 5月11日、バイデン政権は「情報通信技術・サービスに係る緊急事態宣言」の継続を発表した。同措置は「海外敵対勢力」の影響下にある主体が提供する情報通信技術やサービスの使用を禁止するもの。商務省は「海外敵対勢力」として、中国・キューバ・イラン・北朝鮮・ロシアに加え、ベネズエラのマドゥロ大統領(個人)を指定している。2019年5月にトランプ政権の下で発動された同措置は、2020年にも延長され、今回は2度目の延長となる。

[米国] 米国内での新型コロナワクチンの接種が進展しており、最低一度のワクチン接種を済ませた米国民は人口の46.2%、ワクチン接種を完全に終了した米国民は35.1%にそれぞれ達しているが、各州では州の経済活動の再開を目的として、現在導入されている新型コロナ感染拡大阻止を目的とした各種規制措置を緩和・解除するための具体的計画を、各州知事が相次いで発表している。

[アルメニア] 5月10日、議会が解散し、6月20日に議会(一院制、定数105)の選挙が実施されることが決まった。係争地ナゴルノカラバフを巡る隣国アゼルバイジャンとの軍事衝突における敗北を受け、首相を辞任したパシニャン氏が選挙の実施を表明したことに伴う措置。

[EU] 5月10日に行われたEU外相会合で、2020年3月のEU加盟交渉開始について政治的に合意したにもかかわらず、交渉の枠組みに関し加盟国政府の全会一致が実現していないため交渉が進んでいないアルバニアと北マケドニアに関する協議が行われた。中国とロシアが西バルカン地域に対する影響力を強めていることからEUの地政学上の懸念点として挙げられている。

[中国] 5月11日、国家統計局が第7回全国国勢調査(基準日:2020年11月1日)の主要データを発表した(比率は2010年比)。◇総人口:14億1,178万人(+5.38%と増加率は低下)◇2020年出生数:1,200万人(過去20年で最低、2016年二人っ子政策開始時は1,786万人)◇合計特殊出生率:1.3(国は2017年の計画で1.8前後を目標としていた)◇65歳以上の人口:1億9,064万人(全体の13.5%、+4.63pt、老齢化加速)◇生産年齢(15-59歳)人口:8億9,438万人(全体の63.35%、▲6.79pt)◇東北3省で人口流失(2010年比1,103万人減少)など。

[米/中] 5月11日、在中国米国商工会議所は年次報告書を発表し「米中関係が悪化する中、中国の米国企業は投資プロジェクトの承認や市場アクセスの承認で影響を受けている」と述べた。中国政府は、中国市場における外国企業の競争条件を国内企業と公平にすることを目的とした外商投資法などを定めているが、実際には外国製品を国内製品に置き換えることを奨励する政策をとっており、「そのような『暗黙のガイダンス』は取り消すべきだ」と同報告書は主張している。

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