デイリー・アップデート

2022年4月5日 (火)

[ASEAN] 4月1日、米格付け会社S&Pグローバルが発表した3月の製造業購買管理者指数(PMI)は高い順にシンガポールが55.0、フィリピンが53.2、タイが51.8、ベトナムが51.7、インドネシアが51.3、マレーシアが49.6、ミャンマーは47.1。マレーシアは生産高と新規受注が減速し前月の50.9から下落し景気の節目となる50を6か月ぶりに割った。新型コロナウイルスの感染拡大や供給網の混乱などの問題に加え、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的な不確実性の高まりが景気の減速傾向にさらに拍車をかけているもよう。

[日本] 総務省『家計調査』によると、2月の実質消費支出(2人以上の世帯)は前年同月比+1.1%と2か月連続で増加した。前年には緊急事態宣言が発令されていたこともあり、消費水準が低かったことが影響している。前月比は▲2.8%と2か月連続で減少、まん延防止等重点措置の適用の影響とみられる。また、厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2月の名目賃金は前年同月比+1.2%と、2か月連続で増加した。

[中国] 4月1日、「全国トウモロコシ水稲生産工作推進テレビ電話会議」が開催され、胡春華副総理が演説した。トウモロコシの生産不足が存在しているとして、作付面積が減少した地方での回復、西南・西北地域の生産拡大、東北・黄淮海地域の生産維持を図ると同時に、トウモロコシの供給先の優先順位を明確にし、燃料化を厳格に管理するとした。春の植え付け時期を控え、トウモロコシ主要生産地の一つである吉林省では新型コロナウイルスの感染が拡大し、労働力不足や種子・農業資材の輸送への影響が懸念されている。

[トルコ] 3月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で+61.14%となり、2002年3月以来20年ぶりの高水準となった。昨年末のトルコリラの暴落や、ロシアによるウクライナ侵攻に起因するエネルギー・商品価格の上昇が要因とみられる。生産者物価指数(PPI)は同+115%と、前月同様3桁の伸びを記録。インフレ抑制のためには利上げが求められるが、低金利・リラ安で輸出増による経済拡大を志向するエルドアン大統領の政策に沿って、過去3か月間金利は14%に据え置かれている。政策に変更が無ければ、今年後半までCPIは高止まりしそうだ。

[米国] 米国内では1年前からガソリン価格が上昇しているが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、3月8日、バイデン大統領はロシア産エネルギーの全面禁輸を決定。米国内のガソリン価格が高止まりする中、3月31日には米国の戦略石油備蓄(SPR)の大規模追加放出の方針も決定。民主党議員の一部からガソリン価格抑制策の一環として連邦ガソリン税の一時凍結を求める意見が浮上していたが、ペロシ下院議長は先週行われた定例記者会見でこれには反対の立場を表明した。

[中国] ◇4月3日、比亜迪汽車(BYD)は本年3月からガソリン車の完成車の生産を停止、今後EVとプラグイン・ハイブリッド車事業に注力すると発表。本年1~2月、同社のNEV出荷台数は18.1万台と前年同期比約6倍。同社は、2021年の売上高は前年比38.0%増だが、株主に帰属する純利益は28.1%減となり、原材料価格の高騰、感染症の拡大など厳しい課題に直面していることを認めた。◇TCL華星光電技術(CSOT)のインド工場がスマホ用液晶モジュールの量産を開始し、3月23日、第1ロットがサムスンのスマホ工場に出荷された。テレビ用の大型液晶モジュール生産ラインは本年5月から稼働する予定。

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