デイリー・アップデート

2019年10月25日 (金)

[ロシア・アフリカ] ロシア南部ソチで開かれていた「ロシア・アフリカ首脳会議」は10月24日、貿易・経済、軍事・安全保障などさまざまな分野で双方の関係強化を目指す共同宣言を発表し、2日間の日程を終えた。武器輸出や対テロ協力を通じ地域への影響力を強めたいロシアの思惑が明確になった。首脳会議に合わせて行われた商談を通じ、総額8千億ルーブル(約1兆4千億円)規模の契約がまとまった。

[フランス] 10月10日、欧州議会は、倫理問題を理由にフランス出身のグラール・次期産業政策担当欧州委員候補を承認しないと決定した。これに対して10月24日、マクロン大統領は元経済・財務大臣で現アトス株式会社のCEO(最高経営責任者)であるブルトン氏を指名した。しかし、ブルトン氏の欧州委員就任については現役職との利益相反であるとの批判が高まりつつある。

[米国] 10月24日、ペンス副大統領は米ウィルソン・センターにて対中関係に関する演説を行った。米国の歴代政権は中国の問題ある行動に対して無策であったところ、トランプ政権は対中政策を論じる文脈を変えたと述べ、米国は、中国による知財窃取、監視体制強化による人権弾圧、南シナ海人工島の軍事化といった行動に対抗していくとした。その一方で、『米中デカップリング』を否定し、協力関係構築への意欲を示した。また、中国による言論統制の圧力に屈したとしてナイキやNBAを名指しで批判した。

[欧州] 10月24日、ECBは理事会を開催、金融政策を据え置いた。一方、スウェーデンの中銀であるリクスバンクは年末の利上げ見通しを維持した。利上げとなれば、ほぼ5年ぶりに政策金利がマイナス圏を脱することになる。また、ノルウェー中銀は政策金利を1.5%に据え置いた。過去1年間で4回利上げを実施しており、今回は様子見となった。金融引き締め方向にある中で、中銀の想定以上の実体経済の減速傾向や、他国の金融緩和政策を踏まえて、市場では先行きへの警戒感もある。

[チリ] 中銀は政策金利を0.25%ポイント引き下げて1.75%とすることを決定。利下げ発表時の声明は前回よりも著しくハト派的な内容だった。中銀は「インフレ率が目標値に収束するためには更なる金融緩和が必要である」と明言。また、声明では12月の報告までには、抗議デモによる経済活動や信頼感への影響が明らかになるとしている。より懸念されるのは同国の銅産出量の20%を占めるチリ最大の銅鉱山Escondidaを含む広範囲の鉱山でストが実施されている点。

[東アジア/大洋州地域] 10月10日に発表された世界銀行の2019年版「東アジア・大洋州地域 半期経済報告書:拡大するリスクを切り抜ける」によると、東アジア・大洋州地域(EAP)の途上国経済の成長率は、広範な輸出の伸び悩みと製造業の低迷を反映し、2018年の+6.3%から2019年は+5.8%、2020年は+5.7%、2021年は+5.6%へと低下する見込み。同報告書では、成長の鈍化に伴い、貧困削減のペースも鈍化していることを指摘している。

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