デイリー・アップデート

2021年5月21日 (金)

[米国] 5月19日、バイデン政権は、ロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツに輸出する「Nord Stream 2」パイプライン建設計画の事業主体企業「Nord Stream 2 AG」に対する制裁発動を見送ることを決定した。同決定に対しては米議会の対ロ強硬派議員の間から超党派で批判が浮上しており、5月25日に上院外交委員会で開催される国務省の2022会計年度予算案関連の公聴会でブリンケン国務長官が厳しい質問を受けることが予想される。

[米国] 労働省によると、5月15日までの1週間の新規失業保険申請件数は44.4万件となり、前週から▲3.4万件と3週連続で減少した。一方で、5月8日までの週の継続受給者数は375.1万人と、+11.1万人の増加をみせた。5月1日までの週のパンデミック緊急失業補償(PEUC)、パンデミック失業支援(PUA)の受給者数はそれぞれ514.1万人、660.5万人と2週ぶりに減少した。雇用環境は回復傾向にあるものの、回復ペースは緩やかなものにとどまっているようだ。

[ウクライナ] ゼレンスキー大統領が就任してから5月20日で2年が経過した。同大統領は20日に首都キエフで記者会見を開き、2年間の総括と今後の抱負について語った。当初はロシアとの対話を目指していたが、今年、米国でバイデン政権が誕生すると、反ロシア路線を鮮明にし、北大西洋条約機構(NATO)への加盟などを目指す親欧米路線を強めている。

[EU] 5月20日、欧州議会と理事会が、新型コロナウイルス危機中のヨーロッパにおける自由移動(労働と旅行)を促進する目的で発行する「EU Digital COVID Certificate」に関し、暫定的な政治合意に達したことを発表した。有効期間は1年間で、予防接種・検査・回復の情報が含まれている。今後、欧州議会委員会で審議され、議会本会議で承認される見込み。

[中国/EU] 5月20日、欧州議会は、昨年末に中国とEUの間で合意した「包括的投資協定」の批准に向けた審議を停止する決議を可決した。今年3月、新疆ウイグル自治区の人権問題に関する対中制裁への報復措置として、中国が欧州議員らに制裁を科したことが反発を呼び、同決議は賛成599票、反対30票、棄権58票で可決された。決議では、中国が制裁を解除しない限り投資協定の審議に応じないとしており、早期に協定が発効する可能性はほぼなくなった。

[イスラエル/パレスチナ] パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配しているイスラム主義組織ハマスとイスラエルは、エジプトによる仲介により、5月21日午前2時からの「無条件の相互停戦」を発表した。5月10日に始まったイスラエルとガザの攻撃の応酬は11日間続き、これまでの死者数は、ガザで233人(うち子供65人)、イスラエルで12人(うち子供2人)。特にガザにおけるインフラ被害は大きく、18の医療施設や51の教育施設などを含む258の建物が崩壊し、電気系統や水処理設備なども甚大な被害を受けた。

[米国] 5月20日、財務省租税政策局は、OECD/G20で行われている税制をめぐる協議の中で、国際的な法人税率の下限を15%とすることを提案したと発表した。米国は当初、国際法人税率の下限を21%に設定する立場だったが、大幅に妥協する姿勢を見せた。

[インドネシア] 5月20日の国家中央統計局の発表によると、4月の輸出額は前年同期比+52%の184億8,040万ドルと大幅に増加した。製造業製品の輸出が急増したこと、ならびに資源価格の高騰が主因で、2011年8月以来の最高額となった。貿易収支は21億9,400万ドルの黒字。12か月連続で黒字となった。

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