デイリー・アップデート

2021年5月14日 (金)

[米国/中国] 2022年2月開催の北京冬季五輪まで9か月足らずとなったが、新疆ウイグル自治区のイスラム系少数派ウイグル族への人権弾圧や香港の民主派弾圧に対する中国政府への国際社会の批判が高まっている。最近、フィナンシャル・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙が北京冬季五輪のスポンサー企業に対して中国内の人権弾圧を直視して行動を求める記事や社説を掲載しており、スポンサー企業はレピュテーション・リスクの観点から難しい立場に置かれつつある。

[ミャンマー/米国] 米商務省によるとミャンマーの米国からの輸入が国軍によるクーデターが発生した2月以降急減している。2月が前年同月比60%減の1,500万ドル、3月が同55%減の1,400万ドルと急激に落ち込んだ。1月は同17%増の4,700万ドルだった。米政府はクーデター後、国軍関係者に対し経済制裁を行っているが、4月以降も同経済制裁を強化しているため、米国からの輸入は今後も低位に推移する見込み。

[米国] 労働省によると、5月8日までの1週間の新規失業保険申請件数は47.3万件となり、前週から▲3.4万件と2週連続で減少した。1日までの週の継続需給者数は365.5万人であり、前週から▲4.5万人と3週間ぶりの減少だった。一方で、4月24日までの週のパンデミック緊急失業補償(PEUC)受給者数は526.5万人、パンデミック失業支援(PUA)受給者数は728.4万人と、ともに3週間ぶりの増加となり、雇用回復ペースの鈍化につながったようだ。

[米/露] 5月12日、ブリンケン米国務長官とラブロフ露外相が電話会談し、アイスランドの首都レイキャビクで開かれる北極評議会の閣僚会合に会わせ、5月20日に米露外相会談を行うことで合意した。ブリンケン氏の国務長官就任以来、ラブロフ氏との会談は初めてとなる。両氏は6月中旬の開催に向け調整中のバイデン米大統領とプーチン露大統領の首脳会談の日程や議題なども調整する意向とみられる。

[イタリア/EU] 新型コロナウイルス危機の発生もあって2020年には減少していたヨーロッパへの移民・難民の流入が2021年に入ってから再び増加。特に天候が回復した5月にイタリアへの流入が急増している。イタリア政府はEU加盟国に対して連帯を呼び掛け、ドイツ政府が難民受け入れを表明しているが、オーストリアなどは受け入れ拒否を発表。一方、EU側は移民・難民の出身国・出発国の多くを占めるアフリカ諸国との協力強化を模索中。

[中国] 台湾積帯電路製造(TSMC)が約30億ドルを投資して、南京工場の28ナノメートル・チップ生産能力を拡大すると発表してから、中国国内のSNSでは「低価格ダンピング」、「台湾企業が中国のライバル企業を打ち負かそうとしている」など民族主義的な批判が起こっており、新華社や人民日報などの国営メディアが「チップ・ナショナリズム」をいさめる論説を掲載している。「内部循環の重視」という政府のキャンペーンが中国国内市場の公平な競争に歪みを生むことが懸念される。

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