デイリー・アップデート

2021年7月26日 (月)

[米/キューバ] 7月11日にキューバ全土で反政府デモが発生したことを受けてキューバ政府は同デモへの参加者を拘束したが、バイデン政権は反政府デモ参加者への弾圧を主導したとしてミエラ国防相と内務省の治安維持特殊部隊を対象に米国内の資産凍結、米国入国禁止からなる制裁措置を7月22日に発動した。バイデン政権発足後初の対キューバ制裁措置発動となった。

[欧州] 7月22日、ECBは理事会を開催、インフレ目標を「2%未満でその近傍」から「2%」に変更し、フォワードガイダンスも修正した。フォワードガイダンスでは、物価が2%に到達し、その後もしばらくその水準にとどまるとECBが判断するまで、政策金利を現在の水準かそれ以下にとどめる方針が示された。また、政策金利やパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は据え置かれた。次回9月会合では、経済見通しの修正とともに、PEPPの変更が注目されている。

[ウクライナ] 7月21日、ウクライナ政府は、ウクライナを迂回してロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」を巡り米国とドイツが合意したことを受け、同パイプラインに対する強い反対の立場を示した。ウクライナの安全保障を損なう地政学的プロジェクトだとの見方を示し、年間の経済損失額として約15億ドル(GDP比1%相当)をもたらすと非難した。

[EU/英国] 7月21日に英国政府が「北アイルランド議定書」の修正再交渉をEUに対し正式に提案。英国側は同議定書が英国全体の構造を脅かし、北アイルランドの情勢不安を引き起こしているとの認識を表明、新たな提案として欧州司法裁判所の議定書関連問題に関する関与を縮小し、代わりに仲裁委員会を設置することや、税関検査の簡素化、執行機関の一時停止などを提示している。一方EU側は再交渉の可能性を完全に否定。

[中国/米国] 7月16日、米国政府が香港に進出する企業に対し香港での事業運営上のリスクがあると警告する文書を発表し、香港統治に関わる中国人7名に資産凍結などの制裁を科したことに対抗し、23日、中国外交部は、反外国制裁法に基づいてロス元米商務長官など米国人6名(ただし現政権関係者は含まず)と1団体に対し制裁を実施すると発表した。サキ米大統領報道官は中国の対応を非難し、対中制裁を実行に移す方針は変わらないと強調した。

[チュニジア] 新型コロナウイルス対策の不備や経済・財政危機などについて政府を批判する民衆デモがチュニジア全土で発生したことに応じて、サイード大統領は7月25日、メシシ首相の解任、議会の停止及び議員の免責特権の剥奪を発表し、大統領自身と新たに選出する首相で行政権を掌握することを発表した。これに対し議会内最大政党エンナハダ党首で議会議長でもあるガンヌーシ氏が反発。先立つ20日には新型コロナウイルス対策の不手際を理由に保健相が解任されており、大統領は感染症対策を軍が取り仕切ると発表していた。

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